年末の大掃除には、クローゼットや靴箱の掃除をする人が多いことでしょう。クローゼットや靴箱は、日頃の掃除がなかなか行き届かず、埃や湿気がたまりがちなスポット。正しい方法でケアを行わないと、大切なアイテムにカビが生えたり、臭いがついたりして、台無しにしてしまうおそれもあります。

そんなクローゼットや靴箱を掃除する際のNG行動について、日本そうじ協会・理事長の今村 暁さんから教わりました。

クローゼット・靴箱を掃除するときのNG行動6選

■1:不要なアイテムだけ取り出すのはNG

まずは空っぽにすることで断捨離がはかどる
まずは空っぽにすることで断捨離がはかどる

今村さんによれば、クローゼットや靴箱を掃除する際、真っ先にやるべきなのは、中のアイテムをすべて取り出すこと。余計なことは考えず、まずはクローゼットや靴箱の中身を空っぽにしましょう。

「クローゼットや靴箱に限らず、押し入れ、書棚、食器棚など、ものを収納する場所を掃除する際の共通ルールですが、まずは中のものをすべて取り出します

掃除や片付けが苦手な人というには、『大掃除の機会に断捨離しよう』という意識はあっても、行動が中途半端になりがちです。クローゼットや靴箱を開けて『何か捨てるものないかな?』とチェックはするのですが、そのやり方では、明らかに不要なものしか捨てられず、グレーゾーンのものは残してしまい、クローゼットや靴箱がほとんど片付きません。

『不要なものだけ取り除く』のではなく、『一旦中身を空にして必要なものだけ戻す』というのが正しい手順です。

というのも、一旦中身を空にして、ものがないスッキリした空間を目のあたりにすると、『このきれいな状態をキープしたい、元の乱雑な状態に戻したくない』という意識が働いて、中に戻すものを自然と厳選するようになります。

ものが捨てられない、何でもためこんでしまう人は、ぜひこの方法を試してみてください」(今村さん)

大掃除は、断捨離を行う絶好の機会。その第一歩として、クローゼットや靴箱の中のものをすべて取り出しましょう。

■2:捨てるかどうか「判断に時間をかける」のはNG

「まだ着れそう」や「もったいない」はNG
「まだ着れそう」や「もったいない」はNG

クローゼットや靴箱の中のものをすべて取り出したら、次は、捨てるもの・残すものの選別です。お店でひと目ぼれして購入したもの、人からプレゼントされたものなど、何かと思い入れのあるアイテムは、判断が難しいですよね。しかし、この行程であれこれ思い悩むのは、得策ではありません。

「捨てるかどうかの判断基準はシンプルに、『ここ1年で身につけたかどうか』です。礼服など着用機会が限られるものは例外ですが、1年間出番がなかったアイテムは、今後もほぼ着ることはありません。

もったいないという意識が働いて、どうしても捨てるのは忍びないという人は、フリマアプリで売ったり、途上国や施設などへ寄付したりするのもおすすめです。

もう何年も使わないアイテムをためこむのは、センスを鈍らせることにもつながると思います。『高価だったから』とか『痩せたら着られそうだから』などの言い訳をせず、本当に使用しているものだけ残すようにしましょう」(今村さん)

流行は日々移り変わりますし、年齢に応じて似合うものも変化するもの。2019年中に使用しなかったアイテムは思い切って処分しましょう。

■3:濡れ雑巾で埃を拭くのはNG

クローゼットや靴箱の中には、大量の埃がたまっているはず。必要なアイテムを元に戻す前に、埃を一掃しておきましょう。

今村さんによれば、埃をきれいに取り除くのにも、ちょっとしたコツがあるようです。

「拭き掃除を何でも濡れ雑巾で行う人がいますが、埃の正体は繊維ですので、濡れた雑巾で拭くと汚れが伸びて広がったり、埃が水分でくっついたりして、かえって汚くなってしまいます。乾いた埃は乾いたまま、掃除機やハタキで取り除くのが原則です。

