モネを見出し、開眼させた印象派の先駆者「空の王者」と呼ばれたブーダンをご存じですか
19世紀のフランスで風景画家として活躍したウジェーヌ・ブーダン。戸外制作を重視し、光と大気をみずみずしい色彩と軽快な筆致で描き出した「印象派の先駆者」です。彼が追い求めた「瞬間の美学」に迫る、日本では約30年ぶりとなる回顧展──必見です!
この展覧会のみどころについて、美術ジャーナリスト・藤原えりみさんにナビゲートいただきました。
【今月のオススメ】ウジェーヌ・ブーダン《干潮》
1884年にサロンに出品され、国家買上げとなった作品。潮が引いて現れた干潟。水平線上の太陽により、空と海にオレンジ色が広がっている。小さく描かれた人物や船が、自然と共にある人の営みを感じさせる。今回の展覧会では、初期から晩年にいたるブーダンの画業全体を、油彩、素描、パステル、版画を中心に約100点で紹介する。
先日、モネの絵を観に行きました。人だかりの間からなんとか顔を出し、できるだけ近くで作品の細部まで凝視しようとする姿を、同行した家人に苦笑されながらの鑑賞でしたが(笑)、改めて思ったのは、モネは絵を “描いていない” ということ。モネは「輪郭線で物の形をとって色を置く」のではなく、「筆のタッチと色だけで画面を構成する」ことを徹底してやった画家なんだな、と。そして、そこにモネを導くきっかけとなったのが、今回ご紹介するウジェーヌ・ブーダン。カリカチュア(風刺的な似顔絵)でそれなりの人気と収入を得ていた10代のモネに、一緒に外で油絵を描いてみないかと声をかけ、光の中に連れ出した人です。モネはブーダンの制作を見て開眼。この出会いがなければ、モネという画家は生まれなかったかもしれません。
ブーダン作品の魅力は、なんといっても「空」です。画面の大部分を空が占めていて、時間や天候による絶妙な光の変化や、雲の様子などが見事に描き出されています。その圧倒的な表現力は、同時代の画家であるカミーユ・コローやギュスターヴ・クールべ、詩人シャルル・ボードレールらから「空の王者」と称されたほど。権威あるフランスのサロン(官展)でも高く評価された、フランス近代絵画を代表する画家なのです。ただ、日本国内にはあまり作品がなく、観られる機会も希少。だからこそ、この大規模な回顧展はすごく楽しみ! モネや印象派が好きな方には特におすすめですし、自然が見せる瞬間の美をとらえた風景画の数々は、観る人の心に素直に届きます。(談)
<Information>開館50周年記念ウジェーヌ・ブーダン展——瞬間の美学、光の探求
会場/SOMPO美術館(東京都新宿区西新宿1-26-1)
会期/2026年4月11日(土)〜6月21日(日)
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- EDIT :
- 剣持亜弥

















