仕事の連絡はほとんどメール。家族、友人とのやりとりも SNSやコミュニケーションアプリで済んでしまう昨今。だからこそ、手書きにこだわりたい。美しい字が書ける人は、それだけで優位に立てる。そのためには猛練習が必要かもしれないし、書き方を忘れてしまった文字もたくさん出てくるだろう。最終的にはそうした努力が教養を深めることにつながるのだが、どうせなら道具にもこだわりたい。いいものを手にいれることで、字が汚いことに劣等感を抱いていた人も、確実に威厳を取り戻せる。
字をきれいに書く秘密は紙にあった!
打ち合わせのときに相手がメモをとる。それだけで判断はしないが、やはり字の美しい人は、汚いなぐり書きの人より優位に立つのである。記帳でもコンプライアンス関係のサインでも須すべからくそうだ。なんというのだろう、正統派というか、そこらのチンピラではない、というプロファイルが立ち現れてくる。
そして教養の差である。英国製らしき素敵なメモ帳を出し、万年筆で「石鹼」だの、「凌駕する」だのという漢字をすらすらと書かける男をあなたは羨望しないだろうか。「憂鬱」なんてためらいなく書かれたら絶句ものである。
字をきれいに書けないことが、密かにコンプレックスとなっている人は少なくないはず。とはいえ、今さら町の書道教室に通うわけにもいくまい。だったら、昭和世代におなじみの通信教育で…ではなく、道具の登場である。筆記用具は、やはり万年筆がベストだ。そして、インクの色が引き立つ紙を選ぶべし!
以上、これが美しい字を書くための究極奥義である。「この見出し詐欺め!」などと罵る前に、まずはお試しあれ。顧客リストに英国ロイヤルファミリーをはじめ、世界のジェントルマンが名を連ねるスマイソンの封筒やカードは、万年筆との相性がよく、確実に自分の字がうまくなったことを実感できると約束する。そして、手書きの経験を積んでいけば、本当に上手な字が普通に書けるようになるはずだ。「男が憧れる男」になることを夢見て、書いて、書いて、書きまくるべし!
※価格は税抜です。※価格は2016年春号掲載時の情報です。
- TEXT :
- 林 信朗 服飾評論家
- BY :
- MEN'S Precious2016年春号『東京ジェントルマン50の極意』より
- クレジット :
- 撮影/戸田嘉昭(パイルドライバー/静物)スタイリスト/石川英治(tablerockstudio)