【重要】新型コロナウイルス感染拡大に伴い、展覧会準備を当初の予定通り行うことが難しい状況となったため、会期が変更になりました。延期後の開催日程につきましては2021年春の予定です。

2021年春、東京に鳥獣が集結!ギガ面白い「鳥獣戯画」

擬人化した動物たちや、人々の営みが墨一色で描かれた「鳥獣戯画」。傘を持ったカエルや、帽子をかぶったサルなど、小学校の教科書などで、誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

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日本だけでなく、世界の人にもアピールするような、これまでにないポップなポスターにも注目! 2020年2月13日(木)に開催された報道発表会にて、本展の見どころを熱く解説してくれた、東京国立博物館 学芸企画部企画課特別展室 主任研究員 土屋貴裕さん。

そんな鳥獣戯画の魅力を一挙に味わえる展覧会、その名も特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」が、2021年春、東京国立博物館 平成館にて開催されます。

実は2014年、2015年、2016年にも京都、東京、九州の各国立博物館でそれぞれ公開されてきたのですが、本展がこれまでとまったく違う点が、史上初めて、全巻全場面を、通期で鑑賞できるということ。

あの有名な、ユーモラスなタッチで描かれたウサギやカエル、猿などが飛んだり跳ねたりする様子は、まさに「いにしえのオリンピック」?! 今夏、オリンピックとパラリンピックが開催される東京に、これ以上ないほどに相応しい展覧会となりそうです。

前代未聞「動く歩道」に乗って鑑賞!一同に集結した「鳥獣戯画」見どころ4選

京都の北西、栂尾にある高山寺に伝わった、日本絵画史上もっとも有名な作品のひとつと言える「鳥獣戯画」ですが、本展では、甲・乙・丙・丁全4巻の全場面が、会期を通じて一挙公開されます。

さらに原本では、すでに失われた場面を留める模本の数々も集結。まさに本作品のすべてを堪能できる、またとない機会で、これを逃したら今後はもうないかもしれません。

あわせて、「鳥獣戯画」が伝わる、京都の高山寺の開山堂に安置され、普段は拝観がかなわない重要文化財「明恵上人坐像」も特別出品されるなど、大充実!の展覧会の「見どころ4選」を早速ご紹介します。

■1:人々を魅了し続ける「鳥獣戯画」の全巻全場面が一挙公開!

およそ800年以上前、平安から鎌倉時代にかけて、段階的に成立していった、カラーレスでストーリーもないこの絵巻ですが、いきいきとした表現や、闊達な筆運びが漫画のように楽しい作品です。全巻がそろう今回ですから、4巻それぞれの個性の違いを味わったり、楽しみ方は無限大です!

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国宝 鳥獣戯画 甲巻(部分) 平安時代 12世紀 京都・高山寺 通期。兎や猿が水遊びをする場面。鼻をつまんでダイブする兎にも注目です!

最も有名な甲巻は、あの「ウサギ」など擬人化された動物たちが、さまざまな遊戯や儀式を行う様を描く巻。11種の動物が登場します。

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国宝 鳥獣戯画 乙巻(部分) 平安時代 12世紀 京都・高山寺 通期。空想上の動物である霊亀(れいき)と麒麟(きりん)は、徳の高い君主の治世に現れる瑞獣(ずいじゅう)なのだとか。

前半は身近な動物、後半は日本にいない動物や、国内ビールメーカーのキャラクターの麒麟含め、空想上の霊獣など、16種の動物が描かれているそうです。

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国宝 鳥獣戯画 丙巻(部分) 平安~鎌倉時代 12~13世紀 京都・高山寺 通期。将棋と耳引きの場面。丙巻人物戯画にはこうした勝負事が多く描かれているのだそうです。

前半は「人物戯画」で勝負事をを中心に描き、後半は「動物戯画」で甲巻同様に動物を擬人化。

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国宝 鳥獣戯画 丁巻(部分) 鎌倉時代 13世紀 京都・高山寺 通期。馬上から的を射る流鏑馬。スピード感があります!

人物主体の丁巻ですが、ヘタウマっぽい筆致に見えますが的確で、作者の技量の高さがうかがえるのだとか。

■2:さらに深掘り!鳥獣戯画の断簡と模本も集結

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重要文化財 鳥獣戯画断簡(東博本) 平安時代 12世紀 東京国立博物館 通期。画面左手に見える黒点は、甲巻の第16紙、風にそよぐ萩の花とつながり、もとはここから分かれた場面であることが分かるのだそう。パズルみたい!

鳥獣戯画の一部が本体と切り離され、掛け軸などに仕立直されて伝来した断簡や、どこに入っていたかわからなかったり、途中でなくなってしまったりといった、原本ではすでに失われた場面を留める模本が、国内外から一堂に集まります。

■3:リアルな「秘仏」も公開! 高山寺中興の祖、明恵上人の信仰と美術

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重要文化財 明恵上人坐像 鎌倉時代 13世紀 京都・高山寺 通期。修行のため切った右耳もきちんと表現。

鳥獣戯画の伝わる高山寺は、鎌倉時代の僧、明恵上人によって多くの文化財が伝わっています。まるで生きているかのようにリアルな「明恵上人座像」は普段は非公開、寺外では今回27年ぶりのお披露目になるのだそう。鳥獣戯画にゆかりのある作品も鑑賞できるチャンスです。

■4:「動く歩道」に乗って、新しい鑑賞体験を!

絵巻は本来、「巻き広げながら」見るもの。本展では、国宝「鳥獣戯画 甲巻」について、史上初、前代未聞の動く歩道による観覧方式を導入。すべての人が最前列で鑑賞することができるのだとか。

混み合う展覧会では、係員の「進んでください」と促す声を聞きながら、という状況が常。画期的なアイディアで、安全かつスムーズに、流れるように広がる、極上の絵巻本来の世界を堪能できそうで、こちらにも要注目ですね!


そのほか、映画監督の細田 守さんによるトークショーや、鳥獣戯画を徹底調査する連続講座など、イベントも盛りだくさんの本展。

これまでの展覧会では実現し得なかった史上初の全巻全場面、動く歩道の導入ーー、と、今まで見ることが出来なかった景色が観れそうで、今夏のオープニングが待ちきれないですね!

問い合わせ先

  • 特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」 
  • 会場/東京国立博物館 平成館(上野公園)
    会期/2021年春予定
    観覧料(税込)/前売券 一般 ¥1,500 大学生 ¥1,000 高校生 ¥700、当日券 一般 ¥1,700 大学生 ¥1,200 高校生 ¥900、団体券 一般 ¥1,400 大学生 ¥900 高校生 ¥600
    ※中学生以下無料
    ※団体は20名以上。
    ※障がい者とその介護者1名は無料(入館の際に障がい者手帳など提示)
    主催/東京国立博物館、高山寺、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社
    TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    住所/東京都台東区上野公園 13-9

この記事の執筆者
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WRITING :
神田朝子