ジュエリーデザイナー、能條 彩さんの「秘密基地のような家」を訪問

能條 彩さん
ジュエリーデザイナー
(のうじょう あや)大学卒業後、ファッション業界で経験を積み、University of Arts Londonへ進学。2011年、自身がデザインを手がけるジュエリーブランドAmantes Amentesを立ち上げる。渋谷ヒカリエや新宿伊勢丹でのイベントほか、TOMORROWLANDでも展開中。

能條さんのHouse DATA

間取り…3LDK
家族構成…夫とふたり
住んで何年?…4か月

家_1,家具_1,IE Precious_1
お茶時間。奥のウォーターサーバーはアメリカから取り寄せたもの。小皿や酒器はかごに入れて収納。

明るい光が差し込むダイニングには、いたるところに植物が置かれ、テーブル上は、アンティークの器や季節の花のあしらいがぎっしり。

家_2,家具_2,IE Precious_2
デザインを考え中。
仕事部屋の作業台。「ずっと探していた石の本は、オランダの古本屋で発見。トルコで見つけた100年以上前の夢診断の本とともに、デザインのインスピレーションの源に」
仕事部屋の作業台。「ずっと探していた石の本は、オランダの古本屋で発見。トルコで見つけた100年以上前の夢診断の本とともに、デザインのインスピレーションの源に」

ショーケースのような味のある古い棚には、年代ものの器が並び、流木やサンゴのオブジェも。

色鮮やかな石が積み上げられた仕事部屋は、関連書物や作品が所狭しと並んでいます。

石マニアかつルブタンマニア。「女っぽいデザインは最高に気分が上がります。目につくよう、あえて仕事部屋に転がしています」
石マニアかつルブタンマニア。「女っぽいデザインは最高に気分が上がります。目につくよう、あえて仕事部屋に転がしています」

そんな、一見するとギャラリー、あるいはカフェのような住まいに暮らすのは、ジュエリーデザイナーの能條彩さん。

家_3,家具_3,IE Precious_3
能條さんがデザインを手がけるジュエリー。ピアス(カルセドニー、アベンチュリン)¥18,000〜。世界中から石を集め、周辺諸国の戦争被災者も従事する、トルコ・イスタンブールの工房に製作を依頼。売り上げの一部は難民支援団体へ寄付している。

「部屋にいても季節を感じたくて、家中にグリーンを置いています。食事中でも常に、テーブルにはこんなふうに季節の植物がワサッと(笑)」

家_4,家具_4,IE Precious_4
卓上には季節の花は欠かさない。アンティークのポットはへレンド。120年くらい前のもの。ナッツの入った蟹の銀器はロンドンのレストランで見かけ、自力でネット検索して見つけ、アメリカから取り寄せた。ガラス類はトルコで購入。その日の天気や気分でコーディネートする。

「食器もふたり暮らしとは思えないくらい、あれこれ出して飾るのが好き。夫は最初、びっくりしていましたが」

家_5,家具_5,IE Precious_5
ダイニングのテーブルは、1860年代のイギリスのアンティーク。イケアの椅子は自ら塗装。手前のベージュの古い棚は、なんと昭和初期の駄菓子入れ。埼玉のアンティークショップで購入。

「引越しのたびに、移動サーカスのような遊び心ある家をつくっていけたら」

新婚ほやほや、この家には引っ越してきたばかり。旦那さまは頻繁に異動があり、全国各地、どこへ赴任するのか直前までわからないため、この家も半日で決めたとか。

家_6,家具_6,IE Precious_6
仕事部屋には、シーズンごとに気分に合うデザイナーのカタログを棚に飾る(現在はマルジェラ)。窓辺には石のほか鳥のオブジェが多数。「自分の羽根で自由に空を飛び回る姿が好きで、鳥のオブジェは見つけたら即購入。珊瑚も好きで旅先の海で拾ってきます。死んだ珊瑚なので持ち帰り可能なんです」

「土地、家、環境。どこに住むのかわからない人生もおもしろいなと思って。どうせなら、そんな不確定要素を楽しみつつ、そのときの気分に合った家をつくっていきたいです」

「どこに住んでもどんな家でも秘密基地のようなワクワク感を忘れずにいたい」(能條さん)

家_7,家具_7,IE Precious_7
階段の壁にあるシンプルな花器はフィンランドから取り寄せ。ロンドンのホテルでひと目惚れし、ネットで見つけ出した。

「独身時代は東京の便利な場所で、好きなものに囲まれて自由気ままに暮らしていましたが、これからはふたり暮らし。趣味が正反対な夫と、どこに住んでもどんな家でも秘密基地のようなワクワク感を忘れずにいたいね、と話しています」

家_8,家具_8,IE Precious_8
玄関ドアのステンドグラスは大家さんの趣味。「夜はジブリの家のようにやわらかな光が外に漏れてかわいいです」

互いの文化が混合するような家づくり

アメリカで過ごした旦那様と、イギリスで過ごし、現在はトルコと日本で仕事をする能條さん。ふたりとも旅行好きなため、各地の思い出の品はもちろん、互いの文化が混合するような家づくりをしたいとか。

能條さんの作品。身につけるだけで、普段着の表情を変える個性的なデザインが人気。
能條さんの作品。身につけるだけで、普段着の表情を変える個性的なデザインが人気。

「ダイニングや仕事部屋は、私のものが圧倒的存在感を放っていますが、リビングはびっくりするくらいシンプルで無機質。彼の筋肉育成グッズが転がっているだけです(笑)」

家_9,家具_9,IE Precious_9
日当たりがよい仕事部屋は2面窓。「海外の雑誌や書籍などを見ながらデザインのアイディアを練ります。飾ってあるエトロのガウンは今の気分。色の組み合わせの参考に。石の絵柄のエルメスのスカーフはリヨンの絹を使った1950年代のもの。商談時、このスカーフに石を包んで持ち運びしています」

「合理的でよけいなものはもたない彼の趣味ですが、暮らしてみると、案外、そんな何もない部屋も落ち着くと知りました。気分転換にも最適です」

石はラブラドライト。「角度によって蝶の羽を思わせるような神秘的な色が魅力」
石はラブラドライト。「角度によって蝶の羽を思わせるような神秘的な色が魅力」

「一方私は、ジュエリーを製作しているくらいですから、必ずしも生活に必要なものでなくても、気分が上がったり自信がついたり、人生が楽しくなるものは必要だと思っている派」

仕事部屋には石や鉱物のケースが多数。「100種類以上、合計1000個以上の石があるかと…。この石はアゲート。とても貴重な石でよく見るとアルファベットのような柄が。ずっと探していたところイギリス人の石コレクターと出合い、コツコツ譲り受けて、やっとそろったコレクション!」
仕事部屋には石や鉱物のケースが多数。「100種類以上、合計1000個以上の石があるかと…。この石はアゲート。とても貴重な石でよく見るとアルファベットのような柄が。ずっと探していたところイギリス人の石コレクターと出合い、コツコツ譲り受けて、やっとそろったコレクション!」

「お互いの異なる世界観をリスペクトし合って、引越しのたびに、環境やライフスタイルの変化を楽しみながら、まるで移動サーカスのような遊び心ある家をつくっていけたらと思います」

家_10,家具_10,IE Precious_10
ベッドボードにした衝立は大阪のアンティーク店で購入。このアイディアはフランスのインテリア雑誌から。リネンはリッツ・カールトンで使われていたロンドンのブランドのもの、クッションカバーはモロッコやトルコで購入。

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PHOTO :
川上輝明
EDIT&WRITING :
田中美保、古里典子(Precious)