20㎝に満たない小さな鋏は、鉄の塊をたたいてたたいてこの形につくっているもの。刀鍛冶の伝統を継いだ職人さんが、おひとりで手がけていらっしゃいます。使い心地、美しさ、切れ味、サイズ感どれも申し分なく、素晴らしい。特に歯先の切れが抜群によいので、ボタン替え、すそ上げ糸をほどくなど、狭い部分の糸切りに実力を発揮します。見た目よりも少し重いですが、その重みこそが、切れ味にひと役買っているのでしょう。道具をつくる職人は、使う人それぞれの扱い勝手や好み、つまり“塩梅(あんばい)”を推し量り、ものを生み出す技をもっています。塩梅という、目に見えない何かを尺度にしてものづくりをすることに、日本の手わざの底力を感じます。

高柳商店の博多鋏 6寸(約18㎝)¥8,800(税抜) 

■博多鋏とは、14世紀初頭に宋(そう)から九州・博多に伝わった鉄の鋏。当時は日本刀の職人がつくっていた。左右の脚にくっきり刻まれた菱紋が特徴。現在は博多の「高柳商店」店主が唯一の制作者。注文から数か月待ち。

問い合わせ先

  • 高柳商店 TEL:092-291-0613
この記事の執筆者
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Chizuさん スタイリスト
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『Domani4月号』小学館、2016年 / 2017.8.25 更新
1955年九州生まれ 。文化服装学院服装科卒業。在校中に文化出版局で撮影や編集アルバイトを経験した後、カメラマンからの紹介でスタイリストに。スタイリスト歴35年、弟子10名。 好きなもの:キャップをした3Bのトンボ鉛筆コンテ用、ほぼ毎朝の沈香、お裁縫箱、あご出汁、“チャーチ”のローファー、スヌーピー&ひつじのショーンは同格、シェリー、スコッチ、チョコレート、アイスホッケー、フィリップ・ノワレLOVE♡、ゴブラン織り、コート、WOWOW、『ナイキ エア』、くるくるパーマを巻き続けて30年のヘア高野さん
クレジット :
撮影/戸田嘉昭(パイルドライバー) 文/輪湖雅江