SHO-AN 松庵 [荒木町] L.O.25:00
締めの蕎麦がたまらない!
そんな和食好きが深夜に通う、荒木町の蕎麦割烹

 四谷三丁目、車力門通り。江戸の気風が伝わるような趣のある名の通りから脇に折れた路地に、蕎麦割烹「松庵」がある。ここ荒木町で4度目の夏を迎えた今、旨い料理と手打ち蕎麦が食べられる店として、和食好きたちの心をとらえている。

 引き戸を開けて入ると、左手にカウンターが伸びる店内は、こざっぱりとした雰囲気。奥に置いてある石臼が目に入り、締めの蕎麦はきっと旨い!と、早くも確信する。

 品書きには、おまかせコース、おまかせ蕎麦前料理、といったコース料理の他に、アラカルトのおつまみ、そして、蕎麦メニューが綴られている。蕎麦割烹の名のとおり、旬の食材を取り入れた料理の数々をいただき、蕎麦で締める「おまかせコース」をオーダーするのが基本だが、23時以降は、蕎麦単品のオーダーにも応えてくれる。

 しかし、遅い時間になっても、おまかせコースを選び、しっかりと料理を楽しむ客が多いという。料理長が端正込めてつくる料理の質の高さがそうさせるのだろう。

 料理長の松丸勝範さんは、フレンチのシェフとして料理の世界に入った後、和食へと転向。いつか自分の店を持とうと、和食の料理人としての腕を磨いてきた。先付けに始まる「おまかせコース」で出される一皿一皿の彩りの美しさには、フレンチとも通底する美的な感性がうかがわれる。

 23時からのひとりカウンター飯なら、その日のおまかせコースからの料理を何品か選び、アラカルトとしてオーダーするのもオススメ。カウンター越しに料理長が語ってくれる食材や調理のうんちくに聞き入りながら、季節の日本酒をかたむけるのが楽しい。

 締めにいただく蕎麦は、自家製粉。店の奥に蕎麦打ち部屋があり、その日に出す蕎麦はその日に打つ。だから、閉店時間は27時としているが、蕎麦が無くなったら早めに店じまいなんてこともあるから、心しておこう。

 新宿通りから車力門通りに入り、右手2本目の路地を曲がったところに佇む松庵。初めてだと見逃してしまいそうだが、香り高い蕎麦に惹かれて、カウンター飯のお気に入りの店のリストに加えたくなる一軒だ。

客が好んで座るカウンターは6席。カウンターの向こう、至近距離で調理をするため、出汁やタレなど、和食ならではの香りが漂い食欲をそそる。カウンター席のほか、4人席のテーブルが2つある。
おまかせコースからの一品、冷やし鉢。活タコの新鮮さを生かし、梅と出汁をあわせた爽やかな風味のタレをかけていただく。新鮮なタコと柑橘類の相性がいい。おまかせコースは、¥7,000、¥10,000。
出汁につけた鴨のロースト、なすの揚げ浸し、ズッキーニの焼き浸しなど、食材ひとつひとつの調理に手間をかけた、冷やし煮物。温泉たまごのとろりとした黄身をからめていただくとさらに満足感が増す。この時期、合わせる酒は、きりりとした冷酒がおすすめ。日本酒は一合¥960〜
会席料理の椀物は、料理人の才覚をあらわすものとも言われる。鱧やハマグリの椀物が定番だが、今夜は贅沢な、ワタリガニの吉野葛寄せ。露を打った椀は、料理長が大切にする輪島塗の年代もの。
松庵の楽しみは、やはり、締めの蕎麦。蕎麦の産地や品種、挽き方は日によって変えるという。今夜は、夏に美味しい新蕎麦、「常陸春蕎麦」。単品の蕎麦は、せいろ¥900、湯葉蕎麦¥1,300、鴨南蛮¥1,800など、冷たい蕎麦、暖かい蕎麦、あわせて10品がメニューにある。
店の奥に蕎麦打ち部屋がある。料理長自らが打つ蕎麦の風味を楽しみに通う常連も多い。

※価格は全て税抜です。

【お問い合わせ】
■松庵 しょうあん
東京都新宿区荒木町3 北島ビル101
TEL:03-3356-6626
営業時間/18:00〜27:00(25:00 L.O.)定休日/日曜日  
※​閉店、ラストオーダーとも、蕎麦がなくなったら早まる可能性があります。
アクセス/丸ノ内線 「四谷三丁目」4番出口から徒歩約3分

PHOTO :
横田紋子(本誌)
EDIT&WRITING :
堀 けいこ