気のおけない友達と出かける旅の楽しさは格別! しかし、自分自身がリフレッシュすることや、仲間内で盛り上がることばかりに気をとられて周囲への配慮を欠くと、ひんしゅくをかってしまうことも……。

場合によっては、友人間でトラブルが発生したり、第三者からからクレームをつけられて嫌な思いをしたりなど、せっかくの旅行の思い出を台無しにもしかねません。

そこで、コミュニケーション講師の桑野麻衣さんから、友達などと「2人以上で行く旅行」でのNG行動について教わりました。これから誰かと行くときは、ぜひ以下の9つを気をつけて行きましょう。

友達と旅行するときにやりがちだけど、実は迷惑がかかる行動9選

■1:予定や希望を紙で事前共有しないのはNG

グループ旅行の計画は念入りに
グループ旅行の計画は念入りに

出発前の計画は、旅行の満足度を左右するといっても過言ではありません。とりわけグループで出かける場合は、どのような旅行にしたいのか、事前にすり合わせを行うことが必須だと桑野さんは主張します。

「女性グループの旅行では、気を使いすぎてかえってトラブルになるケースが少なくありません。仲の良い間柄であったとしても、旅行は普段と違い、寝食を共にするのですから過度な我慢は禁物です。

例えば、旅行の日程は、ガチガチに詰めたい派と、のんびりまったりしたい派がいますよね。そのほか、絶対にここには行きたいとか、現地で何を食べたいとか、逆に、地元グルメでもこれはちょっと苦手だとか、それぞれ旅行スタイルの理想や要望があることでしょう。

それをグループ内で共有しないまま出かけると、誰かが周りに合わせてずっと我慢し続けた末に、旅の途中で不満を爆発させてしまうことがよくあるのです。

また、争いが表面化しないまでも、不満そうな態度は自然と出てしまうもの。グループ内に旅行を楽しめていない人がいると、本人だけでなく、周囲も何だか面白くありません。

旅行中、『これがしたい』『これは嫌だ』と思うところがあっても、周りの空気を読んでなかなか口に出せない人が多いので、出かける前にここだけは譲れないという点をグループ内ではっきりさせておくことをおすすめします。

社会人女性であれば、日頃、仕事において意見の調整をするのには長けているはず。ぜひプライベートの旅行でも、その折衝力を生かして事前にすり合わせを行い、メンバー全員にとって満足度の高い旅行を目指しましょう」(桑野さん)

LINEグループなどで送信すると埋もれやすいため、公式サイトの情報をプリントアウトするか、手書きメモをコピーして共有しておくとトラブルを防げそうです。

■2:同行者の好みや事情を配慮せず座席を選ぶのはNG

新幹線等の座席で気をつけるべきことは?
新幹線等の座席で気をつけるべきことは?

新幹線や飛行機の座席は、景色を楽しめる窓側が好きな人もいれば、移動しやすい通路側を好む人もいます。また、普段は窓側派の人でも、体調が優れない日には通路側に座りたいと思うかもしれません。

そうした周りの好みや事情にまったく配慮せずに、常に自分の好きな席ばかり確保していると、「なんか自己チューな人!」とグループ内で反感をかってしまう恐れがあります。

「普段、仲良しグループでランチに行く際には、わざわざ話し合いをしなくても、誰がどこに座るのか、なんとなく決まっていないでしょうか?

ランチくらいの短時間ならそれでもいいのですが、旅行の場合、じっと座っている時間が長いので、座席による不公平感が大きく出やすいといえます。

ですから、自分の好きな席に勝手に座ってしまうのではなく、『行きは窓側だったから、帰りは通路側にするね』と提案したり、『お先にどうぞ』と友達に先に席を選ばせたりなど、譲り合いの精神を示しましょう」(桑野さん)

お互いがいい席に座れるように、「●●駅に着いたら座席を交替しよう」などと決めておくのもよさそうです。

■3:ガイドさんの説明をメモしないのはNG

観光バス車内ではガイドさんの説明をしっかり聞こう
観光バス車内ではガイドさんの説明をしっかり聞こう

旅先では観光バスを利用することもありますよね。その際、移動時間だからとスマホをいじったり、乗り心地がよいと、旅の疲れもあって、ついウトウト居眠りしそうになったりしませんか? その行動、グループ旅行では同行者に失礼にあたる恐れもあるので要注意です。

