1世紀を超える歴史を持つ日本の機械式時計
「セイコー プレザージュ プレステージライン 漆・白檀塗 限定モデル」
ベースに採用する漆黒の文字盤は、金属に漆を重ねる革新的な手法と、平滑面を生み出す古来伝承の技を合わせ、何十回もの塗りと研ぎを繰り返すことで創生されたものだ。
漆の美しい光沢をたたえながら、針の動きを妨げない厚みに仕上げるには、高度な技術が必要とされるが、このモデルは漆黒文字盤の上に、さらに伝統的な漆芸「白檀塗」をあしらう。
3時と5時に位置するサブダイヤルに見られる独特の飴色こそ、白檀塗特有の色味。下地となる漆文字盤に重ねるように金属粉を塗布し、何層にも、褐色味を帯びた透漆の塗りと研ぎを繰り返すことによって、暁の空からしぼったような色が生まれるという。
白檀塗の空にあたかも月のように浮かぶ、9時位置の金色の曲線には、漆芸の装飾手法のひとつ「蒔絵」が描かれる。白檀塗と同じように、漆地に接着剤となる漆を施し、その上から金色の金属粉を蒔いて固めて加飾する。
この蒔絵が、しっとりとした文字盤に華を添えている。監修には、加賀蒔絵をあしらった高級万年筆などで世界的に名高い漆芸家、田村一舟氏を起用。完成までに、多くの漆器職人が携わることで、いわば漆芸の競演を実現している。
艶やかな漆の美しさを引き立てる、エレガントなフォルムのケースは、筋目と鏡面で研磨の仕上げを分け、ガラスには、どの角度からも漆の魅力が伝わる、デュアルカーブサファイアガラスを採用。光の反射を抑えるセイコー独自のスーパークリア コーティングも施されている。
日本伝統の美意識と時計作りの至高の技術の邂逅から生まれた芸術品といえるだろう。
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- TEXT :
- 安藤政弘 ライター
- WRITING :
- 安藤政弘