例外として、埃が発生してからかなり時間が経つと、湿気を含むなどしてその場にこびりつき、乾いたままでは落ちないこともあります。そうした場合のみ、濡れた雑巾や洗剤を使って拭き取るようにしましょう」(今村さん)

まずは、乾いたまま処理して、それで汚れが落ちない場合のみ、濡れ雑巾で対処するという2ウェイ方式でクローゼットや靴箱の中をきれいにしましょう。

■4:高いところの埃を、ハタキだけで処理するのはNG

高いところの埃が舞い散らないように要注意
高いところの埃が舞い散らないように要注意

「最近のハタキは埃をたたき落とすものではなく、埃を吸着するタイプのものが主流です。これを使って、クローゼットのハンガーパイプや靴箱の上段など、高い位置の埃をとるときには、掃除機を併用するほうがいいでしょう。

埃のたまったところにハタキをさっと添わせると、ハタキが吸着しきれなかった埃が空中に舞って、そのまま1時間も2時間も浮遊し続けます。つまり、ハタキだけでは埃がクローゼットや靴箱内に残ってしまうおそれがあるのです。

埃が舞わないようにするには、片手にハタキ、もう片方の手に掃除機(床ブラシなどは外して先端を細い状態にしておきます)を持ち、ハタキで埃を払いながら、掃除機で埃を吸うようにしましょう」(今村さん)

ハンディタイプのワイパーを使う場合も同様です。埃をさっと拭うだけで満足するのではなく、肉眼では捉えきれない細かい埃も丁寧に掃除機で吸い取りましょう。

■5:一旦取り出した不要なアイテムを「元に戻す」のはNG

その場で捨てないアイテムは段ボール箱へ

クローゼットや靴箱内の埃を隅まで取り除いたら、殺菌・消毒のためにエタノールスプレーを。それが乾いたら、必要なアイテムのみ元に戻しましょう。「年が明けたらメルカリに出そう」などと思いつつ、処分対象のアイテムを元に戻すのはNGです。

「フリマに出したり寄付したりする予定のアイテムをしまいこむと、一時保管のつもりが結局そのままになってしまうのは結構ありがちです。

もう自分では使わないアイテムは、クローゼットや靴箱に戻さず、段ボール箱に入れ、半年以内に処分すること。もし、期限までにフリマや寄付で処分できなかったら、中身を見ずに捨てましょう」(今村さん)

先延ばし癖は汚部屋化の元凶。期限を切って、粛々と不要なものを家から追い出しましょう。

■6:芳香剤を低い位置、消臭剤を高い位置に置くのはNG

芳香剤や消臭剤の正しい置き方とは?
芳香剤や消臭剤の正しい置き方とは?

クローゼットや靴箱のにおい対策はどのようにしていますか? 今村さんによれば、芳香剤や消臭剤を置く位置をまちがっている人が意外と多いとのことです。

「においというのは、上から下へ流れる性質があります。ですから、芳香剤の香りをしっかり行き渡らせるためには、その空間の高い位置に置くのが正解です。逆に、空間全体のにおいをキャッチできるように、消臭剤は床など低い位置に置きましょう。

芳香剤を下、消臭剤を上、というように逆をやってしまうと効果が半減してしまいます」(今村さん)

芳香剤はなるべく高い位置、消臭剤はなるべく低い位置。あなたは正しく置けていますか?

1年に1度の大掃除。自分のファッションを見直すためにも、大切なアイテムを守るためにも、ぜひ正しい方法でクローゼットや靴箱の掃除を実践しましょう。

今村 暁さん
一般財団法人日本そうじ協会理事長
(いまむら さとる)1971年、静岡県生まれ。北海道大学法学部卒業後、日本長期信用銀行を経て独立。「感性教育」「習慣教育」「能力開発」「掃除道」などの研究と実践を基に、数多くの企業のコンサルティングを行なう。同時に、経営者、管理職、アスリートの目標達成のサポートも行なっている。著書は「10秒朝そうじの習慣」「そうじ習慣手帳」等多数。日本、韓国、台湾、中国、タイでベストセラーになっている。
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この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美