職場で自分の働きが評価されなかったり、なかなか重要な仕事を任せてもらえなかったり……。そんなふうに、あなたが周りから低く見られがちなのは、実は日ごろの何気ないしぐさが原因かもしれません。

人の能力は、仕事の中身だけで判断されるにあらず。「あの人は仕事ができそうなオーラがある」「ダメ人間臭がする」なんて言い方がありますが、ちょっとした挙動がその人の評価を大きく左右しているのです!

自分では気付かないうちにしぐさのせいで周囲から軽く扱われてしまっては大損ですよね。そこで、今回はマナー講師の磯部らんさんから、人から軽蔑されやすいNGしぐさについて教わります。

自分を低く見せやすいので「やめた方がいいしぐさ」8選

■1:立っているとき座っているときの姿勢が悪い

人から見られている意識をもって常に姿勢よく
人から見られている意識をもって常に姿勢よく

人の見た目印象において、姿勢の影響は大。姿勢が悪いとそれだけで、あなたの評価が大きく下がってしまうかも!?

「猫背でいると暗い、だらしがないという印象を相手に与えてしまいます。いつも誰かしらから見られているという意識をもって、背筋を真っ直ぐに保ちましょう。姿勢を正そうとするとあごが前に出てしまいがちなので、あごは若干引き、視線は前へ。

また、片足に重心をかけると体が歪み、猫背の原因になるので、体重は両足に均等にかけましょう。腰から背骨が真っ直ぐになるようにイメージするのがポイントです。座っているときも背筋を伸ばして背もたれに寄りかからないこと。できれば背もたれとはこぶし1個分を開けましょう」(磯部さん)

長時間デスクワークをしているときや、仕事帰りの駅のホームなどでは、つい姿勢が崩れがちですが、背筋を伸ばして凜としたオーラを放ちましょう。

■2:あごを引きすぎて上目遣いになる

上目遣いは下心があるように見られることも
上目遣いは下心があるように見られることも

姿勢を正すときにあごを若干引くことを前述しましたが、あごを引きすぎると上目遣いになって印象ダウンにつながる恐れがあるので要注意です。

「上目遣いになると、下心ややましい企みがあるように見られることもあります。首とあごの間にこぶしふたつを挟むように意識しましょう」(磯部さん)

あごを上げすぎると傲慢、引きすぎると卑屈な感じがしますよね。自分にとってベストな角度はどうなのか、鏡の前でチェックしてみるのもいいでしょう。

■3:座っているときに膝を開いてしまう

座っているときの姿勢では、もう1点注意することがあります。

「電車などで、スカートをはいているのに膝が開いているとだらしがない印象です。気が緩んでくるとついやりがちですが、いつも膝をくっつけておくことを意識しましょう。また、長距離移動や長時間労働で疲れが出やすいと予測できるときにはパンツスタイルにするなど、TPOに合わせた格好も重要です」(磯部さん)

デスクワーク中にも、膝をだらしなく開いているのか、きちんと閉じて座っているかで、周囲に伝わるオーラは異なるかもしれません。背筋を伸ばして膝を閉じることにはダイエット効果も期待できそうなので、がんばってキープしましょう!

■4:メモを取るときにペンを回す

メモを取るときの姿勢は大丈夫?
メモを取るときの姿勢は大丈夫?

会議中や上司から指示を受けるときなど、職場ではメモを取る機会が多いですよね。その際、無意識のうちにペン回しをしないように要注意!

「メモを取りながらペン回しをすると、注意が散漫という印象を与えてしまいます。メモを取るときは取る、それ以外はペンを動かさないようにするのがコツです。そのほうが、話す相手も気が散りません」(磯部さん)

人前でこの癖が出ないようにするには、自分のデスクで何かものを書くときにおいても、ペン回しをしないように心がけましょう。

■5:ぺこぺこと首だけでお辞儀する

人に挨拶したり、お礼やお詫びを伝えたりするときにするお辞儀。その所作においても、品格が現れやすいようです。

「ぺこぺことお辞儀しすぎるのは軽率な印象です。相手に敬意を示そうとするあまり、何度もお辞儀するのではなく、丁寧なお辞儀を1回するようにしましょう。

とりわけ、首から頭を下げるのは、若者のような印象で、相手をバカにしているように見えてしまう恐れもあります。お辞儀は頭から腰までが一直線になるのを意識して、腰から行うようにしましょう。真下を見ると、首だけが下がってしまいますので、相手の足元を見るのがちょうどよい角度になります」(磯部さん)

