パーソナルな振り返りから、未来へ向かっての共通のゴールへ【エキシビション体験でさらに深まるウーマン エンパワーメント】

建物の中に入るとどんな空間が待っているのでしょう? イギリス人アーティスト、エズ・デヴリンさんがキュレートする時空を超えたエキシビション体験をレポートします。

俳優の鈴木保奈美さんが開催中の大阪・関西万博「カルティエ」ウーマンズ パビリオンを訪れる画像
情熱的な赤い部屋はスーダン出身のエムティハル・マフムードさんの道。

「パンテールウーマン」── かつて人々からそう呼ばれた時代のミューズ、ジャンヌ・トゥーサンは、「カルティエ」にとって、最初のクリエイティブディレクターでした。彼女の「時代を切り開く」精神は、脈々とメゾンに受け継がれ、「カルティエ」は長い歴史のなかで、多くのポジティブな女性たちを称え、その活動を支援し続けてきました。

そして今、女性にフォーカスしたこのパビリオンでは、世界的アーティスト、エズ・デヴリンさんがキュレートする空間の中で、過去から未来へつながる深く感動的な体験を享受できます。

開催中の大阪・関西万博「カルティエ」ウーマンズ パビリオンを体感する俳優の鈴木保奈美さん
エキシビションは、3人の女性が登場するショートムービーから始まる。

まずパビリオンに入ると、国籍も年齢も違う3人の女性が語りかけてきます。小説家の吉本ばななさん、スーダン出身の詩人・アクティビストのエムティハル・マフムードさん、そしてメキシコの環境保護活動家、シエ・バスティダさん。ゲストは自身の名前を告げると、3人のそれぞれ別の道へと導かれていきます。

例えば、吉本ばななさんの道では、彼女が背負ってきた子供時代に味わったハンディ、小説家として出発した当時の苦労…といった彼女の歩んできた人生を、プライベートな私物やアルバムの展示とともにたどっていきます。ヘッドフォン越しに囁かれる吉本さんの語りは、まるで対話しているかのようで、深く胸に染み込み、自分自身のこれまでの生き方を振り返る=セルフリフレクション、という不思議な感覚を味わいます。

開催中の大阪・関西万博「カルティエ」ウーマンズ パビリオンを体感する俳優の鈴木保奈美さん
イヤリング『クラッシュ ドゥ カルティエ』SM[YG]¥726,000・ブレスレット『トリニティ』XL[WG×PG×YG]¥4,488,000(カルティエ)  ニットドレス¥132,000(アオイ〈MSGM〉)

エキシビションの最後となる部屋「YOUR HAND」では、世界を代表する14人のロールモデルたちが登場。UNICEF親善大使を務める黒柳徹子さん、日本人の僧侶でLGBTQ活動家の西村宏堂さん、中国のVoice Changerの創業者兼CEOの杜心堂さんなど、時代を切り開くポジティブなチェンジメイカーたちの熱いメッセージが届く。

開催中の大阪・関西万博「カルティエ」ウーマンズ パビリオンを体感する俳優の鈴木保奈美さん
チェンジメイカーたちのメッセージは、楕円の窓に差し入れた手のひらに映し出される。

そして最後の部屋では、14人のチェンジメイカーたちからの、世界へ向けて希望溢れるメッセージを受け取ります。

【女性が輝けば、人類・社会全体が輝く】という信条のもとに長い歴史を刻む「カルティエ」。パビリオンでの体験を終えた後に、胸に残るものは、女性に限らず、誰もが平等に力を発揮できる「ともに歩む輝く未来」という新たな指標でした。

開催中の大阪・関西万博「カルティエ」ウーマンズ パビリオンを体感する俳優の鈴木保奈美さん
 

パビリオン1階のエキシビションを終了すると、細長い路地を通り2階へ。そこは、楕円形に開いた天井から空がのぞく、草花を配した庭園に。建築家の永山祐子さんが日本の町屋から発想したという路地から庭へのアプローチは、風が吹き抜ける心地よい空間。大阪近郊の山から集められた庭の木々は、会期終了後に元の場所に戻すそう。

ウーマンズ パビリオン
in collaboration with Cartier
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大阪・関西万博「カルティエ」ウーマンズ パビリオンの前に立つ俳優の鈴木保奈美さん
イヤリング『クラッシュ ドゥ カルティエ』SM[YG]¥726,000・ブレスレット『トリニティ』XL[WG×PG×YG]¥4,488,000・リング『トリニティ』[WG×PG×YG×ダイヤモンド×ブラックラッカー]¥7,920,000(カルティエ) ニットドレス¥132,000(アオイ〈MSGM〉)

【特別エッセイ】「白いファサードに導かれて体験したウーマンズ パビリオン」文・鈴木保奈美

3人の女性の生き方を辿るというエキシビション。
わたしは、日本の小説家の道へいざなわれた。

ばななさんとは若い頃からのご縁があり、食事を共にしたり対談の機会を得たりしている。
だからヘッドセットから彼女の個人的な物語が流れてきた時、ここまで聞いてしまって良いものか、と少なくないとまどいがあった。
けれど展示を進むうち、彼女の痛みはわたしの痛みを呼び覚まし、自らの物語をさらけ出す勇気と、乗り越えてきた強かな明るさが胸を打つ。

折り鶴のようなファサードは、小さく分割されて
ドバイから海を渡ってきたものだ。砂漠の熱い風を浴びていたのだ。
どこかに砂の一粒でも残っていやしないか、と目を凝らしてみる。

映画監督、アーティスト、建築家。
さまざまな出自の人々が力を合わせて創り上げた小宇宙。
一人にできることは小さい。
けれど地球上の全ての人が一歩ずつ進んだら、80億歩の歩みとならないだろうか?

ほんの少し豊かな自分になってパビリオンの外へ出る。
ファサード越しに見上げれば、六甲の山並みは緑が濃い。

大阪・関西万博「カルティエ」ウーマンズ パビリオン
イヤリング¥726,000・リング¥7,920,000(カルティエ) ニットドレス¥132,000(アオイ〈MSGM〉)

日本を代表する建築家、永山祐子さんが設計したパビリオンは、2020年ドバイ万博の日本館で採用した組子パーツを再利用。光を受けて白く輝くファサードは、ふたつの万博をつなぐ象徴として、また循環性、地球環境の観点からも意味深い。

ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier
 
ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier
開館時間/9時〜21時
場所/東ゲートゾーン内、日本館すぐ隣
※『ウーマンズ パビリオン』は、「カルティエ」と内閣府、経済産業省、博覧会協会の共同出展です。※予約不要。ただし、2階「WA」スペースでのイベント参加には事前予約が必要。

※文中の表記は、WG=ホワイトゴールド、PG=ピンクゴールド、YG=イエローゴールドの略です。
※掲載価格はすべて税込みです。

問い合わせ先

カルティエ カスタマー サービスセンター

TEL:0120-1847-00

PHOTO :
望月みちか
STYLIST :
犬走比佐乃
HAIR MAKE :
福沢京子
EDIT&WRITING :
喜多容子(Precious)
WEB構成 :
松野実江子(Precious.jp)