レジナルド・ターンブル氏とアーネスト・アッサー氏のふたりのシャツ職人が1885年に創業した「ターンブル&アッサー」。1903年のショップ移転を機に、シャツ以外のアイテムも展開、ネクタイやソックスなどのオーダーメイドを手がけ始めた。

ファッションアイコンとして語り継がれる伊達男『007』

「ダイ・アナザー・デイ」より。写真:United Archives/アフロ

ネクタイ製作に至ったのは、シャツメーカーとしての自然な流れ。自社のシャツに合うネクタイは自分のところでつくる、ということである。’20〜’30年代にかけて、カラフルなストライプのシャツで人気となる。まさに、ネクタイのレジメンタル・ストライプにも重なる色合いを獲得した。

’60年代には、メンズファッションの色彩革命、「ピーコック革命」が起こる。一説では、色彩豊かなシャツをつくっていた「ターンブル&アッサー」が火付け役といわれる。このころ、ネクタイ部門の責任者であったマイケル・フィッシュ氏が考案した『キッパータイ』という幅広のネクタイが「ターンブル&アッサー」のヒット商品となり、ネクタイづくりが加速。’89年に自社工場を建設し、イギリス伝統のストライプタイがさらに人気を博した。

創業時のショップを、ロンドンのチャーチ・プレイスに構えた。1903年に現在のジャーミン・ストリートに移転。スーツのビスポーク店が軒を連ねるサヴィル・ロウに対して、ジャーミン・ストリートは、「ターンブル&アッサー」をはじめとする、シャツメーカーに人気の場所だ。店内には、「チャーチル・ルーム」と名付けた一角があり、かつて、チャーチル英国首相がオーダーした防空服が展示されている。

昔も今も変わりなく、「ターンブル&アッサー」の店内には、ブランドのアイコンとなるストライプのネクタイやシャツが並んでいる。

アーサー・コナン・ドイルも!

写真:アフロ

チャールズ皇太子をはじめとする英国王室との関係も深く、'82年にはチャールズ皇太子からロイヤルワラントを授与される。ウィンストン・チャーチル英国首相、ブッシュ大統領ら歴代米国大統領。王室や政界のほか、アーサー・コナン・ドイルやピカソといった著名人。

映画界では、マイケル・ケイン、ショーン・ペン、アル・パチーノ…数え切れない顧客名が並ぶ。なかでも、「ターンブル&アッサー」を世界に知らしめたのは、『007』シリーズのショーン・コネリーだ。

『007』シリーズの中でもっとも語り継がれるショーン・コネリー

「ドクター・ノオ」より。写真:AFLO

’62年にスクリーンに初めて登場して以来、ジェームズ・ボンドが身にまとっていたのは、「ターンブル&アッサー」のシャツとネクタイであった。

※2010年春号取材時の情報です。
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