世界最高峰のロードレース、F1に通じるマクラーレンのロードカーは、やはりサーキットでこそ真価を発揮する。そして、オーナーだけに与えられる数々のエクスペリエンスも……。F1日本GPを取材したメンズプレシャス記者の林 公美子が、その一端をリポートする。

F1ドライバーの運転で、鈴鹿の国際レーシングコースを同乗走行!

 少年時代、スーパーカーのミニチュアカーに夢中になった男性は多いのではないだろうか。そして、「大人になったら本物に乗ろう!」と誓ったあの頃の記憶は、今なお鮮明だろうか?

 幼い頃、海外出張に出かける父が私の兄へ買ってくる土産は、いつもミニチュアサイズのスーパーカーだった。そしてそれらは私のお人形よりずっと魅力的に見えた。ある日、私たち兄妹は両親の目を盗み、リビングの白い壁一面にクレヨンでサーキットを描いた。スーパーカーたちを走らせるのに、おもちゃのコースでは狭すぎたから──。

 それからウン十年。F1グランプリ開催期間中の鈴鹿サーキットで、マクラーレンのスーパーカーに乗り、広大な国際レーシングコースを疾走する貴重な機会を得た。それもF1ドライバーによる運転で。

2019年の新たにマクラーレンのF1ドライバーシートに座ることが決まっているイギリス人レーサー、ランド・ノリス。初々しさが残る19歳にして、頭のキレの良さはスポーツディレクターのジル・ド・フェラン(北米のレースで活躍した名ドライバー)のお墨付き。来期の走りに注目だ。
2019年の新たにマクラーレンのF1ドライバーシートに座ることが決まっているイギリス人レーサー、ランド・ノリス。初々しさが残る19歳にして、頭のキレの良さはスポーツディレクターのジル・ド・フェラン(北米のレースで活躍した名ドライバー)のお墨付き。来期の走りに注目だ。

 これは、F1に参戦するメーカーが販売するロードカーの乗り心地と、プロドライバーによる迫力あるサーキットドライビングを、助手席で体感できる「ホットラップ」というイベントでのこと。VIPやゲストを対象としたもので、F1日本グランプリで開催されるのは今年が初めて。

 レース期間中に本コースを使って行う数少ないシート枠の中で、私を含むメンズプレシャス取材スタッフは、マクラーレンの「720S」と「570GT」に同乗走行体験させてもらう幸運に恵まれたのだ。着用するレーシングスーツはスポンサー名こそ入っていないが、2018シーズンのマクラーレンF1チームのドライバーを務めるフェルナンド・アロンソやストフェル・バンドーンと同じデザイン。テンションが上がらないわけがない。

 しかも、今春発表され、7月からデリバリーが始まったばかりの「720S」のハンドルを握ってくれたのは、来期から正ドライバーに昇格する、ランド・ノリスだ。

ホットラップでランド・ノリスが自らステアリングを握ってくれたマクラーレン「720S」。今夏、デリバリーが始まったばかりのスーパーカーだ。現在受注を受付中だが希少性が高く、完売必至。気になっている人は早めの検討がおすすめ。¥33,988,000~(税込)
ホットラップでランド・ノリスが自らステアリングを握ってくれたマクラーレン「720S」。今夏、デリバリーが始まったばかりのスーパーカーだ。現在受注を受付中だが希少性が高く、完売必至。気になっている人は早めの検討がおすすめ。¥33,988,000~(税込)
「720S」のハンドルを握る若きドライバー、ランド・ノリス。
「720S」のハンドルを握る若きドライバー、ランド・ノリス。
こちらのクルマはスポーツ・シリーズの「マクラーレン570GT」。¥28,100,000~(税込)
こちらのクルマはスポーツ・シリーズの「マクラーレン570GT」。¥28,100,000~(税込)
マクラーレンのレーシングスーツをお借りして、マクラーレンのマシンとサーキットドライビングを体感したホットラップ。写真はマクラーレン「570GT」で最高速度247km/hをマークした瞬間の車内。一生忘れられない、興奮しっぱなしの3分31秒間となった。
マクラーレンのレーシングスーツをお借りして、マクラーレンのマシンとサーキットドライビングを体感したホットラップ。写真はマクラーレン「570GT」で最高速度247km/hをマークした瞬間の車内。一生忘れられない、興奮しっぱなしの3分31秒間となった。

 ヘルメットをかぶり、ジェットコースターに乗るような心算でシートに座り込んだが、それとは全く別物だった。スタートしてわずか10秒後には187km/hをマーク。

 立ち上がりの速さに驚く間もなく、100km/h越えを維持しながら第1、第2コーナーを駆け抜けていく。最高速度は、コース後半の西ストレートでの247km/hだった。国内最速のジェットコースター(180km/h)より速く、のっけから車外に流れ飛ぶ景色に、一瞬、胃が浮き上がりそうな気にはなるのだが、全然酔わない。

