国内旅行やアウトドア、ウインタースポーツなど、さまざまなシーンで重宝するレンタカー。複数人で集まって利用することが多い分、レンタカーを利用するうえでのマナーに対する認識の差が、案外気になるものですよね。
とはいえ、自分は「マナー違反かな?」と感じていても、面と向かって相手を注意しにくいのも事実です。だからこそ、無意識のマナー違反は自分自身で気付いて直したいところ。
レンタカーを利用するときのマナー違反は、ガソリンを満タンにしないで返却する、事故を起こしたり傷が付いたりしたときにレンタカー会社へ連絡をしない、禁煙車で喫煙する、といった基礎的なもの以外にもたくさんあります。
そこで今回は、レンタカー利用時にやると地元の人やレンタカー会社に迷惑がかかってしまう行為を、マナー講師の新田純子さんに教えていただきました。以下で紹介する10種類のマナー違反に注意して、レンタカーでのお出掛けを思う存分楽しみましょう。
意外と知られていない、旅先でレンタカーを利用するときのNGマナー10選
■1:事前に避けた方がいい道や土地特有の交通事情を聞かない
旅先でレンタカーを借りるとき、なるべく早く出発したいと思うあまり、手早く契約を済ませてしまいがち。ですが、新田さんは「最初の契約のときにじっくり時間をかけて、レンタカー会社の方々のアドバイスに耳を傾けることが重要」と言います。
「車での旅の目的を安全に楽しく達成するために、行き先の土地で気を付けたほうがよい道や場所などの情報を、レンタカー会社の方に伺いましょう。
また、レンタカー会社の方は、今までのお客様の経験をもとに、契約時に任意の保険を付けることをお勧めくださっています。保険に入らなかったことで返却時に高額の賠償金を支払うことになってしまった、ということにならないよう、保険は付ける前提できちんとお話を聞きましょう。もし複雑でよくわからないときは、遠慮なく質問して、納得してから保険に加入することが大事です」(新田さん)
ドライバー自身が安心して気分よく運転することが、同乗者を守ることにもつながります。全員が最後まで気持ちよく過ごせるように気を配ることも忘れてはならないマナーですね。
■2:幅の狭い道や舗装されていない道を選んで走行する
目的地へ急ぐあまり、多少道が悪くてもショートカットできるルートを選んで走行してしまうことはありませんか? しかし、レンタカーを利用しているとき、このような判断をするのはマナー違反。
「走行しようとしたルートが、かなり狭い道や舗装されていない道だとわかった場合は、車体をこすったり、タイヤを破損させたりしてしまうリスクを避けるために、舗装の行き届いた道を選ぶのがドライバーの役割です。レンタカーは、お借りしている車であることを忘れずに」(新田さん)
レンタカーを利用しているときは無理をせず、いつも以上に安全運転を心掛けましょう。
■3:車内が雨水や泥で汚れても、すぐにレンタカー会社に連絡しない
アウトドアやレジャーのためにレンタカーを利用した場合、天候の関係もあり、雨水や泥などで車内が汚れてしまうこともしばしば。このとき、すぐにレンタカー会社に汚してしまったことを伝えないのも実はNGなのだと新田さん。
「車内を汚してしまった場合は『返却のときでいいや』ではなく、汚してしまった時点でレンタカー会社にその旨を伝えるべきです。なぜなら、その車はあなたが返却した後に、ほかの方が使う予定が組まれていることも考えられるからです。
雨水や泥のほかにも、海でアクティビティーを楽しんだあとは、砂が車内に残ることがあるので要注意。返却前に、できるだけ足元のマットに付いた砂を払っておくことをおすすめします」(新田さん)
レンタカーは自分たちの後にも、他の方が利用するもの。もし自分が借りた車が汚れたままだったら……と考え、次の方が気持ちよく利用できるように気を配ることも大人のマナーですね。
■4:慣れない土地でカーナビを頼らずにドライブする
旅先に限らず、カーナビはドライバーの強い味方。ですが、あなたの身の周りに、カーナビの指示に従わずに走行してしまう人はいませんか? その土地に詳しい人なのであれば特に問題はないかもしれませんが、慣れない土地でカーナビ無視は困りものです。
「仮に地元の人であれば、カーナビが表示しないような近道を知っているかもしれません。しかし、その土地に詳しくないのであれば、遠回りに思えてもナビが示す道順を信頼し、そのとおりに走行するのが無難です。そうすれば、行き止まりや狭い道に入ってしまうことは少ないでしょう」(新田さん)
「急がば回れ」という言葉があるように、たとえ急いでいても旅先では無難な道を選ぶのが正解。無理に近道をしようとした結果、かえって遠回りになったり、思わずひやりとするような事態が起こったりしては、元も子もありません。
■5:運転に自信がないのに際どい場所への車庫入れをする
