仕事が怒涛のように押し寄せてくる師走には、「このままじゃ年が越せない!」と毎年涙目になる人が多いはず。年末だから忙しいのは当たり前? いいえ、そうとは限りません!
パフォーマンスが高い人は、常に賢く時間配分しています。仕事に追い立てられて目が回りそうなのは、実は、あなたの時間の使い方が間違っている可能性が高いです。
そこで今回は、起業・副業コンサルタントの米山彩香さんに、師走のNGな時間の使い方について教えていただきました。どれも忙しいときにやりがちなので、余裕をなくしかけているときほど気を付けていきましょう。
パフォーマンスが高い人は絶対やらない、NGな時間の使い方10選
■1:早出や残業で時間を捻出しようとするのはNG
仕事がなかなか片付かない場合、残業や早出でなんとかこなそうとする人もいるでしょう。しかし、これは必ずしも効率的な働き方ではないと米山さんは主張します。
「早く出社しても労働時間が長くなるだけで、仕事がたくさん片付くわけではありません。それに、早出しようとして寝不足となり、そのせいで仕事のパフォーマンスが落ちては本末転倒です。
労働時間を長くすることよりも、終業時間を意識して、何がなんでも時間内に仕事を終わらせる! 私の会社員時代には、職場にだらだら居残りしないように、定時以降に敢えて習い事や人と会う予定を入れるようにしていました」(米山さん)
長時間労働という力技で問題を解決しようとするのではなく、仕事の進め方を根本的に見直すほうがよいかもしれませんね。部屋の片付けでも、モノが増えたからと広い部屋に引っ越すと、新居でもモノがあふれてしまった……という失敗はありがちです。
ゴール(終業時間)から逆算して、限られた時間でいかに効率的に仕事を終わらせるかを常に意識すべし。そして、効率的に仕事を進めるうえで、下記の2~10のNG習慣はぜひ改善しましょう。
■2:昼休みに自分の席でランチをとるのはNG
とにかく1分1秒でも時間が惜しい……という状況では、昼休みも無駄に思えて、自席で手早くランチをとったり、あるいは昼食抜きにしたりする人もいるのでは? しかし、ランチの時間を削ったところで、さほど仕事が進められるわけでもなく、むしろ午後の仕事への悪影響のほうが大。
「昼休みは場所を変えてリフレッシュするのが大事。自席ランチでは十分にリフレッシュできないので、午後の集中力が下がり、仕事の効率が悪くなりがちです。ひとりでのんびりするのもよし、気の合う人と食べるのもよし。仕事を集中して行うときと、休憩するときのメリハリをつけましょう」(米山さん)
昼休みにも仕事を詰め込んでいる人は、一度だまされたと思って外でランチをとってみては? お店でなくても公園のベンチでも構いません。とりわけ、煮詰まっているときこそリフレッシュタイムで目線を変え、午後からサクサク仕事を進めましょう。
■3:誘われた忘年会にすべて出席しようとするのはNG
師走といえば忘年会ラッシュ。自分が所属している部署だけでなく、普段はあまり接点のない方面や取引先などからも誘われる機会が多々あるはず。その際、「断るのは申し訳ない」と気乗りしない会にもすべて参加しようとすると、いくら時間があっても足りません。
「忘年会に参加するかどうかは、自分の直感で決めてしまっても構わないと思います。行きたいと思わなかったら、イヤイヤ参加する必要なし。渋々参加したのでは、周りの人も楽しくないですし、自分にとっても得るものがなく、時間のムダにしかなりません。
角を立てずに断るポイントはふたつ。誘ってくれたことへの感謝を伝えることと、断る理由を明確にすることです。例えば、『お誘いありがとうございます。あいにく仕事が立て込んでおりまして……すみません』など、敢えて時間の使い方が不器用なふりをするのもよいかと思います。
特に同じ部署以外の忘年会であれば、業務の詳細まで把握されていないはずなので、この断り方でなんらかの不利益をこうむることはほぼないでしょう」(米山さん)
確かに、人間関係が円滑になるなど忘年会にはメリットもありますが、無理に参加して当日や翌日の仕事に支障が出ては元も子もないですよね。気の進まない飲み会は、“感謝+理由”でうまく断りましょう。