「観光バスでの移動中には、ガイドさんから今後のスケジュールについての説明が行われることがあります。例えば、次に訪れる観光地の情報や、『何時何分に戻ってきてください』という集合時間の案内などですね。

そうした説明を聞くのを友人に任せきりにして、バス車内でスマホでメールやSNSなどに必死な人がときどきいますが、大人の女性としてあまり好ましくありません。バスを降りてから『えーっとこれからどうするの?』と、おんぶにだっこ状態では、まるで家族旅行に来た子どものようですよね。

グループ旅行においては、ギブアンドテイクの精神が欠かせません。もちろん、バス車内で絶対にスマホを触ってはいけない、寝てはいけないというわけではないのですが、もし、友人に助けてもらったら、別のところでは、例えば、通訳担当をしたり、地図担当をしたりなど、自分も役立つように動くことが大切です」(桑野さん)

今はスマホでもメモできます。移動中はアナウンスは聞き逃しやすいので、大事な話は忘れないようにしっかり記録しておきましょう。

■4:食前に時間をかけて料理を撮影するのはNG

写真撮影は1枚だけ
写真撮影は1枚だけ

旅先でインスタ映えしそうな料理と出合えたら、やはりカメラに収めておきたいですよね。もちろん、お店側の許可があれば、料理の撮影自体はマナー違反には当たりません。ただ、何枚も撮り直しをするなど時間をかけすぎるのは考えもの。

「料理の撮影は、ささっと1枚撮ったら終了にしましょう。周りのみんなが既にいただきますの態勢になっているのに、自分だけ撮影角度などにこだわって、『ごめん、もうちょっと待って!』と延々と撮り直しをしては、食事のムードを悪くしかねません。

ちなみに、グループ旅行で写真撮影を各人が行うとどうしても時間がかかってしまいますので、撮るのが上手な人が撮影担当になって、あとからみんなに共有してもらうという方法もおすすめです」(桑野さん)

とくに熱々がおいしいものは冷めてしまうので、時間がかかりそうなら撮影をあきらめるのもひとつです。

■5:支払い時にお金の貸し借りをするのはNG

旅行中になるべく金銭の貸し借りは避けたい
旅行中になるべく金銭の貸し借りは避けたい

観光地で人気の飲食店では、レジでの混雑を避けるために、個別会計をお断りしているところもあります。この場合、代表者が一旦、全員分の立替払いをして、お店を出てから「ひとり何円お願いね」と精算するのがよくある方法。

ただ、このやり方では小銭が足りないなどでお金の貸し借りが発生し、その返済がなかなか行われずに、貸した側がモヤモヤする……など金銭トラブルにつながる危険性あり!

「グループ旅行で細々としたお金のトラブルを防ぐためには、ひとつの共有財布をつくっておくことをおすすめします。雑誌の付録のお財布などを共有財布にして、メンバー全員からひとり1万円など、ざっくりとした金額を徴収して入れておき、旅行中の飲食費はそこから出すようにするのです。この方法であれば、お金の精算は、旅行終了後の1回で済みます」(桑野さん)

財布がひとつだけになれば、荷物も減らせて一石二鳥ですね。

■6:観光地で興奮しながら話すのはNG

厳かなムードを壊しては大ひんしゅく
厳かなムードを壊しては大ひんしゅく

友達と旅行に出かけると、つい気分が盛り上がって、自分たちでは普通にしゃべっているつもりが、周囲には騒音になってしまうこともしばしば。とりわけ、観光地の神社、仏閣、教会、モスクといった宗教施設では、声のボリュームにはくれぐれも注意しましょう。

「日本人は、宗教観が比較的ゆるやかなこともあってか、教会やモスクなど海外の宗教施設で、『わーすごい』など歓声を上げて、うっかり厳粛なムードを破ってしまうことがあるようです。

また、国内の神社や仏閣などでも、まるで修学旅行に来た中高生のように大はしゃぎしながら写真撮影を行っている大人グループを見かけることもあります。やはり宗教施設は静寂をたしなむ場所ですので、大人げない振る舞いは慎みましょう」(桑野さん)

