「2020年こそは営業成績でトップをとる」「10kgダイエットしてみせる」「TOEICで900点を突破したい」など、新年には公私にわたって何かと目標を立てる人が多いはず。
ですが、年初に立てた誓いを叶えられる人は、果たしてどれくらいいるのでしょうか? 一説によると、目標を実現できる人は1割未満で、ほとんどの人はクリアできないどころか、月日が経つとともに目標の存在自体を忘れてしまう、ともいわれています。
毎年毎年目標を立てても、なぜ途中で挫折してしまうのでしょうか? 才能がないから? 意志が弱いから? 気合や根性が足りないから? いいえ、弁護士・三谷淳さんによれば、目標を達成できるかどうかはちょっとしたコツしだいで、クリアできないのは目標の立て方に原因があるようです。
今回は、三谷さんの著書『目標達成の全技術』を参考に、新年の目標を実現できない原因をご紹介します。
新年の目標を実現できない原因4選、目標を達成するために必要なことは?
■1:目標とスローガンを混同しているのはNG
突然ですが、次の2つの目標のうち、実現しやすいのはどちらだと思いますか?
(1)「保険の売上で1億円プレーヤーになる」
(2)「地域ナンバーワンの店舗を作りたい」
ぱっと見た感じ、いずれもハードルが高く困難な目標に思えますが、実現しやすいのは(1)のほう。
なぜ(1)のほうが実現しやすいのかというと、“売上で1億円”というのは、達成できたかどうかを客観的に判断することができるからです。
他方、“地域ナンバーワン”というのは、どのような状態を指すのかはっきりしないので、実現するかどうか以前に、そもそも目標として成立していません。
ただ漠然とスローガンを掲げるのではなく、“地域の口コミランキング1位の店になる”などと、検証可能な内容にすることで、初めて目標として成立し、実現する可能性が出てきます。
新年の抱負においても、このように目標とスローガンを混同してしまっている人はかなり多いようです。
たとえば、「プロジェクトを成功させたい」とか「ダイエットしてきれいになりたい」というのは、単なるスローガン。具体的には何を以て“成功”なのか、“きれい”なのかというクリアの基準がないので、これでは実現しようがありません。
目標は、達成できたかどうかを客観的に検証できる内容のものを掲げましょう。
■2:「目標達成の期限」を具体的に決めていないのはNG
よく「目標を達成するには、期限を決めなければならない」といわれます。「いつか~~したい」と思うだけでは、そのいつかは永遠にこないからです。
では、新年の目標として、「2020年中に書籍を100冊読みたい」というのは、どうでしょうか? 一見すると、“2020年中”というのが期限になっているようにも思えますが、実はこれだけでは不十分。単に“2020年中”とするだけでは、締切を明確に意識することができず、「いつか~~したい」と、ほとんど変わりはありません。
そこで、三谷さんがおすすめしている方法が、目標の達成期限を決める際に、年月日だけでなく曜日も確認するというもの。“2020年中”ではなく、“2020年12月31日木曜日”とすると、一気にリアリティが高まります。それに、曜日まで設定しておくと、スケジュール帳を見返すたびに、否が応でも期限まで残された時間が意識され、自分がどう行動しなければならないのか、イメージしやすくもなるはずです。
“2020年中”とすると、「年末までまだまだ時間があるし……」という、怠け心ももたげてしまうもの。達成期限には年月日だけでなく、曜日も入れるようにしましょう。
■3:目標を公言しないのはNG
目標を立てたら、あなたはそれをまわりに公言しますか? それとも、自分の胸のうちに秘めておきますか? 三谷さんによれば、目標実現するタイプの人はずばり前者とのこと。
なぜ、目標は周囲に公言したほうがいいのか? それは、人は誰しも現状維持バイアスといって変化を避けようとする心理作用があるからです。
たとえば、「今より5kg痩せれば、美容にも健康にもいい」とわかっていても、「今月は宴会が多いから、ダイエットは来月からにしよう」などと自分に言い聞かせ、無意識のうちに変化や新しい挑戦をブロックしているといいます。
こうした現状維持バイアスを打破するのに、効果的な方法のひとつが、目標を公言すること。
自分の胸のうちに秘めたことであれば、「~~だから今はできない」といくらでも言い訳して済ますことができますが、人に宣言してしまうと、そうはいきません。目標を公言することで、いい意味で自分にプレッシャーをかけることができるのです。
目標を人に伝える際には、相手選びにも注意しましょう。たとえば、ダイエットの目標を、太っている友人に伝えた場合、「そんなの無理に決まっている」などとネガティブな反応をされて、モチベーションが下がってしまうおそれがあります。
目標を公言するのに適した相手は、同じような目標を既に達成した人や、別ジャンルであっても、次々と高い目標を達成している人です。そういう人たちは、あなたの目標を応援してくれたり、有益なアドバイスをくれたりするので、ぜひ積極的に相談してみましょう。
■4:「行動」ではなく「結果」にばかりフォーカスしている
目標を打ち立てたものの、その実現に向けて、なかなか行動を起こせなかったり、少しやってみてうまくいかないと、すぐにモチベーションが下がったりした経験は誰しもあるはず。なぜ、そんなことになってしまうのかというと、心のどこかに「本当に達成できるだろうか」という不安があるからではないでしょうか?
このように、目標実現に怖気づいてしまう人に対して、三谷さんは「結果は選べないが、行動は選べる」というアドバイスを送っています。
たとえば、「月間の売り上げ100万円」という目標を例に考えてみましょう。この目標を達成できるかという結果は、お客様が商品やサービスを買いたいと思ってくれるかどうかしだいで、自分ではコントロールすることができません。こうした自分では制御不能なことに対して、人は不安を感じてしまうものなのです。
他方、「毎月20人と名刺交換する」、「見込み客が参加しそうな交流会に月3回参加する」、「毎週3人の既存客に自社のサービスをおすすめするメールを送る」など、自分の行動はどうでしょうか。こちらはやるかやらないか、自分の行動しだいで必ずクリアできます。
目標を設定したら、うまくいくかどうかという結果にとらわれるのではなく、その目標に近づく小さな行動に目を向けましょう。簡単・確実にできる行動を1つ1つ積み重ねていくことが、自信やモチベーションのアップにつながり、目標実現に少しずつ近づくことができるのです。
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2019年の年初に立てた目標を達成できなかった人は、上記の原因に心あたりがあるのでは? 2020年こそは目標を実現するべく、適切に目標を設定し、行動を起こしていきましょう。
『最高の結果を出す 目標達成の全技術』三谷淳・著 日本実業出版社刊
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美