普段カットされたチーズしか見たことがない人は「フィオール・ディ・マーゾ」の熟成庫に足を踏み入れると、きっと驚くことだろう。そこに並ぶのはイタリアを代表するセミハード・チーズの王様パルミジャーノ・レッジャーノはじめ、ひとつ数十キロもあるチーズが所狭しと並んでいるのだから。

高級イタリアチーズ専門店、麻布十番にOPEN

地下にあるチーズ・ルーム中央に置かれたテーブル上には、小さなチーズやサルーミ類、はちみつ、ジャムなどが並ぶ。自分だけのマリアージュを試してみるのもいい。
地下にあるチーズ・ルーム中央に置かれたテーブル上には、小さなチーズやサルーミ類、はちみつ、ジャムなどが並ぶ。自分だけのマリアージュを試してみるのもいい。

「フィオール・ディ・マーゾ」は北イタリアのヴェネト州に本社があるチーズとサルーミの熟成会社で、創業者であるアドリアーノ・キオメント氏は地元産チーズを熟成することから事業をスタートさせた。そして次第に地元だけでなくイタリア全土のチーズやサルーミを探し求めてイタリア中を旅し、自社で管理熟成、販売することで会社を発展させて来たのだ。

インテリアに使われているレンガは全てイタリアから直輸入したというこだわりよう。OPENまもないのに、昔からある老舗食料品店のような雰囲気を醸し出している。1階スペースは近い将来ワインバーとなる予定)
インテリアに使われているレンガは全てイタリアから直輸入したというこだわりよう。OPENまもないのに、昔からある老舗食料品店のような雰囲気を醸し出している。1階スペースは近い将来ワインバーとなる予定)

今回麻布十番に誕生した「フィオール・ディ・マーゾ」は、それまで主にB to Bビジネスだった同社が一般顧客に向けた初めての直売小売店だ。明るいガラス張りの店内は一階はイタリア人スタッフも常駐する量り売りの小売コーナー。そして必見なのは地下の熟成庫。温度、湿度が管理されたチーズルームには地元ヴェネト産のDOPアジアーゴ、DOP モンタージオを始め、さまざまなチーズが眠っている。

エミリア・ロマーニャ州のパルミジャーノ・レッジャーノやグラナ・パダーノ、南イタリア、カンパーニア州の水牛のモッツァレッラなど地元以外のチーズも充実している。一方サルーミは、イタリア各地の生産者と提携しプロシュットやスペック、サラーメまで多くの種類を扱っている。

ちょうど取材で訪れたこの日はイタリア人客が居合わせ、おそらくはこうしたイタリアの味に飢えていたのだろう。チーズやサルーミを次から次へと選んでは抱えきれないぐらいの紙袋を満足げに抱えて去っていった。

オリジナルのテイクアウト・ボックスにチーズや生ハム類を詰め込んで、アウトドアでのランチタイム。
オリジナルのテイクアウト・ボックスにチーズや生ハム類を詰め込んで、アウトドアでのランチタイム。

イタリアのチーズもサルーミも種類が多すぎて分からない、という人にはあらかじめ盛り合わせも用意してあるから安心だ。チーズもサルーミもピッコロ800円(小=1種類)メディオ1,600円(中=2種類)グランデ2,400円(大=3種類)とあり、間伐材を使った曲げわっぱスタイルのロゴ入り蓋つき容器には自宅用はもちろん、テイクアウトでグルメを楽しむ友人へのプレゼントにもいい。

近い将来は、1階スペースを生ハムやサラミ類とチーズにあわせたワインを楽しむワインバーとする計画もあるというから楽しみだ。パルマ産プロシュットやボローニャ・ソーセージと呼ばれるモルタデッラ、チーズはパルミジャーノ・レッジャーノにモッツァレッラ、などなど好みのものを選び、ワインを1本お供にすればピクニック・セットのできあがり。県外移動も解禁されたいま、晴れた休日にはイタリアン・スタイルのピクニック・ランチ、というのはいかがだろうか。

Restaurant Information

  • Fior di Maso TEL:03-6722-6303
    住所/東京都港区麻布十番3-7-3 十番コアビルII
    営業時間/11:00〜19:00、19:30〜23:00 月曜休、日曜は19:00まで
この記事の執筆者
1998年よりフィレンツェ在住、イタリア国立ジャーナリスト協会会員。旅、料理、ワインの取材、撮影を多く手がけ「シチリア美食の王国へ」「ローマ美食散歩」「フィレンツェ美食散歩」など著書多数。イタリアで行われた「ジロトンノ」「クスクスフェスタ」などの国際イタリア料理コンテストで日本人として初めて審査員を務める。2017年5月、日本におけるイタリア食文化発展に貢献した「レポーター・デル・グスト賞」受賞。イタリアを味わうWEBマガジン「サポリタ」主宰。2017年11月には「世界一のレストラン、オステリア・フランチェスカーナ」を刊行。