お気に入りのインテリア、心浮き立つ食器やグラス、リラックスできる音楽や本…。暮らしを彩るそんなアイテムに、今こそ「アート」を加えてみませんか? ステイホームが楽しくなる、Precious的「アートのある暮らし」をご紹介します。
今回は『Faliero Sarti』クリエイティブ・ディレクターのモニカ・サルティさんのご自宅を訪れました。
もっと豊かに、美しく!ようこそ!アートのある暮らし
「エナジーを与えてくれる色とアートを取り入れて。遊び心や意外性を大切に、家づくりを楽しんでいます」
ラグジュアリーで上質なストールのコレクションが人気の『ファリエロ・サルティ』。クリエイティブ・ディレクターのモニカさんの自宅は、フィレンツェから車で約10分、緑豊かな丘の上、ボロニェーゼ地区にあります。1800年代、貴族の邸宅として建てられた一軒家で、2階部分に居住中。
「この家は、息子のマテオの『ここがいい!』というひと言で購入を決めました。夫は当時、あまり気に入ってなかったようですが(笑)。
約6か月かかった改装は、すべて息子のため。天井が高く、窓がたくさんあって陽光が入る。光のエネルギーを感じることができる点も決め手でしたが、ドアを大きくし、エントランスの壁は窓のように切り取り、ぶち抜くなど、さらに開放感を出しました。
なにより、マテオのために、彼の感性を刺激するアート作品をたくさん飾りたくて、壁はすべて白を基調にしたんです」
「カラフルなアートピースは、『色』のもつ力で生命力を喚起してくれます」
エントランスから廊下、リビングダイニングはもちろん、寝室やプレイルーム、トイレにいたるまで、絵画やオブジェなど、カラフルなアートピースが、所狭しと飾られています。
「はっきり言って、ここはマテオの家(笑)。彼が遊びながら、自然といろいろなアートに興味をもてるよう工夫しています。また、カラフルなアートピースは、色のもつ力で生命力を喚起してくれるとも思っていて。窓から降り注ぐ陽光とともに、エナジーを与えてくれるんです」
アートへの関心は、夫のファミリーがアートコレクター、ということにも影響されているとか。
「メインリビングのカラフルな立体作品は、息子のために飾っています。今注目の若手アーティスト、ジェイコブ・ハシモトの作品で、鮮やかな色使いと、人によって見方が変わる3Dの面白さに惹かれて、ロンドンの『サザビーズ』で購入しました」
とはいえ、古い家とコンテンポラリーアート、アンティーク家具をバランスよく配置するセンスはさすが。
「大切なのは、重くなりすぎないこと。色やデザインなど、同じテイストでそろえたりせず、意外性や遊び心を意識して組み合わせます。インテリアは、ライフステージや気分に応じてしょっちゅう変えていい。それくらいフットワークが軽くていいんじゃないかな。
それと、私は片付けマニア。家が整理されていれば、頭の中も整理されるはずなので。モノがあるのに重い印象でないのは、それも理由かもしれません。ちなみに今、欲しいのはシャネルの店頭にあるコスメ用什器。整然と収納できそうでしょう?(笑)」
「家は、私にとって家族のためだけの場所。自分の世界ともいうべき場所なんです」
家では仕事をしないと決めているというモニカさん。
「家に帰れば仕事のことは忘れ、家族とのリラックスした時間をなにより大事にしています。家は、私にとって家族のためだけの場所。よく人を招きますが、招待するのは本当に親密な友人であり、私の一部だと思える人だけ。それくらい、自分の世界ともいうべき場所なんです」
そうはいっても、クリエイティブ・ディレクターとして世界中を駆け回る、超多忙なモニカさん。実は、ポンテ・ヴェッキオの近くに、彼女専用の家があり、ときどき逃避行することも。
「逃避期間は2日ほど。わがままだとは思うけれど、仕事をするうえで、やっぱり自分のスペースが必要で…」
家をつくり、育むのは自分であり、家族である。家は住んでいる人に似ていなくてはいけない。そう語るモニカさんの家は、確かに、陽気で明るく、おおらかでポジティブなオーラに包まれている気がしました。
- PHOTO :
- Marco Bertoli
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、古里典子(Precious)