見分けやメンテナンスに不安があるヴィンテージ家具、どこで探せばいい?

時代を経て味わいを増した素材感や、つくられた時代特有の文化・慣習を物語る機能をもつ家具、技術面や環境問題などの理由で現代ではもうつくれないアイテムなど、ヴィンテージ家具選びには、宝探しのような楽しみがありますよね。

経年変化した家具のもつ「よい雰囲気」をインテリアに取り入れることで、日々の暮らしに深みが増す喜びは、格別なものです。

とはいえ、なかなか一歩踏み出すのは勇気がいるというのも事実。質のいいアイテムはどこで購入すればいいのか? メンテナンスの方法は? など、不安なことも多いですよね。

そこで、ヴィンテージ家具初心者の方でも安心してご購入いただける、ヴィンテージを扱うショップの条件3点を、身長156cmのインテリアエディターが、独自の視点でご紹介させていただきます。

ヴィンテージ家具を扱うショップの必須条件3

①定期的な仕入れをしていること
⓶メンテナンスに対する哲学と技術力があること
③ヴィンテージを取り入れたコーディネートに対して独自の提案があること

この3つの条件を満たすためには、大変な労力と知識量、常に学び続ける企業姿勢が必要です。つまりは、私たちが家具を安心して購入できるお店となります。

今回は、ヨーロッパアンティーク家具を中心に、ミックススタイリングを提案するインテリアショップ「Lloyd's Antiques (ロイズ・アンティークス)」をご紹介します。

ファッション感覚でミックススタイリングを提案してくれる、老舗の家具屋「ロイズ・アンティークス」の魅力を5つのポイントで解説します

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ロイズ・アンティークスのディスプレイは、行くだけでも感性が磨かれます。コーナーごとにさまざまなパターンで張り分けた元体育館のフローリング。テープの跡がいい味出してます。

■魅力1:ヨーロッパ各地に、年間10回を超える買い付けを行っていること

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外苑前のショップは、インテリアに個性を添えてくれる主役級の照明、小物が特に充実しています。

英国クラシックアンティーク家具を扱うお店として、1988年に創業したロイズ・アンティークス。現在ではさまざまなニーズを受け、イギリス、北欧、イタリア・フランスなど、ヨーロッパ各地に年間10回以上の買い付けを行っているのだとか。

一回の買い付け分が、複数のコンテナにまたがり、およそ毎月2〜3本程度のコンテナが、ロイズ・アンティークス ウェアハウスに入荷してきます。買い付けられた家具はていねいに修復を施され、店舗に並びます。

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土日限定で店舗営業もしている、横浜市鶴見区にある「ロイズ・アンティークス ウェアハウス」

■2:修復技術と品質へのプライドの証、ロイズ・アンティークスのホールマーク

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「ロイズ・アンティークス」のホールマークは、イングランド国旗のセント·ジョージ・クロスを模した十字架を、ロイズの原点である英国に敬意を表してコートオブアームズの枠の中へと収めたデザイン。

店頭で販売されるアンティーク家具の裏側には、ロイズ・アンティークスのトレードマークの「焼印」が刻まれています。世界一厳しいといわれる、日本人の要望に応えられる基準を満たすよう、最大限の品質管理を施していたプライドの証ともいえるホールマーク。

実は、修復の施し方ひとつで、アンティーク家具やヴィンテージ家具の価値は変わってしまいます。

例えば、時代を経た家具の裏には、すでになくなったメーカーの焼印や、修復した職人のサイン、持ち主のつけた傷など、いろいろな印がある場合も多いのです。どれを味わいとして残し、どこまで修理するのか。修復にはセンスが必要になってきます。

近い未来、ロイズ・アンティークスのホールマークがついた家具に価値がつくこともあるかもしれません。そう考えると、ちょっとロマンチックですよね?

■3:英国と日本に二箇所にある修復の拠点。技術交流を深め、修理対応も柔軟に、かつ本格的に行う体制が整っていること

英国クラシックアンティーク家具からスタートした、ロイズ・アンティークス。その経緯から、英国に関連会社を保有しているため、修復の拠点がイングランド中部と日本それぞれにあります。

それぞれの拠点に、木工・塗装・椅子張りなどの職人を抱えており、英国買付品については英国(を中心に日本との両方)にて、そのほかの国の買付品は日本にて修復を行っています。

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フレンチポリッシュによるパティーナは、英国アンティーク家具の特徴。

特に大切にしている「パティーナ」と呼ばれる英国で培われたフレンチポリッシュの艶による質感は、英国の職人の幾層もの手作業により実現されているとか。また日本の職人についても定期的に英国に派遣するなど、技術交流を深めており、ロイズ・アンティークスにしかできない体制が整っています。

修理の場合は、技術交流などで、しっかりとした本場の知識をもった職人さんが、国内で柔軟に対応してくれるため、安心です。

また、店頭スタッフさんも、アンティーク家具を愛する方ばかりなので、使用・経年で生じるちょっとした調整などは、皆さん対応できてしまうそうです。日々、店頭家具の美化のためにワックスがけを行っているので、日常のお手入れの相談も気軽にどうぞとのこと。心強いですよね。

■4:癖のある家具にも負けない空間作りが魅力的な、ロイズ・アンティークスの店舗のインテリア

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美しいアイアンワークの間仕切りが印象的な、碑文谷にある「ロイズ・アンティークス エゴイスト」。家具が入れ替わるたびに、お店の雰囲気がガラリと印象が変わるのも楽しみのひとつです。

