立ち止まることなく、助け合う。ラグジュアリーブランドの熱意
テレビやネットなどのニュースで日々報じられている、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策支援。ファッション業界でも、多くのラグジュアリーブランドが続々と積極的に行動を起こしています。
今回は、「ルイ・ヴィトン」「ラルフ ローレン」「プチバトー」「トッズ」「ロジェ ヴィヴィエ」「ジャンヴィト ロッシ」や、「ヴァレンティノ」の親会社の取り組みについてご紹介します。
■1:アトリエで医療用マスクとガウンを製造する「ルイ・ヴィトン」
ルイ・ヴィトンは、2020年4月8日にフランス国内5か所のアトリエで医療用マスクを、さらに4月10日にはパリのポン・ヌフ通りにあるプレタポルテのアトリエにて医療用ガウンの製造をスタートしました。
地域の織物産業との共同作業により実を結んだマスクの製造には、総勢約300人のボランティアの職人が作業にあたっており、生産されたマスクは医療施設へ配布されます。
AP-HP(パリおよびパリ近郊で運営されている公立医療センター)とも呼ばれる「パリ公立病院連合」の6つの病院へ提供される医療用ガウンは、AP-HP公認の生地とパターンを使って、こちらもボランティアで参加している20名の職人によって作られています。
医療用ガウンの生地の裁断は、現在行われているポン・ヌフ通りのアトリエでの手作業のほか、在宅勤務しているルイ・ヴィトンのパターンカッターもボランティアとして加わり、さらに4月14日からは自動裁断機を持つパリのパターンカッターも協力する予定です。
■2:「ラルフ ローレン」は、マスクと防護ガウンの生産に加えて1000万米ドルを拠出
米国内の提携メーカーと協力し、マスク25万枚と防護ガウン2万5000着の生産を開始したラルフ ローレン。これらのマスクとガウンは、先週からニューヨーク、ニュージャージー、ノースカロライナを含む、新型コロナウイルスの影響が大きい地域へ供給され始めました。
さらに2020年3月26日、「ラルフ ローレン コーポレート基金」は、新型コロナウイルス禍に対応すべく、パンデミックの被害を受けている自社チームや提携先のメンバー、各コミュニティ支援のために、1000万米ドル(約10億7800万円)を拠出すると発表しました。
拠出金の内訳としては、世界保健機関(WHO)のCOVID-19連帯対応基金への寄付と、加療、高齢者介護、育児などの特別な状況に置かれているラルフ ローレン従業員のための緊急支援基金を通じた助成金の供与のほか、過去20年間にわたって行ってきたがん治療支援ネットワークのさらなるサポート。
そして、パンデミックの影響に苦しむ米国ファッション業界を支援するために設立されたアメリカ・ファッション協議会(CFDA)、およびCOVID-19救援のためのヴォーグファッション基金への支援金があります。
■3:マスク製作のワークショップをはじめ、地域貢献を目指す「プチバトー」
プチバトーは、2020年3月20日から23日まで、フランス・トロワにあるサン・ジョセフ工場にて、地域のテキスタイル企業とともにマスク製作のワークショップを行いました。
サン・ジョセフ工場の職人たちのボランティアによって作られた5000枚のマスクは、地域の保険庁を通じて医療現場などに配布。そして、このワークショップ以降も、週に25000枚のペースで製作が継続されています。
このほか、プチバトーを傘下にもつグループロシェでは、さまざまなチームが新型コロナウイルスに最前線で戦う医療従事者や自宅待機措置に耐える顧客のサポートを目標とし、アルコール除菌ジェルや消毒製品を製造するなどの取り組みを実施。
また、日本のプチバトーの公式ブログ(http://blog.petit-bateau.co.jp/tag/diy-masque/)では、Tシャツをリメイクするマスクの作り方を公開中です。
■4:「トッズ グループ」は、500万ユーロを提供し「センプレ・コン・ヴォイ」基金を創設
2020年4月6日、トッズとロジェ ヴィヴィエを擁するトッズ グループは全従業員を代表して、グループの会長と副会長を務めるデッラ・ヴァッレ一族が500万ユーロ(約6億円)の資金を提供し、「センプレ・コン・ヴォイ」基金を創設することを発表しました。
「センプレ・コン・ヴォイ(Sempre con Voi)」は「いつもあなたと」を意味しており、この基金は新型コロナウイルスの医療活動に従事し、無念にもその命を落とした医療従事者の残された家族へのサポートを目的としたものです。
基金の運営についてはイタリア市民保護局に一任され、この趣旨に賛同される方はイタリア市民保護局が開設した口座(国際銀行勘定番号(IBAN):IT66 J030 6905 0201 0000 0066 432)へ寄付することができます。
■5:「ジャンヴィト・ロッシ」のオーナーファミリーは、10万ユーロをエミリア・ロマーニャ州の病院へ寄付
イタリアの靴ブランド、ジャンヴィト ロッシのオーナーであるジャンヴィト・ロッシ氏とその家族は、イタリアのチェゼーナにある病院「オスペデール マウリツィオ ファリーニ」に10 万ユーロ(約1200 万円)を寄付しました。
エミリア・ロマーニャ州にあり、素晴らしい靴を生み出すシューズメーカーと工場を数多く擁するチェゼーナは、現在、イタリア国内で最も新型コロナウイルスの被害を受けている都市のひとつでもあります。
ジャンヴィト・ロッシ氏は、「私が愛するロマーニャ州は苦しんでおり、私は彼女とともに戦います。この深刻な時期に、勇敢に戦いサポート体制をとる方々へ、心から敬意を表します」というメッセージも発表しています。
■6:「ヴァレンティノ」の親会社は、イタリアとスペインの医療対策に総額300万ユーロを寄付
ヴァレンティノを傘下にもつメイフーラは、イタリアの中でも特に感染被害が拡大しているミラノにあるサッコ病院の集中治療室に新型の陰圧換気装置を設置するために100万ユーロ(約1億2000万円)の寄付を行い、さらにイタリア市民保護局にも100万ユーロを寄付しました。
また、2020年3月23日にはスペイン・マドリード州に100万ユーロを寄付。これはマドリード見本市会場(IFEMA)内に急遽建設された救急病院、「COVID-19 IFEMA病院」の拡張を促進することを目的としたもので、これが完成することにより、新型コロナウイルス感染者1300人を収容できる予定です。
以上、「ルイ・ヴィトン」「ラルフ ローレン」「プチバトー」「トッズ」「ロジェ ヴィヴィエ」「ジャンヴィト ロッシ」や、「ヴァレンティノ」の親会社による、新型コロナウイルス感染対策への支援活動をご紹介しました。
歴史的ともいえる危機に直面しながらも、立ち止まることなくそれぞれが「今できること」に取り組んでいるブランドの姿から、私たち自身も学ぶこと、励まされるものが多々あります。
Precious.jpでは、今後もさまざまなブランドの新型コロナウイルス感染症対策への活動をご紹介していきます。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 谷 花生