【目次】

【「生酒の日」とは? いつ・意味・由来を解説】

■「読み方」は?

「生酒の日」は「なまざけ-の-ひ」と読みます。「きざけ」ではありませんよ。「生酒(なまざけ)」の定義については、次の章で詳しく解説します!

■「何日」?

「生酒の日」は6月25日です。

■「誰が」「いつ」決めた?

1637年(寛永14年)創業、京都伏見で最古の酒蔵「月桂冠株式会社」が制定した記念日です。2018年に一般社団法人日本記念日協会より認定・登録されています。

■「生酒の日」とは?「意味」

「生酒の日」は、生酒の歴史や魅力を広く伝え、日本酒文化への理解を深めてもらうことを目的とした記念日です。気温が上がり、冷酒が恋しくなるこの季節に、フレッシュでみずみずしい、生酒の魅力をより多くの人に味わってもらいたいという願いが込められています。

■なぜ6月25日?「由来」は?

1984(昭和59)年6月25日に、月桂冠が業界で初めて、常温流通可能な生酒を発売したことに由来します。この技術革新により、それまでは限られた場所でしか味わえなかった日本酒の「しぼりたてのおいしさ」を、誰もが気軽に楽しむことが可能になりました。


【「生酒」とは? 日本酒との違いをわかりやすく説明】

■そもそも「生酒」って?

生酒(なまざけ)とは、製造工程で一度も「火入れ(ひいれ)」を行っていない日本酒のことです。火入れとは、日本酒を加熱して殺菌する工程のこと。一般的な日本酒は品質を安定させるために火入れを行いますが、生酒はあえて火入れをせずに仕上げることで、しぼりたてに近い風味を残しています。そのため、多くの生酒にはフレッシュで華やかな香りや、みずみずしい味わいが感じられるのが特徴で、冷やして飲むのに適しています。

「生酒」を「きざけ」と読むこともありますが、この場合は火入れをしているかどうかは関係なく、「純粋で混ぜものの入っていないお酒」という意味で使われます。

■「生酒」と「日本酒」の違いは?

実は生酒も日本酒の一種です。日本酒という大きなカテゴリーのなかに、生酒や純米酒、吟醸酒など、さまざまな種類があるのですね! 

つまり…

日本酒=酒税法上の日本酒全体
生酒=火入れをしていない日本酒

…ということになります。

一般的な日本酒は、貯蔵前と容器に詰める際の計2回、火入れを行っています。一方、生酒は火入れを一切行いません。そのため、生酒は酵母や酵素の働きが残りやすく、フレッシュな味わいを楽しめる反面、温度変化などの影響を受けやすいという特徴があります。

■生酒ならではの魅力とは?

生酒の魅力は、なんといっても「フレッシュ感」。酒蔵や銘柄によって個性は異なりますが、一般的には次のような特徴が挙げられます。

・フルーティーで華やかな香り
・しぼりたてを思わせる瑞々しさ
・軽快で爽やかな口当たり

近年は日本酒初心者にも親しみやすいタイプとして人気が高まっており、冷やして楽しむ夏の日本酒としても親しまれています。

■生酒は昔からあった?

実は、生酒そのものは昔から存在していました。しかし、火入れをしない酒は品質管理が難しく、流通できる地域が限られていたのです。


【生酒はなぜ“生”なの? 火入れ工程との関係】

■そもそも「火入れ」って何?

火入れ(ひいれ)とは、日本酒を約60〜65℃程の比較的低温で加熱する工程のことです。酒を腐らせる乳酸菌などの微生物を殺菌するとともに、酒質を変化させる酵素の働きを止める目的で行われます。また、熟成の進み方を調整し、保存性を高める役割もあります。

■日本酒はなぜ火入れをする?

日本酒は、しぼった直後も酵素が働き続けています。そのままにしておくと、糖分やたんぱく質が分解されて味わいが変化したり、香りに影響が出たりすることがあります。そのため、一般的な日本酒は貯蔵前と出荷前の計2回火入れを行い、品質を安定させています。

■生酒はなぜ「生」なの?

生酒(なまざけ)が「生」と呼ばれる理由は、火入れを一度も行わないまま出荷されるためです。「生のままの酒」という意味で「生酒」と呼ばれています。

■「火入れ」は日本独自の技術?

