「エレガンス」。それは、単純にファッションのことだけではなく、女性として、人としてどうあるかなのだ、ということに思いが至る、奥深い言葉です。

そして、その「エレガンス」を体現している方と私たちが憧れるのが、皇后美智子さま。気品あふれる装いはもちろん、慈愛に満ちた微笑み、凛とした美しさが人々を魅了します。

4月30日の退位を前に、数々の写真とともに、皇后美智子さまのエレガンスの真髄に迫ります。全4回の第1回は歴史編です。

※本記事の情報は4月5日時点のものです。皇后美智子さまは4月30日に天皇陛下とともに退位され、5月1日から上皇后陛下になられます。

テニスコートの恋から現在まで、皇后美智子さまのエレガンスの歴史をたどる

1934(昭和9)年に生まれ、現在84歳。24歳で皇室に入ってから60年、時代に合わせて進化を続ける皇后さまのエレガンスを振り返ります。

そのエレガンスはつねに人々とともに

「あんなに正確に粘り強く打ち返してくるのだから、かなわないよ。すごいね」

天皇陛下の2歳後輩で、テニス仲間でもあった織田和雄さんは、著書『天皇陛下のプロポーズ』(小学館)の中で、昭和32年8月、当時皇太子であった陛下が皇后美智子さまと初めて顔を合わせた、軽井沢でのテニスの試合後におっしゃった言葉を、そう記しています。

大企業の社長令嬢で、聖心女子大学文学部外国語外国文学科を首席で卒業、さらにテニスでは関東学生ランキングで上位の腕前だった正田美智子さんは、民間出身の女性としては初めて、皇太子妃になられました。

一般的にお見合い結婚が多かった時代に、「自由恋愛でプリンセスに」というドラマティックな物語は、「昭和のシンデレラ・ストーリー」として日本中を熱狂させ、「ミッチー・ブーム」を巻き起こしたのでした。

その後も、皇室史上初めてご自身で子育てをするなど、妻として、母としての生き方でも、多くの女性の共感を集めました。公務にも精力的に取り組み、国の内外を問わず行く先々で、そのエレガントな装いは話題に。

皇后になってからも、即位してからの15年間で47都道府県をすべて訪問、国際親善にも熱心に取り組みました。つねに人々に寄り添うその姿は、多くの人の胸に刻まれています。

■1957年:まさに軽井沢のマドンナ! 清楚な美しさは憧れの的

撮影/女性セブン

当時、テニスは上流階級のスポーツであり、社交の場にもなっていた。皇后美智子さまは大学時代、テニス部に所属。関東の学生ランキング上位の腕前で、軽井沢でもその美しさとともに注目を集める存在だったよう。日本中をテニスブームが席巻し、コートは美智子さまと同じ白いテニスウエアと紺のニットの女性であふれました。

■1958年:メディアは「世紀のご成婚」一色に

Photo/The Asahi Shimbun/Getty Images

メディアは「世紀のご成婚」と盛り上がり、創刊が相次いだ週刊誌でも報道が過熱。このニュースのためにテレビを購入する人が続出するなど、日本のすみずみまでミッチー・ブームが浸透しました。写真は24歳のとき生家の正田邸で撮影されたもので、『アサヒグラフ』昭和34年新年特大号の表紙に。

■1959年:正装のローブ・デコルテは、ディオールのデザイン

Photo/Getty Images

4月10日の結婚式でお召しになったローブ・デコルテは、京都西陣の龍村美術織物の生地を、クリスチャン・ディオールでデザインしたもの。ウエストのリボンが初々しくもエレガントな印象に。皇居から東宮御所までのオープン馬車でのパレードには53万人が集まり、テレビ中継にも多くの人が熱狂しました。

■1967年:3人のお子さまと過ごす、母としてのあり方も話題に

撮影/女性セブン

25歳で浩宮徳仁親王(現・皇太子さま)、31歳で礼宮文仁親王(現・秋篠宮さま)を、34歳で紀宮清子内親王(現・黒田清子さん)を出産。それまでの皇室の慣例と異なり、自身で子育てを行い、入学式などの学校行事にもご夫妻で参列されました。写真は軽井沢でのご静養の際。まだ幼いお子さまふたりがほほえましい。

■1973年:皇太子妃時代から、海外でも賞讃されたエレガンス

撮影/女性セブン

昭和35年の訪米以来、現在に至るまで、公務で50か国以上を訪問し、国際親善に努められてきた両陛下。洋装も和装も、シーンに合わせたエレガントな装いは海外でも話題に。写真は昭和48年10月スペインご訪問時のもの。12日間でアメリカとベルギーにも立ち寄るという、ハードスケジュールでした。

■1984年:おふたりで過ごす際のフェミニンな装いも魅力

Photo/The Asahi Shimbun/GettyImages

木々や花々が大好きな皇后美智子さまは、自然の中を散策されることが多い。写真は49歳のとき、銀婚式を迎えたおふたりが東宮御所を散策中のもの。ブラウスのふんわりとした袖とウエストのリボンがフェミニンな印象で、公務などでの凛としたたたずまいとはまた違った魅力を感じさせます。

■1990年:日本中が沸いた「即位の礼」皇后としてスタート

写真:Shutterstock/アフロ

11月12日、陛下が125代天皇として即位したことを内外に宣明。皇后美智子さまは十二単姿で厳かに儀式を行った。その後の祝賀パレードでは、ローブ・デコルテとティアラで華やかに。ロールス・ロイスのオープンカーに乗り、手を振る姿をひと目見ようと、11万人が沿道に詰めかけ、日本中が祝賀ムードに。

■2005年:公務で国内外へ。訪問先での装いも話題に

Photo/The AsahiShimbun/Getty Images

天皇になられてからいっそう公務に励まれた陛下とともに、皇后美智子さまも頻繁に国内外へ。戦後60年にあたるこの年には、初めてサイパンを訪れ、戦没者を慰霊しました。鎮魂の祈りを込めた真っ白なセットアップが印象的。その前月、ノルウェーご訪問の際にはドレスをお召しに。

■2011年:被災地へのご訪問では、ひざをついてお声がけ

写真:代表撮影/AP/アフロ

皇太子妃時代から、皇后美智子さまは、福祉施設などのご訪問の際に、ひざをついて、人々と目線を合わせて語りかけることがよくありました。皇后になってからは、平成3年の雲仙普賢岳噴火による災害以降、天皇陛下とともに、たびたび被災地を訪れています。写真は東日本大震災の後、4月に宮城で被災者を見舞った際。

■2019年:在位三十年記念式典でも、天皇陛下をお支えに

写真:代表撮影/ロイター/アフロ

2月に行われた政府主宰の天皇陛下御在位三十年記念式典では、陛下が作詞、皇后さまが作曲した歌を、三浦大知さんが独唱。陛下がお言葉を述べられた際に、原稿を読み間違えるハプニングがあったが、皇后さまがすかさず手伝い、陛下も笑顔を返すという心温まる場面も。両陛下は4月30日に退位されます。

 

<出典>
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EDIT&WRITING :
剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)
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