後輩や部下の教育、ちゃんとできている自信がありますか?

キャリアが上がっていくと、どんどん下を育てることをしないといけなくなります。優秀な人材を潰してしまうようなダメ上司にはなりたくないですよね。そのためには、一体どうすればいいのでしょうか?

12,000名以上のビジネスリーダーをコンサルティングで支援し研究を重ねてきた、多摩大学経営情報学部 客員教授の荻阪哲雄さんに相談したところ、ダメ上司は普段なにげなくやっている行動に問題があると言います。

さらに、「部下を活かせるか、活かせないかは、あなた(自分自身)の気づける力によって大きく変わります」とのこと。そんな荻阪さんから、部下を活かせない上司が無意識でやっているNG習慣を伺いました。

以下の6つ、ぜひ当てはまるところがないか一度自分の胸に手を当てて考えてみてください。もしドキッとする項目があれば、改善していきましょう。

部下を活かせないダメ上司が無意識でやっているNG習慣6選

■1:部下の仕事の誤りを指摘して正そうとしない

部下のご機嫌を取るだけではいけません

いつもニコニコして、いいね! を繰り返し、部下の仕事の誤りがあっても、それを指摘して正せない上司がいます。これは要注意なのだそうです。

「こうした職場では、誤った行動をそのままにしておくので、部下の仕事のクオリティーは、低いままになります。そして、上司と部下の成長は、止まっています。その事実に気づいていません。

『このチームにいても、自分の成長は望めない』『良否の判断基準がわからない』これらの部下の無言メッセージは、とても大切な反応なのです。

部下の目標達成を支えて、誤りを教えることができない上司は、働く職場の成長スピードをどんどん下げてしまうことに気づいていません。部下を活かし、職場をまとめるには、前向きな叱咤と温かな激励の両輪が、重要になります。

必要な人に、適切なタイミングで、部下の誤りを正せない上司は、部下の成長を心から願うことをしていません。

また、日々の仕事の中で誤った行動をしている部下は、自分の誤りに気づいていません。ゆえに、同じ過ちを繰り返します。よかれと思って続けているので厄介なのです。

そのタイミングを捉えて、1対1でフィートバックをしてあげて、部下の行動を修正していくのが前向きな叱咤の意味であり、叱る基本なのです。

上司から叱られたときは、その時点では納得できなくとも、時が経つにつれて、『あぁ、あのとき、上司が誤りを教えてくれたことは、この意味だったんだ』『そのときはわからなかったが、あの上司の叱咤激励が、今の自分を育ててくれたんだ』と、思える日が来るものです。

成長をめざす部下に取って、上司から叱られた体験は、自分が進化する思い出となって強く残っていくのです。

そして、不思議と、部下の誤りを前向きに教えて行くことで、上司である自分自身の誤りにも、気づく習慣がもてるようになります」(荻阪さん)

嫌われないようにご機嫌取りするのはNG。前向きな叱咤と温かな激励の両輪を忘れずに、部下の人たちと向き合っていきましょう。

■2:部下からの提案に関心を示さない

なんでも「自分の方がわかっている」と勘違いしていませんか?

「自分は優秀」という自意識から、部下が何かを提案してもまったく聞く耳をもとうとしない上司がいます。そういう人は、部下を活かせないそうです。

「部下を活かせない上司の特徴は、『自分の能力を誇示しがち』『自分はできると過信する』『過去の経験や蓄えた知識だけで物事をとらえる』という思考スタイルがあります。

そして、この深層心理には、部下に手柄を取られたくないという気持ちがあります。

そのため、部下がせっかく大切な何かを提言しても、『それは私が考えるからいいよ』などと、なんでも『自分の方がわかっているから』と勘違いしてしまうのです。

一方、優秀なリーダーは謙虚に学ぶ姿勢をもっています。他者、部下の提言を積極的に聞きます。そして自分のもっている知識より、相手がもっているかもしれない知恵に関心を示します。

知識と智恵は、異なります。知識は検索できる文字や、調べられる情報ですが、智恵は人間の経験でしか掴めない実践知です。

これからの時代は、知識で武装するよりも、知恵の再武装が、チームにとって必要になります。また、上司に提案を聞いてもらって、一緒にやると、部下たちもより創造的に変わることができます」(荻阪さん)

特に新人などは「どうせ聞いてもらえないだろう」と、提案はしにくいもの。でも逆に、経験が少ない人の素朴な一言だからこそ、常識を変える新発見が潜んでいる可能性もあるわけですね。

■3:部下からの報告メールにレスを返さない

部下からのメールにレスを返していますか?

部下にとってリーダーや上司への報告メールは当たり前のこと。しかしそのメールに対していつも決まってレスがスルーされると、「私の報告に関心がないの?」と不安は募るものです。

「こっちは忙しいのだし、問題のないメールに対してレスしていたらきりがない、そんな風に思っている上司が多いのです。

いつもレスが返ってこないと、そのうち部下も『このことは報告しなくてもいいか』などと思うようになり、部下との意思疎通が活かせなくなります。

こうした上司に共通しているのは、無意識的に『報告は部下として当たり前の行為。感謝の対象には入らない』と思っていることです。部下を活かせる優秀なリーダーは、『報告をしてくれるのは、とてもありがたいこと』と考えます。

ですから、その労力に対して『ご苦労様』のひと言でもいいので、ねぎらいの言葉を添えて反応レスをちゃんとしてあげられるのです。

こうしたやり取りの中で、部下と上司のコミュニケーション能力もより成長します」(荻阪さん)

レポートなど、労力を使ったファイルを送ってもレスが無かったりすると、「なんでなの?」と思うだけでなく、さらに一歩、「届いていますか?」と確認しなくてはいけません。どんなメールにも、最低でもひと言は返す習慣をもちましょう。

■4:自分優先で部下を主役にしない

つい自分を目立たせようとしていませんか?

