イタリア初のスターバックス・ミラノ店

2018年9月、イタリア初のスターバックスがミラノにオープン。いつものスタバとは違う高級路線で話題を呼んでいる
2018年9月、イタリア初のスターバックスがミラノにオープン。いつものスタバとは違う高級路線で話題を呼んでいる

兼ねてからバルセロナやウイーンなど他のヨーロッパ諸国の首都を訪れるたびイタリアにスターバックスが上陸する日は果たして来るのだろうか? と考えたこともあったが、イタリア初のスターバックスは、キャラメルフラペチーノがあったり、ソイラテがあるような、いわゆる誰もが知るスターバックスとは一味違った、世界3店舗目となる高級ライン「リザーブ・ロースタリー」なのだ。

ミラノの街並みをイメージした店内はイタリアならでは!

1階にある大理石トップの馬蹄形カウンター。座ってコーヒーを呑むこともできるし、イタリア人の多くはカウンターにもたれてスピリッツなどのカクテルを飲む「アペリティーヴォ(食前酒)」にも利用している
1階にある大理石トップの馬蹄形カウンター。座ってコーヒーを呑むこともできるし、イタリア人の多くはカウンターにもたれてスピリッツなどのカクテルを飲む「アペリティーヴォ(食前酒)」にも利用している

黒服のセキュリティが警備に目を光らせる入り口を抜けると、確かに天井も高く広大なスペースだが、新しいというよりも昔からここにあったかのような印象がある。

それは古いバールによくあるモザイクタイルや大理石のカウンターなどが古き良きイタリアの雰囲気を上手に醸し出しているからなのだろう。

右手にはイタリアには珍しい長い楕円形のカウンターでコーヒーを楽しむ人たちや、中央には巨大なロースターがあり常時スタッフがコーヒー豆を出し入れしている。

一階はほぼ満員だったので中二階にあるカフェ・スペース「アリヴィアーモ」へ。ここではスタッフが席まで案内してくれるばかりか荷物やコートを預かるクロークもある、ホテルのカフェラウンジのようなサービス。

1階中央にある巨大なロースターでは、1日中スタッフがコーヒー豆の焙煎作業をしている
1階中央にある巨大なロースターでは、1日中スタッフがコーヒー豆の焙煎作業をしている

メニューを見るとオリジナル・ブレンド「リザーブ2018」「パンテオン2018」などの他産地別にスマトラ、タンザニア、ブラジルなど合計20種類。

抽出法としてドリップ、インフュージョン、水出し、サイフォン、カフェモカがある他にカウンターではバリスタがシェイカーを振るカクテルのスタイル、ミクソロジーも提案している。

選んだのは冷たい水出しコーヒー「ニトロ・ドラフト」から「ニトロ・コールド・ブリュー TALL₡5.50」、エスプレッソを氷と共にシェイクしたカフェ・シェケラートとは違い、水出しならではの柔らかなカフェインとほのかな酸味で非常に飲みやすいコーヒーだった。

確かに一般のスターバックスからすると価格は3倍近いがサービスを考えると手頃な値段ではないだろうか。

中2階にある「アリヴィアーモ」では、スタッフがテーブル席まで案内してくれ、飲み物も運んでくれるいわゆるカフェ式のサービス
中2階にある「アリヴィアーモ」では、スタッフがテーブル席まで案内してくれ、飲み物も運んでくれるいわゆるカフェ式のサービス

ちなみにベーカリー部門はミラノ市内に数店舗構える「プリンチ PRINCI」が運営。

ブリオッシュ、トルタ、パニーノ、マフィン、パネットーネ、ピッツァ、パニーノと揃い、アペリティーヴォの定番スプリッツはじめワインからグラッパまでバール同様アルコールのラインナップも充実しているところが通常のスターバックスとは違う点で、朝、昼、夕方、夜と使い分ける楽しみもある。

もしミラノを訪れたなら、物見遊山を兼ねて一度試す価値はある。

「Starbucks Reserve Roastery(スターバックス リザーブ ロースタリー)」

この記事の執筆者
1998年よりフィレンツェ在住、イタリア国立ジャーナリスト協会会員。旅、料理、ワインの取材、撮影を多く手がけ「シチリア美食の王国へ」「ローマ美食散歩」「フィレンツェ美食散歩」など著書多数。イタリアで行われた「ジロトンノ」「クスクスフェスタ」などの国際イタリア料理コンテストで日本人として初めて審査員を務める。2017年5月、日本におけるイタリア食文化発展に貢献した「レポーター・デル・グスト賞」受賞。イタリアを味わうWEBマガジン「サポリタ」主宰。2017年11月には「世界一のレストラン、オステリア・フランチェスカーナ」を刊行。