「弁当」それは、いくつになってもどんなときも、心躍る特別な一食。膝の上におさまる箱の中に、主食や副菜、ごはん、ときには甘味と色彩豊かな美味が詰め込まれています。
そんな弁当の中でも、特別な日に食べたい「絶品弁当」をご紹介。贅沢で上質な絶品弁当の世界を覗いてみませんか。
日本一の魚屋「根津松本」が贈る、究極ののり弁
下町の風情が残る街、東京・根津。この街に「日本一の魚屋」と呼ばれる店があることをご存知でしょうか。
店の名前は「根津松本」。10坪ほどの小さな店内に漂う雰囲気は、下町の魚屋というより銀座の画廊のような高級感。それもそのはず、ここで売られている魚は超一級品。その価格は、一般的な魚屋と比べると倍どころかゼロの数すら違ってくるのです。
それでも続々と客が訪れては、目を輝かせて高級な魚を買い求めていきます。松本では、通常は高級すし店やミシュラン店にしか流通されない豊洲市場の「一の線」(その日もっとも品質のよい商品)の魚だけにこだわって仕入れされています。この日も時鮭1枚が¥2,000と日常使いはできそうにない値段で陳列されていましたが、こだわり抜いた本物のおいしさが約束されているのです。
極上品の中の極上品。そう聞くとなかなか敷居が高いように感じますが……実は根津松本の魚を手ごろに楽しめる、とっておきの商品が存在するんです。
それは、「のり弁」! のり弁といえば、庶民的な弁当の代表格。あのありふれた弁当を「日本一の魚屋」がつくったのだと聞けば、期待せずにはいられません。
予約した弁当を受け取りに行くと、洗練された店構えとは打って変わって、店主の松本さんは下町らしいほがらかなお人柄。さきほど詰め終わったばかりの温かさ残る弁当箱を手渡してくれました。そのずっしりとした重みに、期待がいっそう募ります。
すべてのおかずが圧倒的なおいしさ。海苔、ごはんまでもが極上品!
フタを開けてみると、海苔が見えないほどぎっしりとおかずが敷き詰められていました。一見すると、何の変哲のないのり弁のよう。かえってその飾り気のない佇いから、「これはめちゃくちゃおいしそうだぞ……!」と確信めいた思いが沸き起こってきます。
うーん、どれから食べようか。好きなものは後に残すべきか……と迷うこの瞬間こそ弁当の醍醐味。やはりここは、中央に堂々と鎮座した時鮭からいただいてみましょう。
香ばしい皮ごと、まずはひと口……うんうん、確かにおいしいぞ。なるほど、これが日本一の鮭か……。そんな風に思いながら咀嚼していると、あれあれ、そのおいしさがだんだんと大きくなり、口の中に広まっていくではありませんか。あれっ、この鮭、とてつもなくおいしいのでは……?!
ぎゅっとしっかり詰まった身は、絶妙な脂加減。しっとりとしているけれど、脂っぽくなく、みずみずしい。噛むほどに香りのいい脂がじわりと染み出て、鮭の濃い旨味を感じます。お、おいしい……! これは間違いなく、「人生一の鮭」!
そして鮭以上に魅力的なオーラを放っているのが、ちくわの磯部揚げ。こんな庶民的な一品でさえ、松本の手にかかれば極上品に。店頭では1本¥200で販売されている鯛のちくわでつくられた贅沢な磯部揚げです。食べるや否や、ぶりん! と弾力のある歯ごたえで、そんじょそこらのちくわでないことを実感させられます。鯛の上品な甘味、青海苔の香り、そこに程よい「おかず感」を加える油の旨味。ちくわの磯部揚げってこんなにおいしかったのか! と驚かされます。
どのおかずも最高においしいですが、なかでも気に入ったのがこの銀鱈の西京揚げ。軽やかな衣をまとった銀鱈の身は、驚くほどふわっふわ。口に入れた瞬間にとろけ、上質な脂が舌に染み渡ります。銀鱈の上品な脂と西京味噌のコクが、最高のごはんのおかず。もう永遠に食べ続けていたいくらい、美味極まる一品です!
そして「のり弁」の主役といえば、何ていったって「海苔」でしょう。薫り高くしっかりとした磯の風味を感じるこの海苔は、築地・丸山海苔店の「こんとび」。昔ながらの味の濃い海苔で、ミシュラン星付きすし店でも愛用されているそうです。
もちろん、ごはんも一級品。この日の米は会津「白虎米」。冷めても甘味と粘りがあり、海苔とごはん、そしてほのかな醤油の香りだけでも立派なごちそうです。
その他のおかずも、ただの彩りではありません。ひと口食べただけで「手がかかってる!」と分かる卵焼き。海老のすり身と山芋を混ぜ込み、1時間かけてじっくり焼くという手間の込みようで、しゅわっと溶けるような繊細な食感です。
そしてちりめん山椒さえも自家製だというのだから、もうそのこだわりようにはただただ感服するばかり。ほどよい塩気、じゃこの香ばしさ、爽やかな山椒の香り。油断すると、これだけでごはんを平らげてしまいそう!
お新香の酸味で口をリセットしたら、また別のおかずへ。どれを口に運んでも、すべてが極上のおいしさなのだから、幸せしかありません。奇をてらうことなく、素材の味を最大限にいかした素朴な味付けがことさらに嬉しい。これぞ「究極ののり弁」と呼ぶにふさわしい一折です。
夢中のうちに食べ進めてやっと箸を置くころには、すがすがしいほどの満足感が。頭にあるのは、「圧倒的なおいしさだったな……」という思いだけ。もちろん、弁当箱の中には米粒ひとつだって残っちゃいません。¥3,000弱とのり弁にしては高級な価格ですが、食べてみるとむしろ「安い」と思わざるを得ない完成度。この日の店頭で売られていた時鮭が¥2,000、銀鱈の西京漬けが¥1,000だったことを考えると、それだけでこの弁当がとてもお得だと分かります。
「一の線」にだけこだわった日本一の魚屋、根津松本。ハレの日でなくとも、「のり弁」なら手軽に最高級の味を堪能できますね。販売は、前日17時までに要予約。こだわりぬいた極上のおいしさを、ぜひご体感ください。
問い合わせ先
- 根津松本
- 営業時間/11:00〜19:00 (電話予約は10:00より受付)
- 定休日/日曜日・祝日の月曜日
- TEL:03-5913-7353
- 住所/東京都文京区根津1-26-5
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- よしもとこゆき
- WRITING :
- よしもとこゆき