■4:「自分でやったほうが早い」となんでも抱え込むのはNG
いつも仕事に追われて時間が足りないと嘆いている人のなかには、「自分でやったほうが早い」となんでも自分で抱え込んでいる人が少なくありません。しかし、その仕事は本当にあなたにしかできないものなのでしょうか? 米山さんは、時短のコツとして“どんどん人に任せる”ことを推奨しています。
「相手への尊敬をこめて褒めながら依頼すると、大抵のことは引き受けてもらえます。例えば、『この分野ならあなたが一番得意だと思うから、やってもらえる?』と得意分野を任されると、相手は悪い気はしません。
依頼するときに、納期を相手に設定させるのもポイントです。もちろん、『いつまでにこの仕事はやってもらいたいんだけど、いつくらいにできそう?』とこちらも希望も伝えますが、最終的には相手に期日を答えさせます。そうすると、自分で宣言したことなので、こちらから一方的に指示した場合よりも、納期を守ってくれる可能性がぐっと高まるのです。
あとは、任せたからには途中で『あの仕事どうなったの?』など、うるさく口出しせず相手を最後まで信頼すること! ただし、もし何かあったときに、相手がすぐにSOSを出せるように、任せた案件以外のことでさりげなくコミュニケーションをとるなどはしたほうがよいかと思います」(米山さん)
“自分がやったほうが早い”病でがんじ絡めになっている人は、ぜひ上記の方法で抱え込んだ仕事の一部をリリースしましょう!
■5:イライラしたり「あぁ忙しい!」と口にしたりするのはNG
年末までの納期やノルマに追われる時期には、ついイライラしたり思わず「あぁ忙しい!」と口にしたりしがち。ところが、そうした余裕のない態度は、仕事のパフォーマンスの低下を招きかねません。
「イライラと余裕のない態度は、周りの人に必要以上の緊張感を与え、ミスの引き金となりえます。例えば、仕事を他人に任せたケースでも、任せた側がピリピリした雰囲気を発していると、相手が何か相談したいことがあっても、『今聞くのはやめておこう』となり、こちらの要望とはまったく違う方向に仕事を進めたり、手をつけないまま放置したりすることになりがちです。
気持ちに余裕がなくなるのは致し方のないことですし、また、師走には周りの人のイライラが伝播することもよくあります。そんなときは、『あの人(or私)は忙しいから今イライラしているんだろうな~』と一歩引いて見ることで、イライラペースに巻き込まれないようにしましょう」(米山さん)
仕事が忙しいときこそ自分を追い込むのではなく、敢えて深呼吸して平常モードで目の前のタスクに集中したいところですね。
■6:いつものチェックを怠るのはNG
これも仕事に追われて心に余裕がないときにやりがちですが、時短のつもりで普段のチェック作業をスキップすると、かえって大きな時間のロスにつながる恐れも。
「ただでさえ焦っているのに、チェックを飛ばしてしまうと、発注ミスや重要書類の作成ミスなど、いつもならありえないミスが発生しがちです。こうしたミスは社内外の人にも迷惑がかかるので、忙しいときこそいつも以上にチェックは念入りに行いましょう」(米山さん)
ひとつミスがあると、取り戻そうと焦ってさらにミスを重ねて……という具合に、なんでもない仕事に膨大な時間を費やすことにもなりかねません。普段はシングルチェックのところをダブルチェックするくらいの心構えで、痛いケアレスミスを防止しましょう。
■7:不慣れ・不得意分野を安請け合いするのはNG
気乗りしない飲み会の誘いは断ったほうがいいのは前述した通りですが、仕事面においても頼まれたことをなんでも引き受けてしまうのは望ましくありません。
「師走には突発的な新しい業務が立て込みがちです。なかには、年末にしかない業務で、1年前のやり方を忘れてしまったものなどもあるかもしれません。そういう不慣れな仕事や自分の苦手分野まで、なんでも引き受けないようにしましょう。みんな忙しそうだから断るのは悪い……と安易に引き受けてしまうと、自分も辛いですし、仕事が滞って結果的に職場に迷惑をかけることも往々にしてあります。