 クルマがブレないせいだろう。高速道路を走る際の自分の車と比べてみても、倍以上のスピードが出ているとは思えないくらいの安定感なのだ。車高の低さゆえ、潜り込むようにシートに腰を沈めるが、着座してみると想像以上に視界が開けていて、車内は明るかった。見通しの良さは運転しやすさや安全走行につながる。

 ちょっと欲を出して、自分でハンドルを握ってみたくなる。

いますぐ「マクラーレンのディーラー」に行くことをおすすめする理由

 ここで生粋のF1育ちであるマクラーレンのロードカー・オーナーに向けた、特別なエクスペリエンスを紹介しておこう。

 まずニューモデルのプレビューイベントへの参加。今夏、メディア向けに「600LT」のアジアパシフィックプレミアが行われたが、それに先駆け、誰よりも早く新しい実車の目撃者になったのはオーナーたちだ。

鈴鹿サーキットのピットに入ったマシンから、F1ドライバーが降り立つ瞬間。 マクラーレンオーナーだけが購入できる、マクラーレンF1エクスペリエンスの観戦チケットには、チームガレージの見学ツアーも含まれている。
鈴鹿サーキットのピットに入ったマシンから、F1ドライバーが降り立つ瞬間。 マクラーレンオーナーだけが購入できる、マクラーレンF1エクスペリエンスの観戦チケットには、チームガレージの見学ツアーも含まれている。

 また、以前に当サイトで紹介した、チームガレージが並ぶパドック内へのアクセスが可能なF1特別観戦チケットは、オーナーならマクラーレンを通して購入することができる。チームガレージ内を見学できるプライベートツアーは、観客席からでは窺い知ることのできない、ピットで戦う男たちの素顔を間近で見られるファン垂涎の瞬間だ。

 マクラーレン・オートモーティブ主催の有償ドライビングレッスン「Pure McLaren」への参加資格も得られる。これはプロドライバーになるためのスキルを学ぶことができる本格的なレッスンで、前述のランド・ノリスもここで腕を磨いたそう。

 なかでも注目はフィンランドの凍結した湖で行われる氷上レッスン。低ミュー路(路面の摩擦係数が低い)でのエキサイティングなドライビングは、忘れ得ぬ思い出になるに違いない。

こちらはオーナーを対象としたマクラーレン・エクスペリエンスのなかでも、最大のサーキットイベント「McLaren TRACK DAY Japan」。自身のマシンの本領を発揮させる絶好の機会だ。今年は10月21日に富士スピードウェイで行われた。パレードランも圧巻。
こちらはオーナーを対象としたマクラーレン・エクスペリエンスのなかでも、最大のサーキットイベント「McLaren TRACK DAY Japan」。自身のマシンの本領を発揮させる絶好の機会だ。今年は10月21日に富士スピードウェイで行われた。パレードランも圧巻。

 そして、数あるマクラーレン・エクスペリエンスのなかでも国内最大となるのが、年に一度のサーキットイベント「McLaren TRACK DAY Japan」だ。

 今年は10月に富士スピードウェイで開催され、伝説的ドライバー、アイルトン・セナの甥であるブルーノ・セナとマクラーレン創設者、ブルース・マクラーレンの一人娘であるアマンダ・マクラーレンが登場し、大いにファンを喜ばせた。

「McLaren TRACK DAY Japan」では、この日のために来日したアイルトン・セナの甥、ブルーノ・セナ(右からふたりめ)とマクラーレンの創設者であるブルース・マクラーレンの一人娘、アマンダ・マクラーレン(中央の女性)のトークショーも。マクラーレンのオーナーになるということは、クルマだけでなく、こうした特別で貴重な経験を取得するということでもあるのだ。
「McLaren TRACK DAY Japan」では、この日のために来日したアイルトン・セナの甥、ブルーノ・セナ(右からふたりめ)とマクラーレンの創設者であるブルース・マクラーレンの一人娘、アマンダ・マクラーレン(中央の女性)のトークショーも。マクラーレンのオーナーになるということは、クルマだけでなく、こうした特別で貴重な経験を取得するということでもあるのだ。
ブルーノ・セナ(左)とアマンダ・マクラーレン(右)。イベントではブルーノ・セナの運転によるホットラップも行なわれた。
ブルーノ・セナ(左)とアマンダ・マクラーレン(右)。イベントではブルーノ・セナの運転によるホットラップも行なわれた。

 マクラーレンでは購入検討者向けにも試乗体験のほか、ホットラップ(サーキットタクシー)やドライビングスクールなどのイベントを実施している。子供の頃の夢を叶えるのは今だ!と思うあなたは、早めに正規販売店へ電話予約を。

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この記事の執筆者
女性ファッション誌、ビューティ誌を中心に執筆活動を行ったのち、しばしの休眠を経て現場復帰。女性誌時代にクルマ記事を手掛けていたこともあり、またプライベートではライフステージの変化に合わせて様々な輸入車を乗り継いできた経験を生かし、クルマを核とした紳士のライフスタイル全般に筆を執る。