日本酒の火入れは非常に長い歴史をもち、室町時代の史料『多聞院日記(たもんいんにっき)』には、当時すでに火入れを行っていた記録が残されています。つまり日本では、フランスの細菌学者 ルイ・パスツール が低温殺菌法(パスチャライゼーション)を確立する約300年前に火入れの手法が発見され、酒造りの現場で実用化されていたのですね!


【「生酒」「生貯蔵酒」「生詰め酒」の違い】

日本酒売り場で、「生酒」「生貯蔵酒」「生詰め酒」という表示を見かけたことはありませんか?どれも「生」の文字が付いていますが、その違いは火入れ(加熱殺菌)を行う回数やタイミングにあります。

 

■「生貯蔵酒」とは

生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)は、貯蔵前には火入れをせず、生のまま低温で貯蔵し、容器詰めの際に一度だけ火入れを行う日本酒です。生酒に近い軽快な味わいをもちながら、品質を安定させやすいという特徴があります。

■「生詰め酒」とは

生詰め酒(なまづめしゅ)は、貯蔵前に一度火入れを行い、容器詰めの際の火入れを省略した日本酒です。江戸時代から続く「ひやおろし」の多くは、この生詰め酒に分類されます。春から夏にかけて熟成させ、秋に出荷されるため、落ち着いた香りやまろやかな味わいが特徴とされています。

■「生酒」「生貯蔵酒」「生詰め酒」の違い

「生」の文字が付くため混同されがちですが、3種類はそれぞれ異なる特徴をもっています。
・生酒は火入れを一切しない「最も生に近い酒」
・生貯蔵酒は「貯蔵中は生(火入れしない)」
・生詰め酒は「容器に詰める際には生(火入れしない)」


【生酒は冷蔵保存必須? 賞味期限と飲み方も確認】

■生酒は冷蔵保存が基本

一般的な日本酒の多くは火入れによって品質が安定していますが、生酒は加熱処理を行っていないため、温度変化の影響を受けやすいという特徴があります。そのため、酒販店やスーパーでも冷蔵ケースで販売されていることがほとんど。月桂冠の「生酒」は常温保存も可能ですが、一般的なおすすめはやはり冷蔵保存。購入後はできるだけ早く冷蔵庫に入れて保管しましょう。

■賞味期限はある?

実は、日本酒には食品表示法など、法律で定められた賞味期限の表示義務はありません。その代わり、多くのメーカーでは、おいしく飲める目安として、おすすめの「賞味期間」を設定しています。

例えば月桂冠では…

本醸造酒・普通酒:約1年間
吟醸酒・純米酒・生貯蔵酒:約10か月
生酒(常温流通可能な商品):約8か月

上記を目安としています。いずれも未開栓で、光が当たらず、涼しいところ(20度前後)で保管した場合(他メーカーの生酒は冷蔵保存推奨)の、製造月から数えた期間です。

■賞味期間を過ぎたら飲めない?

賞味期間を過ぎても、すぐに飲めなくなるわけではありません。日本酒にはアルコールが含まれているため、未開栓で適切に保管されていれば衛生面で大きな問題が生じることは少ないとされています。ただし、時間の経過によって香りや味わいは変化します。生酒ならではのフレッシュな風味を楽しむためには、できるだけ早めに飲むのがおすすめです。

■開栓後はどうする?

開栓後は空気に触れることで風味が少しずつ変化しますので、「なるべく早く飲むこと」が推奨されています。特に生酒はフレッシュさが魅力のお酒。開栓後は冷蔵庫で保管し、早めに楽しむと本来の持ち味を味わいやすいですね!

■生酒を飲むのに適した温度は?

日本酒にはさまざまな飲用温度がありますが、生酒の場合は5〜10℃程度の「花冷え(はなびえ)」や、10℃前後の「涼冷え(すずびえ)」が向いているとされています。冷やすことで、生酒ならではの爽やかな香りや軽快な飲み口を楽しみやすくなります。

■ワイングラスで飲むのもおすすめ

近年は、日本酒をワイングラスで楽しむスタイルも広がっています。香りが立ちやすいグラスを使うことで、生酒の繊細な香りをより感じやすくなります。特に吟醸系の生酒や香りの華やかなタイプは、ワイングラスとの相性がよいとされています。

■料理と合わせるなら?

