不幸続きで惨めな人生は誰だって避けたいもの。一度きりの人生、美しく幸せなものにしたいですよね。そのためには、自分を躾けて気品と美しさを兼ね備えた大人になることが大切です。

では、一体どうすれば大人になった今から自分を躾けることができるのでしょうか? 今回は、『気品のルール』など20作以上のライフスタイル書籍を手がけた加藤ゑみ子さんから、生活習慣を教えていただきました。

気品のある美しさを得るために成長したいなら、以下の6点が必須です。どれも簡単に始められるものばかり。毎日続ければ自分が磨かれていくので、ぜひ今日から実践してみてください。

気品のある美しい女性に成長して幸せな人生が手に入る「生活習慣」6選

■1:日常的な行為の所要時間を把握する

時計に頼りすぎるのはNG
時計に頼りすぎるのはNG

時間を知ること。それは常に時計をチェックするということではありません。自分の体内時計を鍛えることを指します。時間に追われることはストレスになります

時間を体で覚えると逐一時計を見なくても、自分の行動をコントロールしやすくなります。自分でコントロールできれば、時間が足りないと感じることが少なくなり、忙しくてもストレスになりません。

体内時計の精度を高める方法として以下のことを実践してみてください。

・朝決まった時間にさっと起きる努力をする
・太陽が出ているときは朝日に当たってすっきりリセットする
・日常的な行為の所用時間を覚える。必須なもの(洗面、化粧、料理時間、食事時間)は余裕をもって、掃除、片付けや植物などの手入れなどは逆に時間を10分、15分以上しないと決めておく
・できるだけ食事時間を一定にして、お腹の空き具合で時間の見当をつける
・季節で違う日の出日の入りを知り、時間を言い当てる癖をつける

「最も大切な時間は睡眠時間です。人それぞれで、たくさん眠りが必要な人、少しの時間でも平気な人もいますが、一般的には短くても6時間、長くて8時間が睡眠の範囲でしょう。寝不足は最も健康に良くないこと。自分の体調に合わせた睡眠時間の確保をしましょう。そして起床時間をその日の始まりの起点として、一日の所要時間を組み合わせてみてください」(加藤さん)

一日は24時間と決まっているもの。一つひとつの生活時間がわかれば、時間の使い方はうまくなります。いつまでも時間に追われる生活を送っていては、ちゃんとした大人とは言えません。まずは睡眠時間の把握から始めてみてください。

■2:選択力を磨く

選択力を磨くと生き方がよくなる
選択力を磨くと生き方がよくなる

人生は多くの選択で成り立っています。人生の岐路といった大きな節目だけではなく、日常的なことも含め、大げさに言えば、人生はすべて選択の積み重ねです。

暮らしも生き方も、人生そのものが選択によってできていると言っても過言ではありません。正しい選択をできること、選択力をつけることは良い人生にする決め手のひとつです。選択力をつけることは生き方を良くするため役立ちます。自分らしさにもなります。

選択は過去の経験や知識、豊富な現在の情報から選択肢を導きだすもの。豊富な情報に振り回されないためには、自分自身が知的な選択力をもたなければいけません。まずは、自分が選択するときの基準、美意識を含む価値観を決めましょう。そして、それを常に意識して選ぶことを積み重ねます。

選択力をトレーニングする方法は、どんなときでも決していい加減にその場しのぎで決めないように、選択に責任をもつこと。自分の都合だけではく、他人、第三者に対しても不都合がないことを考えて選択するように心がけましょう。

「私は『美しければすべてよし』。美意識を磨きながら美意識を選択の基準にしたいと思っています。安いから、便利だからと、自分に都合がいいものに惑わされないようにその都度気をつけています。また、選択を間違ったときはその都度しっかり反省しています」(加藤さん)

選択力を高めることは、先のことを見通せる能力を伸ばすこと。間違った選択をしないためにも、しっかりとした未来のビジョンをもちましょう。

■3:思考力の基礎を鍛える

物事の背景や前提に疑問を持つことから始めましょう
物事の背景や前提に疑問を持つことから始めましょう

自分を躾けるため、仕事も衣食住日常生活などすべてに対して美しく生きるためには、自分で考えることが大切になってきます。考えることは、「なぜか」という疑問に対する答えを導き出すプロセスです。考えることは、下記のことを行うと鍛えることができます。

・疑問を持った内容に対してできるだけ多くの情報を集める
・集まった情報を、目的やテーマの条件に合うかどうかのふるいにかけて、情報を分類する
・仕分けした情報に、目的とずれているものがないかをチェックする
・情報に不確かさがないのか、理にかなっていることなのかをチェックする
・その答えを客観的に見直す
・的確な言葉で答えをまとめる

加藤さん曰く、「疑問が解けることで脳はスッキリとして気分が良くなります。また、なぜかと言う疑問が解けてから眠ると脳の疲れも取れます。私はいつでも、大したことではなくても疑問のあることはできるだけ調べます。知りたがるということでしょうか。ときにはそれを分類して組み立て、納得のいく答えになるまであれやこれやと楽しみます」とのこと。

一度、最初の「なぜ」に立ち返ることで、自分本位の答えではなく、客観的な視野を取り入れることができます。まずは自分の疑問を上記の項目のふるいにかけ、整理することから意識してみてください。

■4:直感力を養う

メモを取ることでベースとなる直観力が鍛えられる
メモを取ることでベースとなる直観力が鍛えられる

直感力とは、感覚、感性によって判断すること。何も意識せずに本能的な一瞬のひらめきのことを指します。

直感力は急いで答えを出すときに大いに役立ちます。その訓練を常にしておけば、大事な窮地で救われることも、事前に危険回避することもできます。直感力はほとんどの人が無意識に使っているものですが、意識して磨くことで鍛えることができるのです。

