新型コロナウイルスの影響で、世界経済は混乱に陥っていますが、そんな中でも超一流の経営者や投資家などは、ダメージを最小限に抑えたり、むしろビジネスチャンスを発掘して、さらに利益を拡大したりしている例も見受けられます。

相次ぐ失業や倒産をよそに、なぜ彼らはうまく立ち回ることができているのか? それは、真の成功者は常日頃から嗅覚を研ぎ澄まし、あらゆるリスクに対する準備を怠っていないから。

今回は、ビジネス教育者で多くの億万長者とも親交のある小林正弥さんから、本当のお金持ちがピンチに備えて普段からやっていることについて教わりました。

本当のお金持ちが「ピンチに備えて普段からやっていること」7選

■1:「不況は10年に1度」はやってくると覚悟しておく

大暴落は定期的に訪れる?
大暴落は定期的に訪れる?

「新型コロナウイルスの影響で経済へのダメージが深刻だといわれていますが、実は、歴史をひもとくと、ほぼ10年サイクルで資本主義に何らかのひずみが生じて、不況が起こっています。

記憶に新しいところでは、2008年のリーマンショック。その約10年前の1997年にはアジア通貨危機。さらに10年さかのぼれば、1987年のブラックマンデー(米株価大暴落)。

このように、10年に1度は金融危機が生じているので、私のまわりでは2018年以前から『そろそろ次のショックがくるのではないか』とささやかれていました。

具体的には何をしたのかというと、好況といわれる中で不動産や株を手放したり、事業が最高益の時期に敢えて事業を拡大せずに守りを固めたり、などです。

ここ数年、東京オリンピック開催予定などもあり、日本経済は明るいムードに包まれていました。しかし、本当に冷静な人たちは、10年に1度の大不況を想定し早いうちから対策していたため、今回のコロナ禍においても、ダメージを最小限に抑えることができているのです」(小林さん)

■2:「20年以上にわたって経済的成功」を収めている人から学ぶ

先人から学ぶ
先人から学ぶ

「さきほど不況は10年に1度やってくるとお話ししましたが、歴史から学ぶことは非常に重要です。ただ、シミュレーション能力が抜群に高い人でもない限り、ただ歴史を振り返るだけではリアリティが感じられず、何か具体的なアイディアを思いつくことなどできないのではないでしょうか?

そこで、おすすめしたいのは、20年以上にわたって経済的成功を収めている先人から学ぶことです。20年以上成功しているのであれば、その人は10年に1度の危機を、最低でも1回は乗り越えているということ。運だけでお金持ちになったのではなく、経済的な波乗りを熟知した人からの教えは万金に値します。

そうした成功者からどうやって学べばいいのかというと、もちろん、書籍などを読むだけでも勉強になりますが、もし可能であれば、その人が主宰する勉強会やオンラインセミナーなどに参加して、直接つながるほうがより効果が高いといえるでしょう。

実際に、私自身もそうした勉強会に所属していますが、新型コロナについて、まだ日本のメディアがそれほど大きく報じていない時期から、コミュニティ内では『これはただごとではない』と議論が持ち切りでした。私など当時は『そんな大げさな』と思ったものでしたが、嗅覚の鋭い識者がアラートを発してくれたおかげで、私も比較的早く対策に着手できたのです」(小林さん)

■3:人とお金の流れを常に読んで待ち構える

街から消えた人々は今どこに?
街から消えた人々は今どこに?

「新型コロナウイルスの影響で、大幅な収入減や失業・倒産などが相次いでいますが、こうした状況においても、売り上げ好調な企業はたくさん存在します。

たとえば、旅行やレジャー、外食系は大打撃だといわれていますが、他方で、動画配信のネットフリックスは会員が倍増するなど、オンラインのエンタメ産業は好調です。

また、教育事業も、対面での授業は実施が難しくなっているものの、オンライン授業の体制が整っていたところは、対面授業での赤字を補うことができていると聞きます。

さらに、個人の例でいうと、私のクライアントで健康食品の販売を行っている人がいるのですが、そのかたは、免疫力アップなど今まさに人々にとって関心の高い情報を積極的に発信することで、売り上げがアップしているとのことです。

こうした成功事例は偶然ではなく、平常時から人とお金の流れを常に読んで待ち構えていたからこそ実現したものだと考えられます。

ある日突然、何らかの事情で経済がクラッシュしても、人間の欲やお金までもが消えてしまうわけではありません。つまり、ある方面にお金が流れなくなっても、行き場をなくしたお金は、別の方面に流れていきます。

もちろん、新型コロナウイルスの流行など、誰にも予測できなかったことではありますが、それでも、人が何を求めているのか常にアンテナを張り、発想力を磨いておけば、想定外のピンチが生じたときにも迅速に対処できるのではないでしょうか」(小林さん)

■4:まとまった額の現金をストックしておく

好調なうちに貯めておく
好調なうちに貯めておく

「現金はいわばビジネスにとって生命線。人間は血液が循環しないと生きていけないのと同様、現金がなくなると企業は倒産してしまいます。

この観点から、いざというときに備えて、事業売り上げの最低2か月分、それとは別に生活費を最低6か月分、貯蓄しておくべきでしょう。

ちなみに、私自身の経験では、2011年の東日本大震災時に、業務委託の仕事がメール1本ですべて打ち切られて、収入がゼロになったことがあります。そのとき、次の仕事が見つかるまで1.5か月かかりました。

このときの経験をふまえると、事業売り上げは最低でも2か月分、そして、事業以前の生きていく土台となる生活費は最低6か月分の備えが必要だと考えられます。これくらいの蓄えがあれば、万が一、収入がストップする事態に見舞われても、冷静に立て直しすることが可能です。

特に、ここ10年以内に社会人になった人、事業を始めた人は、不況を経験していないために、好調なのが当たり前だと思ってしまい、収入が上がった分だけ生活レベルを上げたり、むやみに事業を拡大したりして、十分な備えがない人が多いかもしれません。

経済的に上昇気流に乗っているときほど、無駄遣いや慢心は厳禁。いつ経済の潮目が急変するのか分からないことを念頭におき、こつこつと余剰資金を積み立てましょう」(小林さん)

■5:複数の収入源を用意しておく

会社員をしながら講師業も夢じゃない?
会社員をしながら講師業も夢じゃない?