大声を出しそうになったら、パンフレットを丸めて筒状にして、その中に向けて話すのもひとつです。

■7:人気の撮影スポットに長時間居座るのはNG

観光地での写真撮影は配慮必須
観光地での写真撮影は配慮必須

観光地でもう1点注意すべきなのは、写真撮影。人気の撮影スポットで、まずは集合写真を撮ってから、今度はひとりずつポーズをとって撮影会……というように、何枚も連続で撮ろうとすると、他の旅行者にとって大迷惑です。

「グループ旅行で写真撮影を行う際は、他の観光客が撮影待ちをしていないか、周りの状況をよく確認しましょう。

自分たち以外に、写真を撮りたそうにしている人を見かければ、集合写真を1枚だけ撮って、一旦、次の人に場所を譲ること。また、集合写真の撮影では、『次の人がいるから早く早く』と声をかけ合って、さっと切り上げるようにしましょう。

このように、周りの人に配慮するのは、自分たちのためでもあるのです。大声でおしゃべりしたり、撮影スポットに居座ったりなど、周囲を顧みない身勝手な行動をとると、他の旅行者から文句を言われるなどして、自分たちも嫌な思いをしてしまいます。

こうしなければならないというように、マナーを堅苦しくとらえるのではなく、自分たちが快適な旅行をするために、周囲をちょっと気遣うという姿勢が大事なのではないでしょうか」(桑野さん)

海や山のような広大な自然であれば独占しにくいですが、銅像や石像のようなひとつしかないものの撮影時はとくに要注意です。

■8:ホテルの浴室や洗面所を汚したまま放置するのはNG

共有スペースはきれいに使おう
共有スペースはきれいに使おう

続いて、宿泊先での注意点です。友達と同室の場合には、浴室や洗面所など共有スペースをきれいに保つことを心がけましょう。

「旅行に限らず、お友達の家にお泊りする場合にも当てはまるのですが、自分のあとに使う人の立場になって行動することが大切です。例えば、シャワーを使った後、排水口の抜け毛を放置したり、脱衣所や洗面所を水浸しにして知らん顔したりするような、心無い振る舞いは避けましょう」(桑野さん)

また、友達が苦手な香りのシャンプーや入浴剤はなるべく使わないようにするのも気遣いです。

■9:起床後に大きな機械音や生活音を出すのはNG

ホテル内で朝はなるべく静かに
ホテル内で朝はなるべく静かに

グループ旅行で寝食を共にすると、友人と自分の生活習慣の違いに気づき、驚かされることもありますよね。特に、朝の過ごし方においては、自分では当たり前だと思っている習慣が、同室の友達にとって安眠妨害になってしまうこともあるようです。

「私の実体験なのですが、旅先のホテルで、友達がつけたテレビの大音量でたたき起こされたことがあります。彼女は普段からその方法で目覚まししているらしく、そういう習慣もあるのだな、とびっくりしちゃいました。

このほか、朝シャンの習慣がある人にとっては、早朝からドライヤーを使うことが当たり前ですが、前の晩のうちに洗髪を済ませて朝はゆっくり寝ていたい人にとっては、ドライヤーが騒音になってしまいます。

目覚ましをどういうふうに行うのかも、髪をいつ洗うのかも、何が正解というわけではありません。ただ、自分の習慣が当たり前だと思い込んでいると、知らずに友達に迷惑をかけてしまうことはあるという点は、心のとどめておくほうがいいのでは?」(桑野さん)

また、就寝中にスマホの通知音で同室の友達を起こさないことも重要。寝る前に音を出すのは目覚ましだけに設定しておいた方がよさそうです。

旅行中、周囲へのちょっとした配慮を欠いたために、誰かに不快感を与えたり、自身が嫌な気分にさせられたりする事態は避けたいですよね。今回ご紹介したNG行動を念頭に、楽しい旅の思い出をつくりましょう。

桑野麻衣さん
コミュニケーション講師・著者
(くわの まい)学習院大学卒業後、全日本空輸入社。グランドスタッフとして、最重要顧客DIAMOND会員専用カウンターのサービス責任者、教育訓練インストラクターを務める。ANA在籍中、オリエンタルランドに出向し、ディズニーのサービスや教育を学ぶ。その後ジャパネットたかたや再春館製薬所グループ企業での教育担当を経て、2016年に独立。現在は幅広い層に向けて、年間200本の企業研修・講演を国内・海外にて行う。著書には『好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい』『部下を元気にする、上司の話し方』がある。
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この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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