AI技術の進歩やIT化などによって、今後は単純作業の仕事が減り、人と協力する作業が増えていくと考えられています。そんななか、必要性がさらに高まっているのが「コミュニケーションのスキル」です。
「ビジネスで成功するため、チャンスをつかむため、そして自己成長のためには、コミュニケーションについて真剣に学び、『人が集まる人』になることが有効です」
そう語るのは、『うまくいく人がやっている 1億円会話術』の著者である岡崎かつひろさん。とはいえ、コミュニケーションのスキルを磨いて人脈を広げることの大事さはわかっていても、具体的に何をすればいいのかわからない……という方は多いはずです。
例えば、新しい人と出会い、その人との縁をつないでいきたいと思ったときに、あなたがするべきことは何だと思いますか?
岡崎さんは「3日以内に連絡を取って、次に会う約束を取りつけること」が大切だといいます。なぜなら、人には「会った時間の長さ」よりも、「会った回数」のほうが信頼関係につながりやすいという心理があるから。
以下では、人脈をうまく築けない人がやってしまいがちな、よくないコミュニケーション術を紹介します。人が集まる自分になる努力を続ければ、いまよりももっと人脈が広がって、素敵な出会いがきっと見つかるでしょう。
人脈を築けない人がやりがちな、NGコミュニケーション術5選
■1:お礼の連絡をするまでに時間をかけるのはNG
ビジネスマナーの基本に、人と会ったあとにはお礼の連絡をするというものがあります。このとき、いくらお礼の内容が凝っていても、連絡が遅くなってしまうのはNG。
「お礼の連絡は、内容よりもスピードのほうがはるかに重要で、早ければ早いほど好印象です。もし別れてから数分のうちに、相手からお礼のメールが届いたら、『真面目そう』『仕事ができそう』といったプラスの印象を受けるのではないでしょうか。お礼のスピード=誠実さと覚えておきましょう。
文章は短くて構いません。例えば『今日はありがとうございました。○○さんとお会いできて光栄です。まずはアドバイスいただいた××からやってみたいと思います。結果がどうだったか、またご連絡させてください。今後ともよろしくお願いします』。
これだけの文章でも、アドバイスをしっかり受け取っていて、それを実行する気があり、結果報告のために後日連絡を取ることが伝わります」(岡崎さん)
お礼の連絡をするまでに時間を置いてしまうと、連絡が遅くなったお詫びやその理由などを書かなくてはならず、余計に時間がかかってしまいます。「人に会ったら、帰社直後にお礼のメールをする」というように、ルール化しておくのがおすすめです。
■2:相手を褒めないのはNG
たとえ些細なことであっても、誰かに褒められると嬉しくなりますよね。これは、褒められることで自分自身に価値があると感じられる、つまり自尊心が高められるから。このように、相手の自尊心を高めてあげられる人が人望を集めやすいと岡崎さんはいいます。
「相手の自尊心を高める方法のひとつは、その人を褒めることです。このとき、可能であればみんなの前で褒めるのがポイント。その人自身が話したら単なる自慢になってしまう内容でも、ほかの人が代わりに話すと聞き手は受け入れやすくなります。
会話のなかで人を褒めるときに扱いやすいワードは、『すごい』『素敵』『最高』の3つ。例えば『すごい! 見事な○○ですね』『素敵な髪型ですね!』『○○さんのお話、最高でした!』など、上下関係を問わず幅広く活用できるので便利です。
ところで、自分が褒められる側になったときの注意点があります。それは、褒めてくれた相手に対して、マウンティング(上下関係をつくること)してしまうこと。褒められたときは、こちらからも相手を褒める言葉を返しましょう」(岡崎さん)
あなたは普段、誰かを褒めることをしていますか? 成功者は相手を立てて行動するのが上手です。人望を集めたいのなら、あなたが周りの人の自尊心を高める存在になりましょう。
■3:聞き役にまわらないのはNG
人は誰でも自分の話を聞いてもらいたいと思っています。だからといって、いつも自分ばかり話していては、残念ながら人脈を築くことはできません……。そこで、あなた自身が積極的に聞き役にまわり、相手が気持ちよく話せるようにサポートすることを心がけてみてください。
