食空間プロデューサー・内山ゆきさんの世界を旅する家
一歩足を踏み入れた瞬間、まるで世界中を旅しているような気持ちになる─。
器やトレイ、花瓶から、テーブルやチェストといった大きな家具まで。アジア、北欧、ヨーロッパ。世界各地の古いもの、新しいもの、愛らしいもの、ポップなものなど、個性豊かなモノたちが自然と調和した空間は、好奇心を掻き立てられます。
お気に入りのギャラリーを訪れたようなワクワク感と同時に、いったん椅子に腰かけてお茶でもいただこうものなら、時間を忘れて長居してしまう。この居心地のよさはいったい…?
昼夜問わず、仕事関係者から親しい友人まで多くの人が訪れるこちらの部屋に住むのは、内山ゆきさん。宿やホテル、個人宅の内装や設え、インテリアをプロデュースするほか、ケータリングなども手がける、食と空間のプロデューサーです。
内山ゆきさんのHouse DATA
間取り・・・5LDK
家族構成・・・子供ふたり
住み始めて何年?・・・約2か月
「アジア、北欧、ヨーロッパ。世界を旅して持ち帰った愛しいものは、古くても新しくても自然と調和するから不思議です」(内山さん)
「仕事柄、打ち合わせや買い付けなど、日本国内だけでなく、世界中を訪れます。旅先で出合って『好き!持ち帰りたい!』と感じたモノたちだけがこの部屋に集結しています(笑)。
国や素材、質感や色、年代など、一見バラバラなように見えても、それらが仲よく暮らし始める瞬間が必ずあると思っていて。ゲストの方たちがくつろいだ気持ちになると言ってくださるのも、『モノの個性と自分の好き』が一致した空間だからなのかもしれません」
「デザインはもちろんですが、どんな明かりで暮らしたいか。光の調節も大切です」
「モノの個性と自分の好きが一致した空間は、楽しさとくつろぎをもたらしてくれます」
ひと月のうち3分の1は旅へ。京都や益子、沖縄、パリ、ロンドン、モロッコ、カンボジア…。旅先では、仕事の合間をぬってアンティークショップや蚤の市、美術館やギャラリーなどを精力的に訪れるとか。
「行きつけの店だけでなく、散歩途中で偶然見かけたお店でも、いい出合いが多いですね。そのへんの嗅覚は、ちょっと優れているかも。
幼いころから旅好きの祖母に連れられて、ヨーロッパの古城など世界各地を巡っていました。おしゃれな人で、洋服の生地やカーテン地、椅子の張り地など日本にないものを見つけては持ち帰っていました。
古いものも好きで、アンティークショップなどで、"なぜあんなガラクタのなかからこんな素敵なものを発見できるんだろう?"と幼心に不思議に思ったことも。ものを選ぶ目は、そんな祖母の影響をかなり受けていると思います」
大きな家具でも小さな生活道具でも、失敗を恐れて無難なものを選ぶより、自分が「好き」だと感じた気持ちを大切にしたほうがいい、と内山さん。
「ものを選ぶとき、どう使うか、どこに置くかなどはあまり細かく決めません。家に持ち帰ってから、ひとりでコーディネート大会をします。この角度が意外と素敵、この組み合わせはアリ、磨いたら色や質感がよくなるかも…など、ブツブツ言いながら(笑)
モノ同士の個性がピタッとハマった瞬間や、思わぬ化学反応が起こり、想像を超えてなじんでいく楽しさがたまらなく好き。若いころに買った、今なら選ばないようなものだって組み合わせしだいで生き生きとしてきます。だから、もっと自分の『好き』に自信をもっていいと思うんです」
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- PHOTO :
- 川上輝明
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、古里典子(Precious)