欧州大陸で発達した「グランドツーリング」という概念。日本は移動距離こそ短いものの、そのぶん地域ごとの特色を体感しやすいメリットがある。特に関西の主要三都市(京都・大阪・神戸)は、それぞれの時代の活気を刻んできた。そのため、ハイエンドの顧客層に向けた誂えを得意とする店が根付く土壌がある。
しかも近年は、服飾や食の分野で粋人を引き寄せる、イタリアにも負けない個性的な名店が、存在感を発揮しつつある。美意識を高め、一流を知る旅を楽しむうえで、これほどふさわしい地域はない。
ナポリスーツのごとき風格と動きやすさを誇る、マセラティ『クアトロポルテ S グランルッソ』
旅のパートナーは、やはりイタリア車がベストだ。それも社会的地位をわきまえた品格と、ラテンのツヤを兼ね備えたモデルがいい。
今回メンズプレシャスは、迷わずマセラティ『クアトロポルテ』を選んだ。レース活動をルーツとする情熱的なブランドだけに、すべてのモデルが「グラントゥーリズモ=GT」に相当するなか、最もフォーマルな4ドアサルーンである『クアトロポルテ』にこそ、「ハイエンドGT」の資質があると考えたのだ。
エレガントなインテリアで誂えの旅を堪能!
予想は当たった。全長5.2mを超えるボディは、ナポリの名門サルトが仕立てた、スーツのごとき堂々としたたたずまい。乗り心地もどっしりしている。
ただし、路面の状況をつぶさに伝えるところはスポーツカーのそれであり、V6の肌触りが心地いい3Lエンジンはアクセルペダルのわずかな動きに反応し、野性味たっぷりの排気音を轟かせて鋭く加速する。抜群の運動性能=動きやすさもまた、ナポリスーツ的である。
だから、単調になりがちな高速クルージングも楽しく、どこまでも走って行きたくなる。
「アルベロ」にて衣のビスポーク
「スピーゴラ」で靴のビスポーク
大阪・船場にあるサルト「アルベロ」を訪ね、神戸では鋭角的なラインでドレスシューズの美を表現する「スピーゴラ」で匠の技術を拝見。
「リストランテティ・ヴォリオ・ベーネ」で食のビスポーク
締めは、京都の隠れ家的レストランで、食材からオーダーするビスポーク三昧の旅。
イタリア以上に濃厚で贅沢な時間を盛り上げてくれたのは、間違いなく『クアトロポルテ』だ。「ハイエンドGT」は、男の飽くことのない探究心に、どこまでもつきあってくれる。
問い合わせ先
- マセラティ コールセンター TEL:0120-965-120
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アルベロ TEL:06-6210-2250
住所:大阪府大阪市中央区淡路町2-5-8 船場ビルディング419 -
スピーゴラ TEL:078-641-1343
住所:兵庫県神戸市長田区細田町5-2-16 ※不定休(土日は予約制) - リストランテティ・ヴォリオ・ベーネ TEL:075-525-7070
- 住所:京都府京都市東山区祇園町南側570-155
時間:12:00~13:00(L.O.) 18:00~21: 00(L.O.)日曜・第3月曜
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2019年春号より
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- クレジット :
- 撮影/柏田芳敬