せっかく自分で企画を考えてOKが出て進めていたのに、最終的には上司の好みに通りに変えられてしまう。そんな経験ありませんか? いつまでも、自分が主役でいたい上司。これはどうなのでしょうか?

「こうした上司は、職場の後継者を育てることができません。自分より能力のある部下は、自ら離れて行き、残るのはただ従うだけの受身の部下だけになります。

せっかく部下が大ヒットの可能性を秘めた黄金のアイディアを思いついたとしても、『どうせ上司の好きなようにアレンジされてしまう』と、勝手にボツにしてしまう可能性もあります。結果、上司は、部下の黄金のアイディアを逃してしまうわけです。

優れた結果は、上司が主役になるよりも、部下を主人公にして盛り立てる方が、速く出すことができます。そのツボを、たえずチェックして修正しましょう。

また、部下の話は心を開いて聞き、相手がもっているアイディア、知恵などを1日、ひとつでも吸収しようという姿勢をもって接すると、部下を主役にできる効果へ繋がります。

無意識に沁み着いたクセは怖いものです。部下を主役にしない上司は、自分自身を見つめて、主役を譲り、次の後継者を支える勇気を、心がけていきましょう。それが優れた上司へ変わる最大の仕事なのです」(荻阪さん)

上司がすべきはフォローであって、主役に躍り出ることではない、というわけですね。ついつい承認欲求が出てしまいがちな人は、気をつけましょう。

■5:部下との雑談を避けて通る

部下との雑談を避けてばかりいませんか?

休憩時間などで、部下と積極的に雑談をしたがる上司と、雑談を避けて通る上司がいます。この違いはどうなのでしょうか。

「上司にとって、部下を適材適所に配置することは、チームにとって重要です。そこで上司に求められるのは、部下たちの能力や悩み、得意なこと、やりたいこと、楽しめることなどを、日頃どれだけ『気づいてあげられているか?』ということです。

部下をよりよく知るうえでは、プライベートでのライフスタイルや趣味、生き方などもわかる積極的雑談は、大いに役立つ働きかけになります。部下との雑談を避けている人は、オンモードでのその人しか知りません。

その場合、部下をあまりよく知りませんから、細やかな配慮をした配置ができず、部下の能力が活かしきれていません。一方、雑談を、相手を知るための重要な場として考えられるリーダーは、いろんな情報を総合判断して、適材を適所に配置できるのです」(荻阪さん)

雑談で初めて、相手の意外な能力を知ることってありますよね。部下との雑談も有効活用できるリーダーを目指しましょう。

■6:部下の短所を他の部下に話す

ダメ出しばかりが上司の仕事ではありません。

「そういえば、この人から共感されたことって、ないな」と思う上司っていますよね。いつも意味のないダメ出しや欠点ばかりを指摘する上司。果たしてこれは、愛のムチなのでしょうか。

「相手の間違いを指摘し、その代わり親身に支援するのであれば、愛情のカタチにもなるのです。しかし、部下を励まし、褒められないという上司がいます。

プライドが高すぎるのです。相手に優れた部分があるのを、見ようとせず、スルーします。こういう人は、部下の長所よりもまず先に短所に目がいってしまう、無意識的なクセがあるのです。

最悪なのは、ある部下の欠点を相手に伝えず、注意喚起のために他の部下に話すような上司ですね。部下からの信頼を失うのは時間の問題でしょう。

部下を活かすリーダーは、長所を積極的に見つけ、本人に伝え、それを周囲にも広めることができます。つまり、相手の長所を言葉で伝えられるリーダーは、次に、その長所をどうすればさらに伸ばせられるかを考え、課題を与えます。この上司の働きかけが本当の意味でメンバーひとりひとりの人間成長を促しているのです」(荻阪さん)

どうやら愛のムチにも、プライドから来るものと部下への思いから来るものがあるようです。自分はどちらなのか、よく考えてみましょう。

このなかに、普段うっかりやってしまっているNG習慣はありませんでしたか? ついやってしまうことは、なかなか自分では気づけないもの。「こんなこと私やっていないよね?」と、親友に相談してみるのもいいかもしれません。そしてぜひ、部下を活かしてチームを成長へと導いていきましょう!

荻阪哲雄さん
チェンジ・アーティスト代表取締役社長、多摩大学経営情報学部 客員教授、組織開発参謀
(おぎさか てつお)1963年、東京生まれ。多摩大学大学院経営情報学研究科修士課程修了(MBA取得)。専門は、組織開発論、ビジョン・マネジメント論。警視庁、ベンチャー企業勤務の後、一橋大学・山城章名誉教授の経営研究所へ。OD(組織開発)理論を習得し上場企業300社で、コンサルティング修業を経て、1994年、スコラ・コンサルトの創業期に参画。2004年、パートナーに就任。2007年、独立。新しい組織開発の実践手法「バインディング・アプローチ」を開発、提唱してチェンジ・アーティストを創業、代表就任。
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この記事の執筆者
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WRITING :
町田光
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