ロイズ・アンティークスの最大の魅力は、確かな技術力にとどまらず、その編集力にあるといえます。わざわざ足を何度運んでも、毎回発見があります。特におすすめしたいのが、碑文谷にあるロイズ・アンティークス エゴイストです。

個性的な家具を受け止める、美しいアンティークのアイアンワークの間仕切りが緩やかに空間をしきり、まるで絵画のようです。床材も非常にユニーク。イギリスの体育館で実際に使用されていた床材を切ってヘリンボーンやタイルのように柄をつくって貼るなど、インテリアの造作は一見の価値があります。店舗設計の方も、アイディア探しによくいらっしゃるとか。

■5:幅広い時代の文化が掛け合わされた「ミックスカルチャースタイルインテリア」を構成する、独自の7つのカテゴリー

ミックススタイルだけでも難しいのに、カルチャーまでついてくると上級者しかできないのでは? と考えてしまうかもいらっしゃるかもしれません。

そんなときこそ利用してもらいたいのが、ロイズ・アンティークスが独自に分類した、7つのインテリアスタイルの提案です。わかりやすく、時代やスタイルを代表するスタイルの椅子をピックアップしてご紹介します。

【1】クラシックライン

まずひとつめは、1880~1940年代の英国アンティーク家具が中心。もっとも英国らしい家具小物が揃うロイズ・アンティークスの看板アイテム「クラッシックライン」

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【商品名】チッペンデールチェア【ブランド】ロイズ・アンティークス【写真の仕様の価格】¥85,000(税抜)【サイズ】幅575×奥行き510×高さ975 座面高480mm【材質】マホガニー【Country】イギリス(推定)【時代】1910年代(推定)塗装は現代、修復済み

【2】モダンライン

ふたつめにご紹介するのは、1950~1970年代、近代化から技術革新が反映されたヴィンテージ。英国や北などの工芸美や機能美を併せもつシンプルなデザインが特徴の「モダンライン」

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【商品名】アーコールチェア【ブランド】ロイズ・アンティークス【写真の仕様の価格】¥65,000(税抜)【サイズ】幅620×奥行き410×高さ960 座面高420mm【材質】ビーチ/エルム【Country】イギリス【時代】1960年代(推定)修復済み

【3】コンテンポラリーライン

三つ目は、1950~1970年代のイタリアンや大陸ヨーロッパのヴィンテージ。非現実的な日常と唯一無二の空間を与えてくれる、スタイリッシュで個性的なアイテム「コンテンポラリーライン」

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【商品名】イタリアンセティ【ブランド】ロイズ・アンティークス【写真の仕様の価格】¥250,000(税抜)【サイズ】幅1030×奥行き530×高さ980 座面高480mm【材質】ファブリック/アイアン【Country】イタリア(推定)【時代】1950年代(推定)修復済み

【4】カントリーライン

1880年代から1900年代初期にかけて、イギリスやフランスの田舎で使われていたパイン家具や道具など。手づくりならではの温かみに加え、長年使い込まれたもの特有の味わいが魅力「カントリーライン」

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【商品名】エルムチェア【ブランド】ロイズ・アンティークス【写真の仕様の価格】¥28,000(税抜)【サイズ】幅470×奥行き410×高さ880 座面高425mm【材質】アッシュ/エルム【Country】イギリス(推定)【時代】1850年代(推定)修復済み

【5】インダストリアルライン

工場などで実際に使われていた工業製品や金属什器のリメイクが中心アイテム。金属研磨によって生まれる独特の雰囲気や、オリジナルの燻った質感がこのラインの最大の魅力「インダストリアルライン」

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【商品名】シネマベンチ【ブランド】ロイズ・アンティークス【写真の仕様の価格】¥235,000(税抜)【サイズ】幅1020×奥行き500×高さ850 座面高490mm【材質】ビーチ/アイアン【Country】フランス(推定)【時代】1950年代(推定)修復済み

【6】リプロダクションライン

ヨーロッパ各国で愛され続け、流行に左右されない伝統を、そのまま現代に忠実に再現。レザー・ファブリックソファ、ダイニングテーブルなど、オーダーメイドも可能「リプロダクションライン」

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【商品名】カールトンチェア【ブランド】ロイズ・アンティークス【写真の仕様の価格】¥426,000(税抜)【サイズ】幅1320×奥行き610×高さ1070 座面高430mm【材質】フレーム:ビーチ/背・座:英国の伝統的な絵柄のモチーフを中心とし、約300種類の柄を扱っている英ファブリックメーカー「Titley and Marr」の生地を使用

【7】ブランドニューコレクション

最後に、デザイン性をもつ、現行プロダクトである家具やインテリアアクセサリー。スタイルコーディネートの完成度をワンランクアップ「ブランドニューコレクション」

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【商品名】ダイニングチェア ブルー【ブランド】ロイズ・アンティークス【写真の仕様の価格】¥55,000(税抜)【サイズ】幅560×奥行き450×高さ860【材質】ファブリック/メタル

このご紹介した7つのスタイルから、複数のスタイルを横断してミックスさせると、ミックスカルチャースタイルのインテリアが、どなたでも楽しめるというわけです。ワクワクしますよね!

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ロイズ・アンティークスの様々な時代の家具をミックスして作る世界観は、見応えがあります。

ミックススタイルインテリア、素敵ですよね。ぜひあなたも、一歩踏み出してみませんか?

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM