「エレガンス」。それは、単純にファッションのことだけではなく、女性として、人としてどうあるかなのだ、ということに思いが至る、奥深い言葉です。
そして、その「エレガンス」を体現している方と私たちが憧れるのが、皇后美智子さま。気品あふれる装いはもちろん、慈愛に満ちた微笑み、凛とした美しさが人々を魅了します。
4月30日の退位を前に、数々の写真とともに、皇后美智子さまのエレガンスの真髄に迫ります。全4回の第3回は国際親善編です。
世界が魅了された、超一流の国際親善力
皇太子妃時代から、天皇陛下とともに50か国以上を訪れてきた皇后美智子さま。エレガントな装いや立ち居振る舞いは、行く先々で大きな話題を呼びました。セレブリティーも魅了するその理由とは?
思いやりが込められた皇后さまのファッション
国内のみならず、海外でも、皇后美智子さまは注目の的。堪能な英語と深い教養がにじみ出た皇后さまの知性は、国際親善の場でも人々を魅了していますが、空港に降り立った瞬間、テレビに映った瞬間に、観る人を虜にするのは、そのファッション。平成23年から皇后さまの衣装デザインを担当しているデザイナーの滝沢直己さんは、そのエレガンスの真髄は「調和」にあると語ります。
「皇后さまは、衣装に“想い”を込めます。服や小物に訪問先のシンボルカラーや、代表的な産業品をお使いになっているのも、相手に対する思いやりから。皇后さまご自身が主役になるのではなく、衣服を通じて想いを伝えようとされているんです。それぞれの国、それぞれの場、そのときどきの相手と、皇后さまはすっと“調和”していく。それは、とても日本的な美意識の表現だと思うんです」
国と国との関係性は、必ずしもよいときばかりではありません。実際に、訪問前は反日感情が強かった国でも、皇后美智子さまの思いやりに満ちた装いや行動が話題となり、批判が収束したことも。
「エレガントとは、もともと“選ぶ”という意味なんだそうです。自分にふさわしいものを選択していく、ということでしょうか。皇后さまは、海外の流儀のなかでも、しっかりと日本らしさを持ち込まれている。そういう、選び取る強さ、お考えの深さにも、お目にかかるたびに感銘を受けます」(滝沢さん)
ヒラリー・クリントンをはじめ、皇后さまのファンを公言する海外セレブリティーも多数。「調和」のエレガンスが、国や言語を超えて伝わった結果なのでしょう。
■1:親交の深いイギリス王室。エリザベス女王と競馬場にも
イギリス王室と良好な関係を続けている日本の皇室。写真は、昭和51年の訪問時に、アスコット競馬場を訪れたとき。当時の皇太子殿下(今上天皇)はシルクハットの正装。皇太子妃美智子さまのスーツ姿も美しい。
■2:互いの国をイメージ! ナンシー・レーガンとパーティーで談笑
昭和62年の訪米時、ホワイトハウスでのパーティーで。ロングドレスにあしらわれたのは、アメリカの国花・ハナミズキを、日本の伝統的織物である佐賀錦で立体的につくった華やかなブローチ。国際親善へのご姿勢を象徴する装いです。
■3:ドイツ大統領夫妻主催の晩さん会では、モダンなデザインのドレスで華やかに
平成5年にドイツを訪問された際、アウグストゥスブルク宮殿で開催された、リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー大統領夫妻主催の晩さん会で。皇后美智子さまはドレスで正装。洗練されたデザインが印象的です。
■4:ヨーロッパ歴訪時にバチカンへ立ち寄り、ローマ教皇と会談
イタリア、ベルギー、ドイツ、バチカン市国を17日間で巡られた、平成5年のヨーロッパ歴訪時に、ヨハネ・パウロ2世と会談。平和について話したとされる。皇后美智子さまは淡いブルーとホワイトのグラデーションが美しいスーツをお召しに。
■5:ヒラリー・クリントンは皇后美智子さまの大ファン!
平成8年、クリントン米大統領訪日の際。ヒラリー大統領夫人は、平成21年には国務長官として、平成23年には元大統領夫人として、それぞれ両陛下と面会。回顧録の中でも、皇后美智子さまの知性と人柄について触れているほどのファンだとか。
■6:オランダ国王夫妻との宮中晩さん会は、美しいドレスで
平成26年にオランダ国王夫妻が来日した際の宮中晩さん会でお召しになったドレスは、滝沢さんのデザイン。日本の伝統的な染の技法が使われています。箔のグラデーションが皇后美智子さまの髪の色と見事に調和し、気品を高めている。
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- EDIT&WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)