好評の連載企画「季節を肌で楽しむエルメスの新名品」。今回クローズアップするのは、自由な発想が生む存在感のあるデザインが特徴的なHERMÈSのジュエリー。新作ハイジュエリーコレクション「BLACK TO LIGHT(ブラック・トゥー・ライト)」から、編集部が注目する6点をご紹介します。
エルメスならではのアートなジュエリー「ブラック・トゥー・ライト」がお披露目に!
ジュエラーと一線を画した自由な発想をもつ、エルメスのジュエリー。歴史を遡ると、エルメスでジュエリーの制作が始まったのは1927年。エルメス初のジュエリー「フィレ・ドゥ・セル」は、馬の口にあてる馬銜のフォルムをしたシルバーにレザーを組み合わせたブレスレット。馬具に使われるシルバーを用いること、異素材を組み合わせること。記念すべき初のジュエリーには、馬具工房としてスタートしたエルメスの知見と技術、ルーツが凝縮されていました。
エルメスにとってジュエリーは、あくまでメゾンの伝統と信念の延長線上にあるもの。「ジュエリー」に対する既存の概念にとらわれない革新的な創作は、2001年にピエール・アルディがジュエリー部門のアーティスティック・ディレクターに就任したことによって、より方向性が明確になりました。
才能豊かなシューズデザイナーであり、アートとダンスを学んだ背景をもつアルディの創造性。ジュエリーデザイン経験のない彼を抜擢したエルメスの慧眼。デザイナーとメゾンのケミストリーによってうまれる、自由でクリエイティブなジュエリーたち。追って2010年にローンチしたハイジュエリーコレクションによって、ジュエリー界にけるエルメスの独自性はより確固たるものとして花開くことになります。
ローンチ以降、隔年で発表されているハイジュエリーコレクション。ここでは、ハイジュエリーともコスチュームジュエリーともいえる新作「ブラック・トゥー・ライト」にフォーカスします。
ピンクゴールドとブラックストーンが神秘的な輝きを放つ!新作ジュエリー6選
■1:アートさながらの存在感を放つ「ニロティカス・リュミエール」
「ブラック・トゥー・ライト」は、アイコニックなモチーフのデザインをブラックストーン×ピンクゴールドという異素材の組み合わせで再解釈したコレクション。強くラディカルな印象のブラック、優美でエレガンスを感じさせるピンクゴールド。この相反する要素の融合が、コレクションを通して表現されています。
「光を鮮明に引き立てる黒をダイヤモンドの輝きと対比させ、フォルムの純粋さや魅力をより際立たせたいと思いました」というピエール・アルディの言葉通り、同じフォルムでも素材によってここまで印象が変わるのかという、新鮮な驚きを呼び起こすコレクションです。
ご紹介する「ニロティカス・リュミエール」は、なかでもひときわモダンなシリーズ。ブラックストーンは、パワーストーンとしても人気が高いブラックジェイド(黒翡翠)を使用。高度な研磨技術を必要とするサテン仕上げによって石を独特の質感に変容させた、アートさながらの存在感をもつアイテムがそろいます。
ボリュームのある2連リングにセットされているのは、クロコダイルから着想を得たランダムなカッティングのブラックジェイド。マットともシャイニーとも異なる石の質感と、職人が手作業で研磨したピンクゴールドの輝きの対比を楽しむリングです。
「ウェアよりもエターナルで(=長く愛用できる)、身につける人とインティメイトな関係をもつもの」というのがアルディのジュエリーに対する見解。この考え方にシューズデザイナー、元ダンサーというバックグラウンドも作用して、彼のジュエリーはストレスフリーなつけ心地に定評があります。このリングも大ぶりではありますが、指をはめてみると驚くほど馴染みがよく快適なつけ心地。特別な機会だけではなく、幅広いシーンで活躍するジュエリーなのです。
