ファッションジャーナリストの藤岡篤子さんが、現在開催中の2020年AW コレクションの様子をリアルタイムでお届けしている本企画。本日は、パリコレクション7日目の様子を、現地からレポートします!

ついにパリコレ最終日!待ちに待った「シャネル」のコレクションが開催

ciao!藤岡篤子です。

とうとうパリコレクションの最終日です。やり抜きました、パリ!! 毎日忍び寄るように、さまざまなニュースが新聞やテレビを賑わせていましたが、結果的にショーがキャンセルになったのは、agnès b.(アニエスベー)とA.P.C.(アー・ペー・セー)のふたつのみ。ついに、最終日のCHANEL(シャネル)を迎えることができました!

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ガラスが美しい歴史的建造物

「シャネルの日はいつも雨」というジンクスも見事覆し、久しぶりの青空が広がりました。いつもの会場グラン・パレ(Grand Palais)は改修工事に入るそうで、長く続いた伝統ではありますが、今回が、グラン・パレで発表する最後のコレクションに。

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シャネルのコレクション会場であるグラン・パレ

アレキサンドラ3世橋を渡るとそびえ立つ、パリ万博を象徴する鉄とガラスの建造物も、これで見納めになります。少し寂しいですね。

シャネルはやっぱりオシャレマダムの宝庫!

プレタポルテなので、ドレスが被ってしまった人達も多かったのですが、センスの良いマダムたちは、やっぱり独自の着こなしで勝負していました。それぞれのスタイリングテクニックで、まったく違う雰囲気で着こなしていました。

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服が「かぶった」セレブたち

例えば、この白にシルバーのトリミングを施した、今季の大ヒットドレスですが、やっぱりコレクション会場で何人も身につけている人を見かけました。

写真左のマダムは、第一ボタンを開け、リラックスした雰囲気に。トリミングと色を合わせたアームウォーマーとニーハイブーツで、カジュアルアップしていました。バッグもドレスとおなじ、白にシルバーのトリミング。シャネルを着慣れた感があって、とても素敵でした。

写真右は、女優のKaridja Touré(カリジャ・トゥーレ)。アクセサリーなしでシンプルに。服を引き立てるように、黒のタイツとTストラップのシャネルシューズで、コントラストを楽しんでいました。こんなにストレートな着こなしでもエレガントに見えるシャネルは、さすがですね!

1990年代のムードある、クラシックなコレクション

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2020年AWのシャネルのランウェイ

今回のコレクションでは、シャネルらしいクラシックなモノトーンスタイルが多数登場。

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複数のモデルが同時にウォーキング

モデルも、2人や3人など複数で登場し、まさに1990年代風のランウェイ。どことなく懐かしさを感じさせるスタイルは、グラン・パレ最後となるショーとしても、見応えがありました。

来シーズンは、どこでどんな演出になるのか、今から楽しみですね。


「ミュウミュウ」には、次世代セレブが大集合!

続いてMIU MIU(ミュウミュウ)の会場へと急ぎます。ここでは、若いセレブリティーが大集合!! 若さでまとうミュウミュウは格別にかわいらしく、ついつい目を奪われてしまいました。それぞれのスタイリングにパパラッチのフラッシュが光ります。

私が素敵だなと思ったのは、このふたり。

トリコロールカラーにこだわったスタイリングの女優、リリー・ タイエブ

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トリコロールカラーにこだわったスタイリング

まず一人目は、装飾的なデザインが多いなかで、センスの良いトリコロール使いで差をつけていた、フランス人女優のLily Taieb(リリー・ タイエブ)。

紺のリブニットに合わせたのは、マーガレットの花をプリントした、ペルボトムパンツ。バッグはもちろんミュウミュウの赤のアイコンバッグ。そして、ビジュー入のホワイトサンダルをセット。シンプルだけどミュウミュウらしく、かといって飾りすぎない。

フリルや刺しゅうが多い中では、赤をアクセントにした着こなしは、抜群にスタイリッシュでした。

グレンチェックのコートに身を包んだ女優、エマニュエル・セニエ

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大御所女優が見せた、ぬけ感ある今どきスタイル

もうひとりは、フランスの大御所女優であるEmmanuelle Seigner(エマニュエル・セニエ)。セザール賞を受賞し、さまざまな話題を巻き起こした、Roman Polanski(ロマン・ポランスキー)の奥様でもあります。

ビッグサイズのグレンチェックのコートの下には、チェックの一色から抜き取った、オレンジ色のシャツを忍ばせ、さりげなく色合わせ。足元にはボルドーの乗馬ブーツを選び、いかにも16区で生まれ育ったパリらしさで、ミュウミュウを着こなしていました。

フレンチブルジョワの典型的な「上質なものをさりげなく」着る装いは、若さだけではまとえないもの。人生の味わいが感じられ、良いワインのような芳醇さが漂っていました。

これで、パリコレも終了! ロンドン、ミラノ、パリと続いたコレクションライフも幕を閉じました。今回はコロナウイルスの影響もありましたが、無事終了して安心しています。

今回のレポート以外にも、ご紹介したいオシャレなマダムたちにたくさん出会いましたので、また改めてお届けいたしますね。

長らくこの「コレクションに訪れた素敵なマダムのスナップ」短期集中連載にお付き合いいただき、ありがとうございました!


本日は、2020年AW パリコレクションDAY7の様子をお届けしました。藤岡さんのインスタグラム(@fiorinatokyo)でも、パリコレクションの様子が投稿されています。

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この記事の執筆者
1987年、ザ・ウールマーク・カンパニー婦人服ディレクターとしてジャパンウールコレクションをプロデュース。退任後パリ、ミラノ、ロンドン、マドリードなど世界のコレクションを取材開始。朝日、毎日、日経など新聞でコレクション情報を掲載。女性誌にもソーシャライツやブランドストーリーなどを連載。毎シーズン2回開催するコレクショントレンドセミナーは、日本最大の来場者数を誇る。好きなもの:ワンピースドレス、タイトスカート、映画『男と女』のアナーク・エーメ、映画『ワイルドバンチ』のウォーレン・オーツ、村上春樹、須賀敦子、山田詠美、トム・フォード、沢木耕太郎の映画評論、アーネスト・ヘミングウエイの『エデンの園』、フランソワーズ ・サガン、キース・リチャーズ、ミウッチャ・プラダ、シャンパン、ワインは“ジンファンデル”、福島屋、自転車、海沿いの家、犬、パリ、ロンドンのウェイトローズ(スーパー)
WRITING :
藤岡篤子
EDIT :
石原あや乃