相手に敬意を示すつもりで、かえって悪印象をもたれては残念ですよね。正しいお辞儀をマスターしましょう。

■6:男性にやたらボディータッチする

男性との距離感に気をつけて
男性との距離感に気をつけて

ボディータッチは人と親密になるためのコミュニケーション手段ですが、これを男性にやりすぎると軽い女だと誤解されてしまう恐れが……。

「『○○さんったらー』と言いながら、相手の腿に手を乗せたりするのは、夜のお店の方がするしぐさです。相手の腕に手を添えたりするのも、周りから誤解を受けることもありますので、女性から男性へのタッチは好意がないときにはしないほうがベターでしょう。

好意があるときには人目を忍んで、意中の相手にだけに行うのがよいと思います。ボディータッチする男性の人数が多ければ多いほど、よりいっそう軽い女性だと見られかねません」(磯部さん)

過度のボディータッチは男性から誤解されるだけでなく、同性からも「あざとい」などと反感を買うもと。職場の飲み会などでも、酔った勢いでやってしまわないように注意しましょう。

■7:コーヒーカップを置くときに大きな音を立てる

カップの扱いにも品性が出る
カップの扱いにも品性が出る

動作のたびに、むやみに物音を立てる人はがさつで残念な印象ですよね。ティータイム中にも細心の注意が必要です。

「コーヒーカップやマグカップを無造作に置くと、ガチャンと大きな音が出やすいです。カップを置くときは、小指を先にソーサーやテーブルにつけてから置くと音がしません。音を立てると、怒っているような印象を与えてしまうこともあるので、しぐさはそっと奥ゆかしく丁寧に行いましょう。

また、本や書類の扱いでも、デスクにバサッと粗雑に置くのではなく、ちょっと配慮するだけで印象は大きく変わります。エレガントに見えるコツは、“重きを軽く、軽きは重く”です。つまり、荷物が重いときほど周囲に心配をかけないように涼しげに振る舞い、逆に、名刺のような軽いものこそ、重いもののように丁重に扱うように心がけましょう」(磯部さん)

“重きを軽く、軽きを重く”というのは、茶道の心得の一種とのことです。おしとやかで洗練されたしぐさを身につけたい人はぜひこの心得を実践しましょう。

■8:バッグの中をごそごそとあさる

持ち物の整理整頓はできていますか?
持ち物の整理整頓はできていますか?

書類や財布、ハンカチなど、必要なものがあればいつでも迅速に鞄から取り出せるでしょうか? 整理整頓ができておらず、「あれどこだっけ?」とバッグの中をごそごそとあさるのはNGとのことです。

「バッグの中がごちゃごちゃで、なかなか見つからないのは、だらしがない印象です。バッグや机の状況によって、その人がどんな部屋の様子など、暮らしぶりまでがなんとなく見えてしまうもの。身の周りはすっきりと整頓しておきましょう」(磯部さん)

同様に、財布がレシートや小銭でパンパンだったり、カードやお金をさっと取り出せなかったりするのもルーズな感じがして、金銭感覚も疑われてしまいそうですよね。自分の部屋、職場のデスク、持ち物など整理整頓を心がけましょう。

何気ないしぐさによって、評価をおとしめてしまうのはもったいないですよね。上記の中にもし自分に当てはまるものがあれば、この機会にぜひ改善しましょう。

磯部らんさん
マナー講師、利き酒師、文筆業
(いそべ らん)大手運輸会社で長年勤務したのち、都内の研修会社に転職、その後独立。自己啓発本の執筆や雑誌でのコラム執筆、マナー講師として企業で研修を行い、テレビやラジオにも出演。日本酒と風呂敷包みなど和のマナー講師としても活躍。著書に『超入門 ビジネスマナー 上司が教えない気配りルール』(すばる舎)、『人から好かれる話し方・しぐさ基本のコツ』(西東社)、『イラストでよくわかる敬語の使い方』『正しい敬語どっち?350』(彩図社)などがある。
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この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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