もちろん、ただ『できません』と剣もほろろに断るのではなく、『それは引き受けかねますが、別のこの仕事ならいかがでしょうか?』と自分のできそうな仕事とトレードしてもらうなど、得意分野で貢献することを目指しましょう」(米山さん)
通常時においては、自分の仕事の幅を広げるべく、いろいろなことにチャレンジするのもアリですが、忙しい師走にわざわざ無謀なことに手を出すのは考えもの。自分のためにも職場のためにも、守備範囲を確実にこなすことに徹するほうが賢明だといえそうです。
■8:To Doリストにどんどんタスクを追加するのはNG
ビジネスパーソンにとって必須ツールとも思えるTo Doリスト。しかし、実はこのTo Doリストが、仕事を効率的に進める足かせになってしまうこともあるようです。
「師走にどんどん仕事が降ってきて、その都度To Doリストに追加していくと、どんどん未消化のタスクが積もっていきます。いつまでも“済”のチェックが入らないタスクが残っているのは気分のいいものではありません。しかも、頭の中がいつまでもリセットされず常に仕事に追われている感じがして、その“気分”が生産性にブレーキをかけてしまうのです。
こうした事態を防止するには、その日大事な3つのTo Doを朝イチに頭の中で決めること。3つ以上はいたずらにリストを増やさないように、追加のタスクはその場ですぐできることに限定しましょう。すぐに取りかかれないものは安易に引き受けず、人に任せたり別の仕事にトレードしてもらったりするのがおすすめです」(米山さん)
すでにTo Doリストにおびただしい量のタスクが並んでいる……という人は、3つに絞れるように別の人に任せられないか検討しましょう。
■9:年明けで間に合うものに時間を割くのはNG
効率的に仕事を進めるには、冷静になって優先順位を決めることも不可欠です。
「上司から依頼されたことを何も考えずに依頼された順に取りかかるのは禁物。上司が指定した納期が年内でも、実はそれほど急ぎの仕事ではなく、年明けでも事足りるケースも珍しくありません。
本当に年末にわざわざ時間を割くべきかどうかの見極めが重要です。『これもしかして年明けでも問題ないのでは?』と思ったら、キーパーソンに相談しましょう」(米山さん)
単なる思い付きといっては語弊がありますが、上司の設定した納期に絶対的な根拠があるとは限りません。今一度、納期を見直して、後回しにできそうなものは後回しにしましょう。
■10:電話に振り回されるのはNG
仕事の連絡を電話にするかメールにするかについては絶対的な正解はありませんが、こと師走に関しては、なるべくメールを活用するほうがよさそうです。
「師走はあちこちから電話が入り、下手するとその対応に追われて業務が全然進まないことも。着信するたびに手と思考が一旦止まってしまうのは、効率悪いことこのうえありません。自分の仕事用の携帯は留守電にしておき、もしメールで済むものであれば、できるだけメールでの対応を。そのほうが忙しい相手にとっても都合がよいとも考えられます。
また、職場の固定電話に自分宛てにかかってくるものについては、電話を取り次ぐ人に『今は出られないからあとからメールで連絡する』旨を先方に伝えるようにお願いしておきましょう」(米山さん)
もちろん、緊急で電話対応が必須のこともありますが、大抵の連絡はメールでも支障はないはず。電話に振り回されることなく目の前のタスクに集中しましょう。
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上記のNGな時間の使い方に、少なからず心当たりはありませんか? 「これ自分もやってる!」という項目は改善して、師走の怒涛のスケジュールを乗り切りましょう。
『お金と時間の悩みが消えてなくなる 最高の時短』米山彩香著 KADOKAWA刊
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美