直感力を鍛えるためには、直観力を鍛えることも必要です。直観力とは、意識的な知識と経験、理解によって即時に判断する能力のこと。このふたつを鍛えるほうがいい理由は、自分の勘が役立つものになるには、経験や知識から見える直観力をベースにする必要があるからです。

直感力と直観力の両方を鍛えるためには、気になることをメモに残すこと。メモは記憶の一助です。メモを取ると手が覚え、脳も記憶します。しかしメモの方法も大切です。ただ乱雑に書き残すのではなく、ストーリーをつくりながら、内容を当てはめるように書いていきましょう。マトリックスに入れ込んで分類することで整理することができます。

また、直感力が働きやすくするためには、悩は一日一度はクリアにすること、捨てることが大切です。煩悩をなくすためには、自然の中で散歩したり、食器洗いや床などの拭き掃除など無心で行えるものが効果的です。悩がクリアになったときこそ、直感力が働きます。

「まず感じたことを意識して、結果がどうだったかを検証していきましょう。あそこで行った、あれを観たなどという漠然としたままではなく、何を感じたか、その結果どうだったのかをいつでも意識するようにしてください。感じることを第一にすると直感力は鍛えることができます」(加藤さん)

直感力の鋭い人は、積み重ねられた経験をちゃんと生かせているのだとか。まずはメモを取る習慣を身につけ、感じたこと、結果をまとめて、ベースとなる直観力を鍛えていきましょう。

■5:無意識の質をレベルアップさせる

物事を客観的に見続けることで無意識の質が上がる
物事を客観的に見続けることで無意識の質が上がる

日常生活のほとんどの部分は、習慣による無意識な行為によって営まれています。

無意識のレベルを向上させることはつまり、「そんなつもりではなかった」ことをなくすことになります。すべての行動を、漠然とした習慣ではなく、効率が良い、無理がない、役に立ったなどといった良い習慣に変えていくことができます。

無意識の質を意識してレベルアップするためには、日頃から物事をできるだけ客観的に見ることが大切になります。

客観的に物事を見るとは、まずは自分のすべてを認め、コンプレックスをもたないようにすること。その上で日常の出来事に感情を入れずに受け止めていきます。この作業を繰り返すことで、無意識をカバーする直感力も鍛えることができます。

「物事をできるだけ否定せずに受け止めて、ポジティブに改善する道を探す努力をしていきましょう。自分の経験、情報で得た擬似経験を整理しておくことで直観力も鍛えることができ、それが無意識のレベルを上げることに直結します。こんなときにはこんなことが起きる可能性があるかもと知っていると、物事の前兆を感じることができやすいと言えます。感じることができれば無意識でも対処することが可能です」(加藤さん)

客観的に物事を判断する能力がつけば、無意識のレベルも向上していきます。日常の後悔をなくすためにも、ポジティブに毎日を意識して過ごすことを心がけてみてください。

■6:日本人としての文化的視点を意識する

美しいものをたくさん見よう
美しいものをたくさん見よう

自分の物差しを持っていると、その基準を手かがりに多くの出会いを判断できます。物差しとは、自身の中にある物の判断の基準となるものです。物差しは常に最新にしておきます。古い物差しでは、柔軟な対応をできる大人とは言えません。

物差しを鍛えるためには、美しいものをたくさん見るのが良いと加藤さんは言います。「日本の美術、工芸、文学など、芸術をできるだけ多く知り、欧米との違いを比較してみると良いかもしれません。日本人の美に対するレベルの高さを実感できます」とのこと。

では、なぜ日本の自然を見るだけで、物差しを磨くことができるのでしょうか?

「日本の自然の美しさは心を和ませる美しさです。見慣れていて美しいと感じなくなっているかもしれません。美はいろいろなところに隠れていると思いながら発見しようとすることが大切ではないかと思います」(加藤さん)

また、日本の自然を見ると偏見のない眼差しをもつことができると言います。

「偏見はなくせませんが、できるだけこだわりや偏見をもたずにものを見ようと試みてみることが大切です。親が子供を見る優しい眼差し、差別のない眼差し、好き嫌いを消して空っぽの気持ちで対応してみると良いかもしれません。日本の美しい自然を眺めていると心がクリアになって、偏見も差別もない、そして自由な考え方をもつことができます」(加藤さん)

文化レベルの高い日本人は、本来良質な生活を送ってきています。ゆっくりと景色を見るような時間をつくり、根本に立ち返ることで、美しい生活を手に入れましょう。

美しく幸せな人生になる6つの生活習慣は、どれも丁寧に生活を送ることで簡単に身につけることができます。躾とは自分が感じるものではなく、他人が感じること。客観的な視野をもつことが大切です。まずは自分が始めやすいと思うものから取り入れてみてください!

加藤ゑみ子さん
インテリアアーキテクト
(かとう えみこ)NPO法人にこにこソサエティ・アドバイザリー。桑沢デザイン研究所インテリア住宅専攻科卒。加藤ゑみ子インテリアサロン、オープンハウスの設立を経て、1988年、(株)空間構造を設立。住宅・インテリア設計、住宅関連商品におけるデザインを専門とし、生活研究、テーブルセッティング等にも造詣が深い。
『自分を躾ける』著・加藤ゑみ子 ディスカヴァー・トゥエンティワン刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
藤野綾子
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