伝統工芸を現代の生活にマッチさせ、未来へつなぐショップ
大人としての人生も一定期間過ぎると、生活に必要なものはそろってきました。シンプルな生活にするために必要なものを選び抜いたり、安価でも機能的なものとの出合い方を身につけたり、社会人デビューしたころよりは暮らし上手になった私たち。
一方で、あまりモノにときめく気持ちが薄れているのも事実。何度も訪れている京都旅でも、風景を愛でたり、美しい器で提供される食事や秘蔵の芸術品に感動することはあっても、自宅の恒久的な仲間に入れるものを持ち帰ることは減っているのでは?
そんなあなたの京都でのお買い物心を刺激すること間違いなしなのが、こちらの「Master Recipe(マスターレシピ)」。2018年秋にオープンした、日本のみならず世界中の工芸品クラスの生活雑貨を集めたセレクトショップです。
世界各地に数多く存在する伝統工芸。しかしそれらのなかには現代の暮らしにマッチせず、廃れていこうとしているものも少なくありません。
そこで「Master Recipe」では、素材、人、技法、歴史、産地に裏付けられたストーリーのあるプロダクトを日本国内26地域、世界20か国から編集し、「美しさ」と「新しさ」という視点(レシピ)を加えて現代の暮らしに調和する「World Contemporary Craft」として提案していくことを目指してオープンしました。
こちらのショップ、オンラインもあるのですが、そこに載っていても「祇園店のみ」という表記がついた商品にしばしば出合います。そう、実際に触れて、感じてもらう。そこに重きを置いています。実際に購入された人が京都に住んでいる人よりも、首都圏から足を運んだ人の割合が高いことが、その証明といえます。
未知なる手仕事に出合えるセレクト
そうはいっても、京都に旅行して、大きなものを買って帰るなんて…という気持ちを抱えながら店内を回遊していると、素朴ななかにも心動かされるアイテムに遭遇。
こちらのボスニア発の「ZANAT」のオブジェ器は、ブランド設立こそ2015年ですが、そのルーツは100年以上前。ZANATの創設者である、オルハンとアデム・ニクシックの祖父であるガーノが、サラエボのすぐ南に位置するコンジクに近い、小さな村から生まれた原始的な手彫りの技法を発見。そこでガーノは当時ボスニアを統治していたオーストリア・ハンガリー帝国の政権の支援を受け、木彫師の彫刻技術を家具生産者と協力して完成させました。
その後、子供たちに託されたこのビジネスはふたつの世界大戦を乗り越え、国の名前が幾度も変わりながらも技術は受け継がれ、2017年12月6日、ついにコンジクの木彫り技術は、UNESCO無形文化遺産に正式に登録されました。こちらは祇園店の一番人気の商品だそうです。木なのでまだ持ち帰りやすいですね。
こちらは、フランスの作家Patricia Vieljeuxによる作品。そのまま花器にしたり、飾るだけでも。プリミティブなイメージを具現化した作品には、彼女がラジオや人との会話からインスピレーションを得た言葉が刻まれています。
自然のデザインを生かした台湾発の「KAMARO’AN」に注目!
入荷すると即売れてしまうという、台湾発の「KAMARO’AN(カマローン)」のアイテムも人気商品。ブランド名は台湾の民話に由来する「生きる道」という意味の言葉で、台湾に根付く文化にインスパイアされ、ナチュラルな素材を使い、シンプルなクラフトマンシップをもとにつくられています。
Woven Triangle Bagは持ち手はイタリアンレザーを使い、16オンスのコットンキャンバス地でつくられています。台湾の檜ベースカバーの独特なデザインは、漂流木からつくられているため、自然が創り出したフォルムは唯一無二の存在感。
今回ピックアップした商品は、すべてMaster Recipe 京都祇園店で購入可能ですが、入荷の状況によっては並んでいないことも。旅先での素敵な出合いに恵まれるか、ぜひ訪れてみてください。
※掲載した商品はすべて税込です。
問い合わせ先
- Master Recipe 京都祇園店
- 営業時間/11:00〜19:00
- TEL:075-551-7100
- 住所/京都府京都市東山区祇園町南側570-125
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 北本祐子