北海道グルメの代表格のひとつジンギスカン。実は、羊肉は身体を温める効果があり、冬にもってこい! ただ、専用のジンギスカン鍋を使う機会はなかなかないので、食べ方がよくわからない……という人も多いのではないでしょうか?

トータルフードプロデューサーの小倉朋子さんによれば、鍋を使いこなすことこそ、ジンギスカンをおいしく美しく食べるコツとのこと。

鍋を使いこなせずに味を損なってしまったり、知らずに下品な食べ方をして周囲の人に白い目で見られたりしては残念ですよね。そこで、小倉さんからジンギスカンを食べるときのNGマナーを教わります。

人前でやってはいけない「ジンギスカンの食べ方」7選

■1:肉と野菜を同時に焼くのはNG

先に野菜を縁で焼く
先に野菜を縁で焼く

ジンギスカンをおいしくいただくためには、焼き順を守りましょう。小倉さんによれば、まずは野菜をジンギスカン鍋の縁で焼いてから、肉を中央の山型部分に乗せるのがよいとのこと。縁で野菜、中央で肉を焼くことにより、肉汁が野菜のほうに流れていい具合に味がつくようです。

「野菜を先に焼くのには、ふたつ理由があります。まず、野菜のほうが肉よりも火が通りにくいこと。そして、生の状態よりも少し加熱した野菜のほうが、肉汁がしみこみやすいのです」(小倉さん)

肉と野菜を同時に焼くと、焼き加減でも味でも損してしまいます。早く肉が食べたいからといって、野菜と肉をいっぺんに焼かないようにしましょう。

■2:肉を鍋に無造作に置くのはNG

肉を広げて置く
肉を広げて置く

みんなでひとつの鍋を共用するジンギスカンだからこそ、肉の並べ方にひと工夫を。肉を重なった状態にするなど、無造作に置くのはNGです。

「肉は広げて、肉同士が重ならないように隙間を空けて並べるようにしましょう。肉を重なった状態で置くと、火が通りにくいですし、隙間を空けておかないと肉を取るときに他人の箸と触れそうになる恐れがあります」(小倉さん)

小倉さんによれば、肉を広げて隙間を空けて並べたほうが、肉汁が流れて野菜に味がつきやすいというメリットもあるそうです。みんなで快適にジンギスカンを楽しめるように、肉を無造作に置くのではなく丁寧に並べましょう。各人の“領土”がわかりやすいように置くとより親切かもしれません。

■3:肉を焼きすぎの状態で放置するのはNG

肉のちょうどよい焼き加減は?
肉のちょうどよい焼き加減は?

肉の焼き加減はお好み次第ではありますが、とはいえ、焼きすぎはおすすめできません。

「焼き加減の目安ですが、まず、片面を焼いて肉の真ん中がふっくらしてきたら裏返すタイミング。裏返したらさっと数秒焼くだけでOKです。それ以上加熱しすぎると、羊肉は固くなってしまいます。

すぐに食べない肉を取り皿に置いておくと冷めてしまうので、鍋に残っている野菜の上に乗せておくのもアリです。鉄板には直接触れていないので焼きすぎを防止でき、適度に保温することができます」(小倉さん)

焼きすぎに注意してベストな状態の肉を堪能しましょう!

■4:肉ばかり食べるのはNG

肉の追加は野菜も食べ切ってから
肉の追加は野菜も食べ切ってから

ジンギスカンの主役はといえば、やはり羊肉。とはいえ、肉ばかり食べるのはなんだか意地汚い感じもしますよね。肉と野菜はバランスよく食べましょう。肉の追加を注文したいときは、野菜も食べ切ってからのほうがよいとのことです。

■5:肉を噛み切るのはNG

ジンギスカンに限らず、食事の一般的なマナーとして、食べかけの食材の噛み口を人に見せるのはNGとされています。ジンギスカンの肉は1枚がかなり大きいこともありますが、ひと口で食べきれなかったものを取り皿に戻すのは好ましくありません。

「肉が大きい場合、口に運ぶ前にまずは取り皿でひと口サイズに切り分けるようにしましょう」(小倉さん)

あらかじめ店員さんにナイフを頼んでおくのがよさそうです。

■6:大口を開けて肉を食べるのはNG

肉をエレガントに食べるには?
肉をエレガントに食べるには?

さきほど肉を食べかけ状態にするのはよくないとお伝えしましたが、無理にひと口で食べようとして大口を開けてしまうのも下品なのでやめましょう。

「大きい肉はひと口サイズに切り分ける以外に、小さく折りたたんで食べるという方法もあります。あとは、アスパラガスやネギなど細切りの野菜に肉を巻きつけて食べるのもよいでしょう」(小倉さん)

ジンギスカンは、あまり堅苦しいマナーにとらわれず和気藹々と食べる料理ではありますが、大人の女性たるもの最低限のマナーはわきまえてエレガントに振る舞いたいものですよね。

■7:ご飯の上に肉を乗せるのはNG

ご飯に肉を乗せるのはNG
ご飯に肉を乗せるのはNG

ジンギスカンは味が濃厚なので、一緒にご飯を食べたいという人もいるでしょう。ご飯には肉を乗せてしまわないように要注意!

「確かに、ご飯に肉汁がしみておいしいという説もありますが、マナー的にはこの食べ方はおすすめできません。白いご飯は白いまま食べるのが食材に対する礼儀。ご飯を取り皿がわりにしないようにしましょう」(小倉さん)

オン・ザ・ライスは自宅でこっそりやる分にはいいかもしれませんが、外食の席ではふさわしくないかもしれませんね。

なかなか食べる機会のないジンギスカンですが、これらのマナーを押さえておけばよりおいしく美しく楽しむことができそうですね。「普段とはちょっと違うものを食べたいな」という気分のときは、ぜひジンギスカンをチョイスしてみては?

小倉朋子さん
トータルフードプロデューサー
(おぐら ともこ)トヨタ自動車広報、海外留学を経て現職。諸国の食事マナーと総合的な食について学ぶ「食輝塾」を開催。飲食店のコンサルティング、マーケティング分析から食文化、マナー、ダイエット、食育など幅広いジャンルで活躍。主な著書に『世界一美しい食べ方のマナー』(高橋書店)、『やせる味覚の作り方』(文響社)など。
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WRITING :
中田綾美
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