「話を聞く姿勢には、その人の人間的な器の大きさが表れます。聞き手として相手(話し手)を喜ばせるコツは、大きくリアクションをすること。初めのうちはオーバーに思えるかもしれませんが、いつもの倍くらいを意識するとちょうどいいでしょう。要所要所で相手を褒めて、自尊心を高めてあげるのも忘れずに。
また、会話のなかで日ごろの感謝を伝えることも大切です。この際、普通ではありえないことをしてもらっているという気持ちを込めていいましょう。
人は当たり前になってしまうと、感謝の気持ちがなくなり、感謝の気持ちがなくなると相手への尊敬がなくなってしまいます。そうなってしまわないように、どんなときも『ありがとう』で返す習慣を身につけましょう」(岡崎さん)
自分の話を真剣に聞いてくれる人は、案外少ないもの。だからこそ、自分が聞き役にまわれば、相手にとって貴重な人になることができ、結果的に人望を集められるはずです。
■4:人の名前を呼ばないのはNG
仕事の関係者と話しているときに、相手の名前が思い出せず、なんとなく気まずい思いをした経験はありませんか? 反対に、上司や取引先の人から名前で呼んでもらえると「自分を覚えてくれている」と、うれしく感じるはず。岡崎さんによると、人望を集める人は、必ず相手を名前で呼んでいるのだとか。
「相手の名前を呼ぶと親近感が高まるだけでなく、相手の自尊心を高めることにもつながります。これは社内の人はもちろん、社外の人にも有効です。例えば、上司と一緒に取引先の人と会うときは、上司にも聞こえるように、取引先の人の名前を出すことを意識してみてください。
すると、取引先の人に好印象を与えられるうえ、上司に対しても取引先と良好な関係を築けていることをアピールできるでしょう。
ちなみに、あの田中角栄元首相も人を名前で呼んでいたことで有名ですが、こんなユニークなエピソードがあります。人の名前を忘れてしまっているとき『君の名前はなんだ?』と尋ね、『高橋といいます』『バカもん! そっちはわかっている、下の名前のほうだ』とやりとりしていたそうです」(岡崎さん)
日本語は、主語を省略してもある程度会話が成立するので、相手の名前が思い出せなくても、ごまかしがききます。それでも、相手との距離を縮めたいなら、その人を名前で呼ぶことを怠ってはいけません。
■5:経験ではなく知識ばかり語ってしまうのはNG
話がおもしろい人には共通点があります。それは、自らの体験に基づいて話をしているということです。たとえ興味深い雑学をたくさん知っていても、その知識をひけらかすだけでは、人を惹きつけることができません。
「『魅力ないものは知識を語り、魅力あるものは経験を語る』という格言があるように、人は物語=体験談に魅力を感じますし、体験談には信憑性があります。あなたの身のまわりに、物知りなのに人間的な魅力を感じない人はいませんか? その理由は、話の中に体験がないからなのです。
超一流の成功者にはユーモアがあり、ユーモアには人望を集める力があります。ですから、聞いた人が『それ、おもしろいね』と言ってくれるような、実体験に基づいたユーモアのある鉄板ネタをいくつか持っていると、人間関係をつくるきっかけになるでしょう。
話の内容は、成功体験よりも失敗した体験のほうがネタになりやすいので、失敗を恐れず、さまざまなことに挑戦してみてください。万が一、その挑戦がうまくいかなかったとしても、失敗そのものがあなたにとって価値のあるプラスの体験になります」(岡崎さん)
体験に基づいたおもしろい話をするためには、話し言葉で原稿を書き、繰り返し声に出して練習することも大切。話し上手を目指して、地道な努力を積み重ねましょう。
ビジネスでもプライベートでも、巡ってきたチャンスをつかめるのは、人との縁を大事にする人です。ひと口に人脈を広げるといっても、それは必ずしも新しい人との出会いとは限りません。既存の知人・友人とのご縁も、大切にしてくださいね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 上原 純