こちらは同じく、クロコダイルに着想を得たリングの1連タイプ。「光と闇をジュエリーの素材として扱った」というアルディの言葉が、奥深く濃いブラック、煌めくピンクゴールドとダイヤモンドに宿ります。コンテンポラリーアートにも通じる魅力を放つ、「ニロティカス・リュミエール」の存在感。身につけるもよし、オブジェとして鑑賞するもよし。発想も自由なら、楽しみ方も自由なシリーズです。
■2:デイリー使いにぴったりな「フィネス」
続いてご紹介するのは、「ニロティカス・リュミエール」とは対照的に、華奢で繊細な表情をもつ「フィネス」シリーズ。ラディカルさとエレガンスが共存する「ブラック・トゥー・ライト」の魅力を備えながら、よりデイリーなシーンになじむアイテムがそろいます。「フィネス」では、硬度が高くシャープな輝きをもつブラックスピネル(黒尖晶石)を使用。ピンクゴールドと共鳴するかのように、動くたびに美しく光を返します。
「フィネス」シリーズに共通するモチーフは、「シェーヌ・ダンクル」のクラスプ(留め具)部分。クラスプのバトンとリングを留めた状態を表現したモチーフが各アイテムのチャームに使用されています。メゾンのアイコニックなモチーフが異素材の組み合わせによってこれまでにない魅力を放つこと、また、同じ素材がデザインによってまったく表情を変えることが実感できるシリーズです。
ブレスレットとネックレスには一粒ブラックスピネルがあしらわれているのもポイント。揺れる漆黒の輝きがジュエリーにチャーミングな表情をもたらします。
ブラックスピネルに繊細なファセットカットを施した「フィネス」シリーズ。ピアスやリングは、「シェーヌ・ダンクル」の留め具モチーフが特に際立つデザイン。黒が放つ神秘的な輝きを耳元や指元で楽しむことができます。「フィネス」シリーズはアイテムの重ね付けもおすすめ。やさしい色合いのピンクゴールドは重ねてもトゥーマッチにならず、やわらかく上品な印象を与えてくれます。
「ブラック・トゥー・ライト」の魅力を、インスタレーションで体感!
エルメスならではの自由な発想をいかし、光と闇をジュエリーの素材として扱った「ブラック・トゥー・ライト」。昨年パリで発表されたこの新コレクションが、いよいよ日本に上陸! 9月5日(土)〜13日(日)までの9日間、銀座メゾンエルメス10階でお披露目されます。
会場構成を担当したのは、日本を代表するマルチメディア・パフォーマンス・アーティスト集団「ダムタイプ」の創設メンバーであり、「光を操るアーティスト」として世界的な評価を受ける高谷史郎さん。黒い砂浜と波の泡のコントラストに着想を得たインスタレーションと「ブラック・トゥー・ライト」が呼応するさまは、さながら小宇宙。「ジュエリーの展示会」という枠を超えたエクスペリエンスをゲストにもたらします。
インスタレーションでは、今回ご紹介した「ニロティカス・リュミエール」「フィネス」シリーズを含むほぼフルコレクションを展示。秋冬の装いに映えるジュエリーと、光と闇がうむ幻想的な世界が体感できる貴重な機会をお見逃しなく!
「ブラック・トゥー・ライト」
- 会期/2020年9月5日(土)〜9月13日(日)
営業時間/11:00~20:00(日曜は19:00まで) - 定休日/エルメス銀座店の営業時間に準ずる
- 住所/東京都中央区銀座5-4-1 銀座メゾンエルメス10F
※掲載した商品はすべて税抜です。
問い合わせ先
関連記事
- 360度美しい!エルメスのレインケープ「アリュール」で、雨の日もアクティブに
- エルメスのエスプリと職人技術が凝縮! ハットやサンダルなど、カラフルなビーチアイテム5選
- 蒸し暑い夏にまといたい! エルメスの新フレグランス「ロンブル デ メルヴェイユ」
- エルメスの「ケリー」にお財布バッグが仲間入り!財布やクラッチなどレザー小物5選
- 美しく時を刻む!エルメスの名作時計「ナンタケット」から新作が登場
- PHOTO :
- 木村 慎
- WRITING :
- 門前直子
- EDIT :
- 石原あや乃