クーペは大柄なほど映える。ボディサイズの縛りがないのだから、伸びやかなラインで表現されたスタイリングは当然美しくなるし、それでいて2+2という贅沢なつくりも、クーペのキャラクターを増幅させる。高級スポーツカーから始まったベントレーは、大人が似合う2ドアモデルにも力を入れてきた(ロールス・ロイスとバッジが違う時代もあったけれど)。近年は存在感のあるコンチネンタルGTで、甘美なクーペの世界を牽引してきた。昨秋から日本でのデリバリーが始まった新型は、「今の気分」もほどよくブレンドした、さすがの出来栄えである。

「前足」の位置を変更してさらにかっこよく!

ホイールベースが伸びたことで、エレガントな雰囲気が増した。グレージュ系にも見えるホワイトグレーのボディカラーは紳士だけでなく、淑女にもおすすめだ。
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バキっとしたプレスラインの入るリアフェンダーの盛り上がりもみどころ。アルミを500度に加熱して成形するスーパーフォーミング加工を取り入れることで、彫刻のような造形を可能としている。
トランクリッドの後端には速度感応式のスポイラーを装備。

 新型「コンチネンタルGT」を眺めてみると、曲線で構成されたボリュームのある従来型よりも明らかにロー&ワイドな印象だ。新世代のプラットホームを用い、フロントアクスル(前輪の車軸)は13.5センチ前方に移動し、鼻先が長く後ろが短い古典的なスポーツカーのスタイルを強調している。全長は3センチ、全幅は9ミリ大きくなっただけなのに…。これぞデザインのマジックだ。

 はじめに登場したのは、伝統の6リッターW12ツインターボエンジン搭載モデルだ。8段化されたDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)との組み合わせで、635馬力ものパワーを滑らかに、かつその気になれば怒涛の加速を味わえる。

デコラティブな音と光の演出が乗り手の裾野を広げる

やがてはV8モデルも追加されるだろうが、V6を2基合体させたW12エンジンは、もっともベントレーらしいパワーユニットだ。
メーターはフルデジタルに。メーターの縁取りやつまみの外周がダイヤモンド型に装飾されている。クラシカルなウッド&レザーとも馴染み、ひときわきらびやかな空間だ。センターの3連メーター部分はパネルごと回転して、ウッドパネルとナビ画面にローテーションする。
用意されるオーディオシステムは3種類。写真は2,200ワット、18スピーカーならなる最上級のNaim製。8種類のサウンドモードが選べる。スピーカーのカバーまで手抜きのないつくりに圧倒される。
プレス向けの試乗イベントの会場となったのは、箱根の「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」。全11室の「滞在するレストラン」は、ベントレーで行くラグジュアリーな旅の目的地にふさわしい。運転を妨げない、柔らかな極上素材のウェアに身を包み、外界と隔絶された至高のドライブを楽しみ、美味なるメニューを食す。ベントレーなら、そんな最高の休日が味わえる。
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 野獣のごとき圧倒的なパワーを受け止める足は、近年の高性能スポーツカーと同様の全輪駆動。といっても、通常は限りなく後輪駆動に近く、必要に応じて前輪に最大38パーセントのトルクが配分される。もっとも、箱根での試乗でその性能を存分に発揮することなどできるはずもなく、前輪のトルク伝達を感じることはほとんどなかった。筆者の未熟なセンサーでは…。まあ、それほど自然なコーナリング性能ということでご理解いただきたい!

 もちろん、それほど飛ばさなくても興奮は味わえる。走行プログラムをスポーツモードにすれば、低めのギアでぐいぐいと加速しながら、派手な排気音が楽しめるのだ。時と場所をわきまえる必要はあるものの、こういうわかりやすいギミックは、クルマの楽しさを(周囲の人も含めて)広げてくれる。

 クラシカルな世界観を残しつつ、LEDヘッドライトも含めた「キラキラ演出」が強調されているのも新型の特徴。デコラティブな演出を好まない方は首をひねるかもしれないが、クルマの本質的な部分が高いレベルにあるベントレーなら、遊びも許されるのでは?

〈ベントレー・コンチネンタルGT ファーストエディション〉
全長×全幅×全高:4,880×1,965×1,405mm
車両重量:2,260kg
排気量:5,950cc
エンジン:W型12気筒DOHCツインターボ
最高出力:635PS(467kW)/6,000rpm
最大トルク:900Nm/1,350〜4,500rpm
駆動方式:4WD
トランスミッション:8DCT(AT)
価格:¥33,525,100(税込み)
※ファーストエディションはデリバリーを記念した2018年限定車です。

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この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。