同乗者がいると、自分の運転技術をアピールしたくなるのが人の性。特にコツがいる車庫入れが上手にできるかどうかは、その人の運転技術を知るバロメーターのひとつでもあります。とはいえ、その見栄っ張りが原因で車に傷を付けてしまっては、旅の楽しい気分も台無しに……。
「返却時に営業所の定位置へ車庫入れしなければならないところは多々あります。車庫入れの際に、万が一他の車にぶつけてしまい、任意保険に入っていなかったために高額の賠償金が生じるケースも。
もし車庫入れに自信がない場合は、営業所のスタッフの方に鍵を渡して、代わりに車庫入れをお願いすることをおすすめします」(新田さん)
返却時のほかにも、車を運転していれば車庫入れが必要な場面はあるものです。同乗者に良いところを見せたい気持ちはわかりますが、無理せず確実な方法を選ぶのが自分のためでもあり、同乗者のためでもあると心得ましょう。
■6:ペットや観光地で遭遇した動物を乗せる
動物を飼っている方にとって、愛するペットとの旅は格別。とはいえ、レンタカーに無断でペットを乗せるのはマナー違反です。どうしてもペットを乗せたいというときは、必ず予約の際にお店の方に相談し、動物対応可の車両を選びましょう。このとき、ペットはケージに入れて、お店指定のシートの上に置くことも忘れてはいけません。
また、観光地をはじめ、旅先で動物を保護するといったケースもあるかもしれませんが、この場合もレンタカーに乗せてしまうのはNG。動物のニオイや汚れ(抜け毛)、破損などがあると、修理費やノンオペレーティングチャージが別途発生する可能性があります。
■7:濡れたor汚れた荷物やスーツケースを後部座席に置く
アウトドアやレジャー、雨天時の移動などでは、荷物が濡れる、汚れることはなかなか避けられません。ですが、それらの荷物をそのまま車内に持ち込むのはマナー違反。
汚れの状態によっては、クリーニング料金とノンオペレーションチャージの両方がかかる可能性があるので、濡れたり汚れたりした荷物は、必ず綺麗にしてから積み込みましょう。
お出掛け当日の天気予報を事前にチェックして、雨が降りそうなら雨水を拭き取るためのタオルを人数分用意しておくといった気配りができるとスマートですね。
■8:駐停車禁止or交通量の多い場所に駐車して地図やガイドマップを見る
旅先では道に迷ったり、次の行き先を決めるために同乗者と相談が必要になったり……といった事態が起こりがちです。このとき、駐停車禁止エリアや交通量の多い場所に車を停めるのは、たとえ短い時間であっても絶対に避けましょう。
万が一、レンタカーで駐車禁止違反を取られてしまったら、警察署へ出頭しなくてはならず、違反の切符を切られて違反点数が加算されてしまいます。もちろん、その場でレンタカー会社へ連絡することも必須です。
仮にこの違反処理を怠った場合、全国レンタカー協会のブラックリストに載ってしまい、以後数年間、レンタカーの貸渡を拒否されるようになってしまいます……。
■9:高速道路へ向かう入口手前で止まるor徐行する
普段はあまり車を運転せず、高速道路にも慣れていないというドライバーにとって、高速道路の本線への合流は至難の業です。しかし、苦手だからといって本線への合流手前で一時停止したり、徐行したりするのは、ほかのドライバーの迷惑になってしまいます。
高速道路の最低速度は50km/hですから、徐行したまま進入するのは速度違反です。また、一時停止したあとでは速度が50km/hに達するまでの助走が必要になり、より進入が困難に……。
高速道路へ入る際は、速度が遅いとかえって入りにくくなります。最低でも50km/h以上まで加速し、アクセルを緩めながら前の車の後ろに付くように走行すれば、スムーズに入れるはずです。
■10:サイドブレーキを引きっぱなしで長距離走行する
自動車免許を取ったばかりの人でなくても、サイドブレーキを解除したつもりが引いたままになっていた、という経験があるものですよね。サイドブレーキを引いたまま長距離(数十km)走行してしまうと、オイル漏れやブレーキの効きが悪くなるフェード現象などの故障が起き、最悪の場合は火災の原因になることも……。
いつもより速度が出ない、焦げたような臭いがするなどの異変を感じたときは、サイドブレーキが引いたままになっている可能性があるので注意しましょう。車種によっては、サイドブレーキが引いたままになっていると、インジケーターに警告が出るものもあります。
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レンタカーを利用しているときに、周りの人の気分を害する行為があると、それだけでせっかくのお出掛けが後味の悪いものになってしまいます。気持ちのよいマナーは、周りの人々のためになると同時に、自分の身を守るためのものでもあるということを肝に銘じておきましょう。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 上原 純