東京・上野にある東京国立博物館では、2020年2月9日(日)まで、特別展「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」を東洋館3室にて開催中です。

この展覧会は、カタール国の王族であるシェイク・ハマド・ビン・アブドラ・アール・サーニ殿下のコレクションより厳選された工芸品、117件をご紹介するもの。

地中海地域から西アジア、エジプト、アフリカ、中央アジア、東アジア、中南米といった世界各地の、古代文化に由来する工芸品を一挙に鑑賞することができる、貴重な機会となっています!

古代世界を紐解く「人、神、自然」3つのセクション

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3つのセクション、16のコーナーに分かれた特別展「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクション」の展示室

互いに交流や交渉がほとんどなかった、古代各地の文化の違いや、人類の普遍性を感じることができる作品群が、「人、神、自然」のテーマのもと、3つセクションに分かれて展示されています。

■1:「人」 古代のセルフブランディングが明らかに!

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均整が取れ、無機質なまでに理想化された顔

都市ができると階層もでき、支配階層にいる支配者や統治者は、自らの肖像を威厳を持った像として表現。これぞ現代でいうセルフブランディングの起源!? 世界各地で、どのように人物が表現されたかを見ることができます。

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知性的に表現されたナイジェリアの支配者の顔
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八頭身以上?泳ぐ理想化された女性像

権威を見せつける、金、銀、ラピスラズリといった高価な素材を用いた、支配階級のための工芸品や、支配階層身分の象徴である装飾品も必見です。

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宴会の場面が描かれた埋葬用のギリシャ陶器

古代ギリシャには、来世は永遠に宴会が続く楽しい世界、という考え方があり、裏を返せば、非常に厳しい現世からの現実逃避を込めているのかもしれません。華々しいイメージのある古代ギリシャですが、実は勢力争いが激しく、安心して暮らせる場所ではなかったようです。

■2:「神」 宇宙は無限に広がるトウモロコシ畑!?

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絶対者である神は古代の人にとって大変重要な存在

宗教によっては神を表現しないものもありますが、動物と人が合体した姿だったり、人間の姿であったり、バリエーション豊かに創造されてきた作品が鑑賞できます。 

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神に近い存在である英雄を表した像

中南米では、重要な穀物であったトウモロコシ。宇宙は無限に広がるトウモロコシ畑とし、神をトウモロコシの形として表現したものもあり、ユーモラスです。

■3:「自然」 古代のかわいいいペットたち

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角が大きく、力強さを表しています。

主に動物をモチーフにした肖像や食器が見られるのが、「自然」のセクションです。

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酒を注ぐ杯の一種であったリュトン。口から出た管がストローのような役割をしていたのかもしれません。

自然への畏敬の念を表した作品のほか、野生動物を、ペットを見るような視点であらわした作品もあります。

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動物への温かな視線が感じらる作品

古代というはるか彼方に感じる世界の中に、じつは現代とさほど変わらない、人の意識や社会背景も垣間見られる、特別展「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」。2020年にはパリ中心部のコンコルド広場にあるオテル・ドゥ・ラ・マリーンの一角でも常設展示が始まります。

壮大な人類の歴史と、輝かしい創造性に思いを巡らせば、これから始まる年末の忙しさも、ひととき吹き飛びそうです。パリよりひと足早く鑑賞できる、東京でのこの機会を、ぜひお見逃しなく!

問い合わせ先

  • 「人、神、自然ーザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界ー」
  • 会場/東京国立博物館 東洋館3室(上野公園)
  • 会期/2020年2月9日(日)まで
    開館時間/9:30〜17:00、金曜・土曜は21:00まで(入館は閉館の30分前まで)
    定休日/月曜日、12月26日(木)~2020年1月1日(水・祝)、1月14日(火)※2020年1月13日(月・祝)は開館
  • 観覧料(税込)/一般¥620(¥520)、大学生¥410円(¥310)
  • ※総合文化展観覧料および開催中の特別展観覧券「正倉院の世界」(2019年10月14日(月・祝)~11月24日(日))、特別展「出雲と大和」(2020年1月15日(水)~3月8日(日))で観覧可能(観覧当日に限る)
  • ※( )内は20名以上の団体料金
    ※子ども(高校生以下および満18歳未満)と一緒に来館した方(子ども1名につき同伴者2名まで)は、団体料金で総合文化展を観覧可能
    ※障がい者とその介護者1名は無料(入館の際に障がい者手帳など提示)
    ※高校生以下および満18歳未満,満70歳以上の方は無料。入館の際に年齢のわかるもの(生徒手帳,健康保険証,運転免許証など)を提示
  • ※特別展「正倉院の世界」(2019年10月14日(月・祝)~11月24日(日))、特別展「出雲と大和」(2020年1月15日(水)~3月8日(日))は別途観覧料が必要
  • TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    住所/東京都台東区上野公園 13-9

この記事の執筆者
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PHOTO :
トップ画像作品 左:《王像頭部》赤碧玉 エジプト 前1473~前1292年頃 中央:《アイベックス》青銅 アラビア半島南部 前1千年紀後半 右:《クマ》 金銅 中国 前206~後25年
WRITING :
神田朝子
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