多くの仕事で、毎日のように文書や画像、音声や動画などのデータを送受信する必要がありますよね。

その際、自分が送ったものが相手にうまく届かなかったり、逆に、相手から送られたものを受け取れなかったりなど、何かと困ったことが起こりがち。

そんなトラブルを予防したり、トラブル発生時に感じよく対応したりするには、どうすればいいのでしょうか? IT・SNSマナーコンサルタントの石川礼子さんから、データを送受信するときのNGマナーについて教わりました。

データのやりとりひとつで、相手も自分も大損害を被る可能性があります。以下の9つに気をつけて、やりとりしていきましょう!

やりがちだけど実は相手が迷惑する「データ送受信時のNGマナー」9選

■1:1MB以上のデータを無許可で送りつけるのはNG

もしかして相手に負担をかけているかも…

メールに添付してデータを送る際、まず押さえておきたいのは、データのサイズ。動画など大きなサイズのファイルでは、受信に時間がかかって相手に迷惑をかけたり、そもそも相手のメールサーバーの容量をオーバーして届かなかったりする恐れもあります。

こうしたトラブルを予防するには、メールにデータを添付する前に、必ずサイズを確認しましょう。

「メールに添付してOKなファイルのサイズは、一般的には2MBまでといわれています。ただ、2MB以内でも、相手のメールサーバーの状況によっては、エラーが発生する可能性はゼロではありません。念には念を入れて、メールに添付するのは1MB以内にとどめるのが賢明でしょう。

1MBを超えるものは、ストレージサーバを通じてやりとりするか、あるいは動画であれば、YouTubeに非公開設定でアップしてそのURLをメールで相手にお伝えするという方法もあります。

なお、Wordなど文書ファイルは、通常は1MBを超えることはありませんが、文書内に画像を多く挿入すると、意外とサイズが膨大になっていることも。文書ファイルだからといって油断せずに、サイズを確認するようにしましょう」(石川さん)

サイズが大きいときには、圧縮するという方法もありますが、圧縮ファイルはスマホからでは開けない恐れもあります。大きなサイズのファイルは、ストレージサーバーでやりとりするのが、より確実な方法だといえそうです。

■2:相手のマシンで開けない拡張子のものを送るのはNG

データの送信においては、データのサイズだけでなく、ファイルの形式も配慮する必要があります。とりわけ、相手が初めて取引するお客様の場合、自分がいつも当たり前のように扱っているファイルが、受け手のデジタル環境では開けないことも珍しくありません。

「例えば、受け手がパソコンを使わずスマホのみ利用しており、アプリも最小限しか入れていない場合、WordやExcelなど広く普及しているソフトのファイルでも、開けない恐れがあります。自分のITリテラシーと相手のそれが常に一致するわけではないことを念頭におきましょう」(石川さん)

ということは、初めて取引するお客様にデータを送る際は、事前に相手のデジタル環境を確認したほうがいいのでしょうか?

「確認するのが望ましいともいえますが、ただ、WordやExcelについては、『Wordファイルをお送りしてもよろしいでしょうか?』と逐一確認をとるのは煩雑で、相手にも返信の手間をとらせることになります。事前に『メールに添付してWordファイルをお送りします』などと通知して、特に、相手から異論がなければ送るという流れでよいかと思います。

ちなみに、パソコンでもスマホでも、どんなデジタル環境においても開く確実性が高いのはPDFファイルです。相手にデータを編集させるのではなく、閲覧のみが目的の場合、PDFファイルで送るのはトラブルを予防する有効な手段だといえるでしょう」(石川さん)

どんなファイルを送るのか事前にひと言通知したり、PDFファイルに変換したりするひと手間を惜しまないようにしましょう。

■3:件名や本文で添付ファイルの内容を明記しないのはNG

件名と本文をしっかりチェック

事前に「Wordファイルをお送りします」など通知しただけで安心してしまうのは、相手に対する配慮が不十分。実際にデータを送信する際には、メールの件名や本文でどのようなファイルを添付しているのかわかりやすく明記しましょう。

「事前にデータを送信するという通知を受けていたとしても、いきなり添付ファイルのメールが届くと、セキュリティーの問題上、相手は不安を覚えるはず。

まず、メールの件名に“添付ファイルあり”と記載されていれば、相手は安心してメールを開くことができます。かつ、本文のほうでどのようなファイルなのか内容について説明があれば、より親切です」(石川さん)

件名や本文でファイルについての説明がないと、最悪の場合、迷惑メールだと誤解されてゴミ箱行きになる恐れもあります。添付ファイルを送る用のテンプレートメールを用意しておきましょう

■4:フォルダ・ファイル名に半角カタカナや全角英数字を用いるのはNG

データを送る際には、フォルダやファイル名にも要注意。半角カタカナや全角英数字、日本語を用いると、データ送信時に文字化けを起こして、相手には判読不能になってしまう恐れがあります。

日本語でタイトルをつけるほうが、タイトルをパッと見ただけでファイルの内容がわかりやすいというメリットはありそうですが、文字化けしてしまっては元も子もありません。タイトルが『繧ス繝輔ヨ繧ヲ繧ァ繧』なんてファイルが送られてきたら、怖くてうかつには開けませんよね。

文字化けのリスクを抑えたいなら、仕事で送るデータのフォルダ・ファイル名は、なるべく半角英数字と半角アンダーバー“_”のみを使うようにしましょう。

■5:ファイルの中身がわかりにくい名前をつけるのはNG

半角英数字と半角アンダーバーしか使用しない場合、タイトルだけでは中身がわかりにくくなる恐れがあります。

例えば、会議資料のPDFファイルのタイトルが“meeting”や“20190201”などでは、後から見返したときに「これ何だっけ?」ということになりかねません。中身を確認するためにわざわざクリックしなければならないのは、ちょっと煩わしいですよね。

例えば、“20190201_meeting”のように、できるだけ具体的に名前をつけるようにしましょう。

■6:フォルダやファイルの命名ルールを共有しないのはNG

頻繁にデータのやりとりをする場合、フォルダやファイルの命名ルールを定めていないと混乱を招くもとです。対クライアントには丁寧に取り扱っている人でも、社内やグループ内では意外と適当になりやすいので注意が必要です。

例えば、会議資料のPDFファイル名“20190201_meeting”ですが、別の日の会議資料では“meeting_20190208”と日付があとに来たり、“20190208meeting”と半角アンダーバーがなかったりすると、並べ替えがうまくいかず整理整頓が難しくなります。

このほか、似たようなデータのタイトルには、どのように通し番号を付けるかを決めておくことも重要です。例えば、“20190201_meeting_1”とするのか、“20190201_meeing_01”とするのか、決めておかないと、2桁になったときに探しにくくなります。

また、データの改訂版は旧版とどのように区別するのかも同様です。同じようなファイル名だと、どちらが改訂版なのか、受け取った人が理解できなくなります。

タイトルの命名ルールを定めたテキストファイルを誰でも必ず目にするところに入れておき、フォルダ、ファイルの作成者はそれを遵守するようにしましょう。

■7:データの送信後に無断で削除や移動をするのはNG

Dropboxのようなクラウドサーバーを利用してデータを送る際、時間が経っているからとデータを削除したり、別のフォルダに移動させたりするのは危険です。

相手がデータを紛失して、また同じデータを利用する場合もあります。アクセスしたときにダウンロードできなくなっていると、すぐに作業にとりかかれません。至急の対応が必要なときにデータがないと、予定通りに作業が進まず、「また送ってください」とお願いする手間などでタイムロスをしてしまいます。

削除・移動をする際は「もうそろそろいいだろう」と勝手に判断せず、データの送信先や共有メンバーに必ず確認してから行いましょう。

■8:データを受け取ってすぐに返信しないのはNG

データを受け取ったらすぐ確認&返信

ここまではデータを送る側のNGマナーでしたが、逆に、データを受け取る側の注意点もあります。

まず、「メールに添付してデータを送ります」という通知を受けた場合は、実際にメールが届くまでの間、迷惑メールフォルダにも意識を向けるようにしましょう。添付ファイルのあるメールは、特に問題のないものでも、迷惑メールフォルダに振り分けられて見落としてしまう恐れがあるからです。

そして、データを受け取ったら、問題なく閲覧できるかどうか速やかに確認したうえで、すぐに受領済みのメールを送ること!

「メールの返信をなるべく早く行うのは、ビジネスマナーの基本ですが、とりわけデータの授受が伴う場合、送り手は相手に無事届いたかどうか一抹の不安があります。相手を安心させるために、まずは受領した旨の連絡は速やかに行うようにしましょう」(石川さん)

ごく稀にですが、本来送るはずだったデータとは異なるものが送られてくる(例えば、“第1回会議”ではなく、“第2回会議”の資料が送られてくるなど)こともあるので、ファイルを開けるかどうかだけでなく、内容にもざっくり目を通すとより安心です。

■9:ファイルが開けない場合に相手のミスを責めるような連絡をするのはNG

いざメールを受け取ったものの、添付ファイルがそもそも存在しなかったり、あるいは、ファイルが壊れていて開けなかったりするのはデータ送受信にありがちなトラブルですよね。

この場合、受け手から送り手に向けて、速やかに問い合わせのメールを送る必要がありますが、その際、うっかり相手のミスを責めるような文言にならないように注意が必要です。

「『ファイルが添付されていません』や『ファイルが壊れていて開けません』など、問題点をストレートに伝えると、相手に恥をかかせてしまう恐れがあります。

相手側のミスであっても、『ファイルが見当たらないようなのですが』や『こちらの環境でファイルが開けないようなのですが』など、やわらかい言い回しを用い、さらに『お手数ですが、ファイルを再送していただけないでしょうか』と丁寧に依頼するようにしましょう」(石川さん)

ミスは誰にでもあるものなので、相手の気持ちに負担をかけないような言い回しを心がけたいものですよね。

文字のみのメールのコミュニケーションはともすれば無機質になりがちですが、データの送受信においても、相手に対するちょっとした配慮があるかないかで、印象は大きく変わります。今回ご紹介したNGマナーを念頭において、トラブルなく感じよくデータの送受信を行いましょう。

石川礼子さん
IT・SNSマナー講師、マナーコンサルタント
(いしかわ れいこ)ウイズ株式会社 近畿エリア長、ファストマナースクール講師。ITインストラクターとして20年以上の指導キャリアをもち、全国で活躍する。IT・SNS活用のなかに、人と人とのつながりを意識した真心マナーの必要性を感じ、マナーコンサルタントの西出ひろ子氏に師事。真心マナーのあるIT・SNSに精通したマナーコンサルタントとして注目を浴び、わかりやすい講義にも定評がある。
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この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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