生酒は冷菜や魚介類と好相性!
たとえば…
・刺身
・カルパッチョ
・冷奴
・枝豆
・白身魚の料理
などは定番の組み合わせです。また、フレッシュな酸味や香りを持つタイプであれば、チーズや洋風の前菜と合わせても楽しめます。


【人気の生酒銘柄|初心者におすすめの日本酒も紹介】

■生酒選びに迷ったら、まずは「定番銘柄」から

生酒は全国の酒蔵で造られており、その数は非常に豊富です。そのため、初めて選ぶ場合は種類が多すぎて迷ってしまうことも。そんなときは、知名度が高く比較的入手しやすい定番銘柄から試してみるのはいかがでしょうか。生酒には、一年を通して楽しめる定番商品と、季節限定で販売される商品があります。ここでは、通年購入しやすい銘柄から、発売時期を心待ちにするファンも多い限定品まで、人気の生酒を紹介します。

■「月桂冠」の「生酒」

「生酒の日」を制定した、月桂冠の代表的な生酒です。1984(昭和59)年に発売された常温流通可能な生酒の流れを受け継ぐ商品で、フレッシュな香味と飲みやすさが特徴。スーパーや酒販店でも通年で比較的見つけやすく、生酒入門の一本として親しまれています。

■「獺祭(だっさい)」の生酒「獺祭 純米大吟醸三割九分 寒造早槽」

山口県の人気銘柄として知られる獺祭。季節限定で発売される生酒「獺祭 純米大吟醸三割九分 寒造早槽」は、華やかな香りと果実を思わせる味わいが特徴です。日本酒に馴染みのない人でも飲みやすいと評されることが多く、贈答用としても人気。また「獺祭 純米大吟醸三割九分 寒造早槽 凍結酒」は、「獺祭 純米大吟醸三割九分 寒造早槽」をテクニカンの液体冷凍技術「凍眠」により-30度で凍らせることにより、味わいを長期間損なうことなくキープすることを可能にした、注目の商品です。

■朝日酒造「久保田 千寿」の「吟醸生原酒」

「久保田」は新潟県を代表する銘柄のひとつ。1月限定出荷の「吟醸生原酒」は、搾りたてのフレッシュな口当たりと、原酒ならではの濃厚な味わいと力強い香りが特長。おでんやラムチョップグリルなど、さっぱりとした料理にもコクのある料理にもマッチする、冬の味覚にぴったりの一杯です。

■「八海山しぼりたて原酒 越後で候」

淡麗辛口で知られる八海山の人気商品。冬から春にかけて販売されるしぼりたて生原酒は、フレッシュで荒々しいしぼりたて原酒ならではの飲みごたえと、さわやかな香味バランスが魅力です。食事と合わせやすく、日本酒ファンからも支持されています。また、「純米大吟醸八海山しぼりたて原酒 越後で候」は、年に1回、12月限定で発売される純米大吟醸のしぼりたて原酒。洗練された旨みをお試しあれ。

■「出羽桜 桜花吟醸酒(本生)」

吟醸酒ブームの立役者のひとつとして知られる山形県の銘柄です。かつては蔵でしか味わえなかった生酒を、通年で届けたいという思いから、1982年より開発されたのが「出羽桜 桜花吟醸酒(本生)」。真夏でもマイナス5度の冷蔵設備により、常に最高の状態で届きます! 華やかな吟醸香と生酒らしい軽快さの調和が魅力です。

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生酒の最大の魅力は、火入れを行わないことで生まれるフレッシュで爽やかな口当たりです。よく冷やしてから、生酒ならではの香りや味わいを楽しむのがおすすめ。6月25日の「生酒の日」をきっかけに、日本酒の奥深い世界に触れてみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /一般社団法人日本記念日協会/GEKKEIKANN公式ホームページ /日本酒造組合中央会 /独立行政法人 酒類総合研究所 /獺祭 /テクニカン /朝日酒造株式会社「久保田」 /Hakkaisan/出羽桜 :