欧州大陸で発達した「グランドツーリング」という概念。日本は移動距離こそ短いものの、そのぶん地域ごとの特色を体感しやすいメリットがある。特に関西の主要三都市(京都・大阪・神戸)は、それぞれの時代の活気を刻んできた。そのため、ハイエンドの顧客層に向けた誂えを得意とする店が根付く土壌がある。

しかも近年は、服飾や食の分野で粋人を引き寄せる、イタリアにも負けない個性的な名店が、存在感を発揮しつつある。美意識を高め、一流を知る旅を楽しむうえで、これほどふさわしい地域はない。

ナポリスーツのごとき風格と動きやすさを誇る、マセラティ『クアトロポルテ S グランルッソ』

江戸時代以降、「天下の台所」と呼ばれた大坂(現・大阪)にあって、繁栄を極めた商業地帯、船場。近代にあっても、商都・大阪を代表する商いの地であり続けた。大正モダンの洗練を現代に伝える船場ビルディングと『クアトロポルテ』は、意外なほど相性がいい。それはマセラティが、大阪と同様、古くから栄えてきたイタリア・ボローニャで創業した歴史を持つことと無関係ではないはずだ。
江戸時代以降、「天下の台所」と呼ばれた大坂(現・大阪)にあって、繁栄を極めた商業地帯、船場。近代にあっても、商都・大阪を代表する商いの地であり続けた。大正モダンの洗練を現代に伝える船場ビルディングと『クアトロポルテ』は、意外なほど相性がいい。それはマセラティが、大阪と同様、古くから栄えてきたイタリア・ボローニャで創業した歴史を持つことと無関係ではないはずだ。

旅のパートナーは、やはりイタリア車がベストだ。それも社会的地位をわきまえた品格と、ラテンのツヤを兼ね備えたモデルがいい。

今回メンズプレシャスは、迷わずマセラティ『クアトロポルテ』を選んだ。レース活動をルーツとする情熱的なブランドだけに、すべてのモデルが「グラントゥーリズモ=GT」に相当するなか、最もフォーマルな4ドアサルーンである『クアトロポルテ』にこそ、「ハイエンドGT」の資質があると考えたのだ。

エレガントなインテリアで誂えの旅を堪能!

類稀な美しさと心踊るスポーツ性能は、エルメネジルドゼニアのシルク素材を用いたインテリアのオプション、「グランルッソ」でより濃厚に体感することができた。クルマでも誂えの楽しみを……。マセラティはそんな夢も叶えてくれる。
類稀な美しさと心踊るスポーツ性能は、エルメネジルドゼニアのシルク素材を用いたインテリアのオプション、「グランルッソ」でより濃厚に体感することができた。クルマでも誂えの楽しみを……。マセラティはそんな夢も叶えてくれる。
● ボディサイズ:全長5,262×全幅1,948×全高1,481mm ●車両重量:2,000kg ●エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ ●総排気量:2,979cc ●最高出力:430PS(316kW)/5,750rpm ●最大トルク:580Nm/2,250~4,000rpm ●トランスミッション:8速AT ¥14,861,112(マセラティ コールセンター)※税抜
● ボディサイズ:全長5,262×全幅1,948×全高1,481mm ●車両重量:2,000kg ●エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ ●総排気量:2,979cc ●最高出力:430PS(316kW)/5,750rpm ●最大トルク:580Nm/2,250~4,000rpm ●トランスミッション:8速AT ¥14,861,112(マセラティ コールセンター)※税抜

予想は当たった。全長5.2mを超えるボディは、ナポリの名門サルトが仕立てた、スーツのごとき堂々としたたたずまい。乗り心地もどっしりしている。

ただし、路面の状況をつぶさに伝えるところはスポーツカーのそれであり、V6の肌触りが心地いい3Lエンジンはアクセルペダルのわずかな動きに反応し、野性味たっぷりの排気音を轟かせて鋭く加速する。抜群の運動性能=動きやすさもまた、ナポリスーツ的である。

だから、単調になりがちな高速クルージングも楽しく、どこまでも走って行きたくなる。

「アルベロ」にて衣のビスポーク

  • 船場ビルディングにサロンを構える「アルベロ」。イタリアから職人を招いて服や靴のオーダー会を定期的に開催する。
  • オリジナルのシャツやパンツも人気。顧客にはマセラティオーナーも多いとか。

「スピーゴラ」で靴のビスポーク

  • イタリア帰りの鈴木幸次氏が手がける靴はツヤのある色気を放ち、足馴染みも抜群。
  • ビスポークの納期の目安は1年。
来訪する顧客のクルマは靴づくりの重要な情報になる、と鈴木氏。
来訪する顧客のクルマは靴づくりの重要な情報になる、と鈴木氏。

大阪・船場にあるサルト「アルベロ」を訪ね、神戸では鋭角的なラインでドレスシューズの美を表現する「スピーゴラ」で匠の技術を拝見。

「リストランテティ・ヴォリオ・ベーネ」で食のビスポーク

  • 極上の素材のなかから好きなものを選び、その日おすすめの調理方法をシェフと相談しながら味わえる。
  • 茶屋を改装した静かな空間で食を誂える贅沢を。

締めは、京都の隠れ家的レストランで、食材からオーダーするビスポーク三昧の旅。

イタリア以上に濃厚で贅沢な時間を盛り上げてくれたのは、間違いなく『クアトロポルテ』だ。「ハイエンドGT」は、男の飽くことのない探究心に、どこまでもつきあってくれる。

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2019年春号より
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撮影/柏田芳敬