一時は姿を消したパリ発祥のレザーブランド、モロー。そのスピリットを受け継ぎ、フランス職人の伝統技術を凝縮したバッグを展開しているのが2011年にスタートしたMOREAU PARIS(モロー・パリ)です。
「機能性の中の美」を掲げるモロー・パリが提案するのは、驚くほど軽くて機能的なバッグたち。機能性をデザインへと昇華させた、シンプルで美しい佇まいも特徴です。今回は、時を越えて鮮やかに蘇った伝説的なブランドの魅力をたっぷりとお伝えします。
【10月29日(火)まで開催中】モロー・パリの「美しいバッグ」の良さが体感できるイベントが銀座で開催
上質な素材と伝統的な職人技によって生まれる「モロー・パリ」のバッグ
ブランドの起源は19世紀後半。ルーツをたどれば、ナポレオン1世の御用職人に行き着きます。この職人から革製品の技術を受け継いだのが、ブランドにその名を残すモロー氏。
折しも、当時は産業革命によって、上流階級の人々の間で旅行が一般的になった時代。トランクの需要が急速に高まり、モローはラグジュアリーな旅行用品とレザー製品のブランドとして、支持を得るようになります。
その後、世界恐慌のあおりもあって、20世紀はじめに一時活動を休止してしまいますが、モローのヴィンテージトランクに感銘を受けたフェドール・ジョージ・サヴチェンコ氏(モロー・パリ クリエイティブディレクター)によって、2011年に再生を果たします。
ヴィンテージトランクから生まれた、アイコンのモロープリント
数々の老舗レザーブランドでキャリアを積んだサヴチェンコ氏を魅了したのは、モローのトランクに宿るフランス職人のものづくり精神。軽量で耐久性をもたせるべく、機能性を計算してつくられているうえ、「上質で高価な素材を惜しみなく使っている点に、感銘を受けた」といいます。
サヴチェンコ氏が目指すのは、当時のモローらしさや昔ながらの技術を継承しつつ、今の時代にマッチしたものづくり。メイド・イン・フランスと「機能性の中の美」にこだわり、伝統と革新が共存するバッグを生み出しています。
例えば、現在アイコンとして多くの製品に使用されているモロープリントは、創業当時のトランクに使われていたフランスの伝統的な柳編みがモチーフ。そこに、最初に構えたブティックの住所を入れ込んだプリントです。
モロー・プリントはシルクスクリーンで色ごとに数回に分けてプリントするため、通常よりも時間がかかります。また、細かな格子柄を美しくプリントするには職人の緻密な技術が問われます。こうして時間をかけてじっくり仕上げるからこそ、鮮やかな色を長くキープすることができるのです。
ブランドアイコンを美しくプリントする技術、手縫いの太ステッチ、滑らかなコバの仕上げ……。伝統技術をいかした手間暇をいとわないものづくりこそ、モロー・パリの真髄といえるでしょう。
極太のステッチが証!1点ずつ、すべて手縫いで生まれる至高のバッグたち
モロー・パリのバッグがうまれるために必要な手仕事はプリントだけではありません。それ自体がデザインの一部ともいえる、特徴的な極太ステッチもそのひとつ。
バッグの素材として主に使用するのは、フランスのタンナーによって丹念になめし加工された、上質なレザー。例えばアイコンバッグの「ブレガンソン」に使用するレザー、ブルスキンは厚さ2mm以上。これを場所によって3〜4枚重ねるため、1点ずつ手縫いする必要があるのです。
そのほか、通常はミシンで縫う部分もすべて手縫いで仕上げるのが、モロー・パリのこだわり。また、コバの美しく滑らかな処理にも注目を。幾重にも重ねた革のコバをていねいに磨き、塗り上げていく工程はまさに職人技! それぞれのバッグに、フランスの伝統的なレザーグッズづくりに必要な技術が凝縮されている、といっても過言ではありません。
コンパクトに収納でき、手縫いステッチがチャーミングなアイコンバッグ「ブレガンソン」
外縫いステッチが特徴的な「ブレガンソン」こそ、モロー・パリを象徴するアイコンバッグ。名前はモローの顧客だったフランスの政治家・実業家、ロベール・ベランジェ氏が住んでいたブレガンソン要塞にちなんだもの。
昔のトランクに着想を得た可動式のハンドルを採用しており、コンパクトに収納できるのがポイント。バッグの底に芯を入れていないため、フラットな状態で収納することができます。
上質な素材を使った存在感のある佇まいですが、金具を含めて余計な装飾を排除しているので、持つと想像以上の軽さに驚くはず。レザーの経年変化も魅力のひとつ。使うほどに愛着が増すバッグです。
仕様メモ
・可動式ハンドル
・ポーチつき
軽くて機能的!撥水加工も施された使いやすいトートバッグ「セレスタン」
「ブレガンソン」よりカジュアルにモロー・パリを楽しむなら「セレスタン」がおすすめ。ジャカード織りを使用した、モロー・パリのバッグのなかで随一の軽さを誇るトートです。
「セレスタン」に用いられている素材も、モロー・パリのアイコンであるモロープリントと同じ柳編みがモチーフとなっています。
この柳編みの風合いを再現するため、モローでは19世紀初めにフランスで開発されたジャカード織りを用い、独特の風合いと、立体的で複雑な模様が特徴のオリジナルジャカード生地を製作しています。
上質な素材と本物にこだわる姿勢……これも、サヴチェンコ氏がモロー再生を決意した理由のひとつです。
「セレスタン」は、伝統的な技術を現代に合わせてリバイバルし、かつてのモローの姿勢に敬意を払ったモデル。表面と内側にフッ素加工を施しており、撥水性があるので、急な雨でも安心。
内側の両サイドついたストラップを結べば、よりコンパクトになるうえ中身の丸見え防止にも。シンプルななかにさまざまな工夫が施された、デイリーに活躍させたいバッグです。
仕様メモ
・両サイドに結ぶタイプのストラップつき
モロー・パリのバッグや小物は、パーソナリゼーションも可能。バッグのパーツごとに革や色を変えたり、イニシャルやラインをハンドペイントやホットスタンプで入れることもできます。
色、素材、ペイントの組み合わせは無限大。職人がひとつひとつ手づくりする、世界にひとつだけのバッグ……これこそ、最高に贅沢なバッグかもしれません。
100年の時を超えて、フランスに息づくものづくりの心とエレガンスを伝えるモロー・パリ。ブランド再生以降、現在では「トレンドに左右されず、長く愛用できるバッグが欲しい」というパリのマダムたちが絶大な信頼を寄せる存在となりました。
真のエレガンスを知るパリ女性たちがなぜモロー・パリのバッグを愛するのか。実際に使ってみると、きっとすぐにその理由がわかるはずです。
*掲載した商品は税抜きです。
*モロー・パリの詳しい情報はこちらからご覧ください。
問い合わせ先
関連記事
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 門前直子
- EDIT :
- 石原あや乃