「食べ物に賞味期限があるように、人の仕事にも必ず賞味期限があります。ある一時期に羽振りのよかった仕事でも、時代の流れとともに、需要が落ち込み賞味期限切れを起こしてしまうのです。

この観点から、現在、自分の生活を支えている目の前の仕事以外に、中長期的に収入を得られるスキルを磨いておくことをおすすめします。

たとえば、趣味がヨガという会社員の場合、平日の日中は会社勤めをしながら、余暇でヨガの技術や指導方法を身につけていくことで、もしも会社員としての収入が減ったりゼロになったりしても、ヨガインストラクターとして収入を得ることが可能です。最近では、教室を持たずに、在宅でオンラインレッスンを発信して成功している人もたくさんいます。

今はモノを売らなくても、人が求めるサービスや情報を売ることでお金が稼げる時代です。あくまで趣味の延長でOKなので、自分の好きなこと、得意なことで他者貢献しお金を得ることができないか考えてみましょう」(小林さん)

■6:自分が無一文になったら何をするか妄想する

妄想で「稼ぐ発想力」を鍛える
妄想で「稼ぐ発想力」を鍛える

「現金を準備しておくことも大切なのですが、それと並行してやっておくべきなのは、ゼロスタートを想定すること。つまり、収入も貯金もゼロの状態から、再起をかけるとしたら自分は何ができるのか、妄想レベルでいいのでいろいろ考えてみましょう。

たとえば、今すぐ元手をほとんどかけずに収入を得るなら、外出自粛の影響で特需を迎えているウーバーイーツなどの配達員のアルバイトを始めるのもひとつの手。さらに、妄想をふくらませれば、配達員の仕事をしていると、お店やメニューの知識は自然と増えるので、グルメ情報を発信するYouTubeチャンネルを開設するなどすれば、そこからも収入が得られるかもしれません。

頭の体操をするつもりで、『もし自分が無一文になったら?』と自由に妄想をふくらませ、お金を稼ぐアイディアをどんどんストックしておきましょう」(小林さん)

■7:人に投資する

いざというときは「人とのつながり」が物を言う
いざというときは「人とのつながり」が物を言う

「今は少しずつ供給ルートが回復しつつあるようですが、一時期どこの薬局でもマスクが売り切れ状態で、入手に苦心した人が多いのではないでしょうか?

私の場合、幸いにして、遠方の友人がマスクを送ってくれたおかげで、何とかしのぐことができました。首都圏でマスクが枯渇した頃、その友人が住んでいる地方ではまだ在庫があったのです。

困ったときはお互い様。ピンチのときに周囲から助けてもらうには、人に投資する、つまり、相手にとって何らかのプラスになる行動を積み重ねることは大切だと思います。

投資といっても、堅苦しく考えることはありません。仕事を紹介する、ご飯をごちそうする、悩み相談に乗る、あるいは話を聞くだけでもいい。自分のできる範囲で、自分にとって本当に大切な限られたメンバーに対して行えば十分です。

ここでのポイントは、あくまで見返りを期待しないこと。私がベストセラー作家の佐藤 伝さんから教わった考え方で、『目に見えない賽銭箱』というものがあります。

『自分が深く付き合いたい人の頭の上に賽銭箱があるとイメージして、常に見返りを求めず投げ銭していると、ある一定以上貯まったときに突然、賽銭箱がひっくり返って、自分に返ってくる』という、ユニークな考え方です。

マスクを送ってくれた友人に対しても、私はもちろん見返りを求めて付き合ってきたわけではありません。ただ、見返りを期待せず、自分なりの形で投げ銭し続けていれば、非常事態などの予期せぬタイミングで、自分にリターンが返ってくるのではないでしょうか」(小林さん)

未曽有のピンチに見舞われたとき、日頃のちょっとした心構えや習慣が、あなたを救います。アフターコロナの時代を賢く生き抜くべく、本当のお金持ちがピンチに備えて普段からやっていることを今すぐ実践していきましょう。

小林正弥さん
ビジネス教育者、作家。株式会社教育スクールビジネス研究所代表取締役。
(こばやし まさや)1983年、埼玉県生まれ。2006年、早稲田大学理工学部卒。「本業で結果を出して稼ぎ、結果の出し方を人に教えて稼ぐ」、ダブルインカムの手法を実践する「新・講座型ビジネス実践会」を主宰。「才能をお金に変える専門家」と呼ばれる。25歳で独立したものの全く稼ぐことができず、時給900円の日雇いのアルバイトを経験。家族の治療費のため、自分を最高値で売ることを決意し、1カ月後に毎月210万円の報酬が得られるようになる。その後、自分を「商品」として1億円プレイヤーとなる。著書に『自分を最高値で売る方法』『億を稼ぐ勉強法』『最速で10倍の結果を出す 他力思考』がある。

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この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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