気温が下がってきたタイミングで、ぜひおすすめしたいのが、保存食品をおうちで手作りすること。もちろん、美味しいものは買えば何でもすぐに手に入る時代ですが、どこかで作られたものと、自分が一から手作りしたものを比べると、満足度はひときわアップ。
今回は、実践料理研究家・みそ探訪家の岩木みさきさんに、「手作り味噌」の作り方を専門家にレクチャーしていただきます。
基本的な仕込み方、おいしい食べ方などを学んでいきましょう。
あえて味噌を手作りする醍醐味3つ
まずは、岩木さんが考える、味噌を手作りする醍醐味を教えていただきました。
■1:味噌について理解を深められる
「原材料や作り方を知ることで、日本の伝統調味料である味噌について理解を深めることができます」
■2:保存料・添加物フリーの味噌の美味しさを体感できる
「保存料や添加物がなくても、美味しい味噌ができることを体感できます」
■3:生味噌ならではのメリットが得られる
「市販されている味噌は、流通の問題で火入れされているものが多いのですが、自家製味噌は生味噌なので、腸内環境を整える効果がより高まると考えられています」
初めてでも意外と簡単!味噌を手作りする方法
早速、味噌を手作りする方法を教えていただきましょう。
【必要な道具】
・大きめの鍋
・大きめのボウル
・タッパー(今回はホーロー使用)
・必要があればマッシャーやフードプロセッサー ※基本は手でOK
【完成1kg、塩分約10%の味噌の材料】
・大豆…250g
・米麹…250g
・塩…100g
【作り方】
(1)ボウルに乾燥大豆と水を入れ、両手でこするようにして水を4~5回変えながら洗い、大豆の3~4倍の水に浸漬させ24時間置いてしっかりと吸水させる。
(2)鍋に一度水切りした大豆と、大豆の3~4倍の量の新しい水を入れ、強火にかけて沸騰させ、弱火にして3時間煮る。途中でもこもこの泡が出てくるので取り除く。
圧力鍋を使用する場合は、大豆と大豆の4倍の量の水を入れ、圧がかかったら極弱火にして15分煮る。
(3)麹と塩を混ぜた塩切り麹を作り、大豆を潰す。
POINT
「麹と塩を先に混ぜておくことで、大豆に均一に混ざりやすくなります」
(4)材料が混ざったら、ぎゅっと押して空気を押し出しながら味噌玉を作る。
(5)ここでも隙間ができないようにしっかり押しながら容器に詰める。
(6)表面をなめらかにし、ラップをしたら塩を入れた袋をのせる。
「塩を入れた袋をのせるのは、表面にカビがつきにくくするためです。蔵で作られる味噌は重石を載せていますが、重石を載せることで水分を容器の上まで行き渡らせるためです。家庭の仕込み1~2kg程度なら、重石はなくても大丈夫です」
食べ頃は寝かせるとおいしいくなる!
「食べ頃は、8ヶ月~1年たった頃。熟成期間が長いとコクが出て旨味が増します」
保存方法と賞味期限は神経質にならなくてもOK
「保存は常温でOK。通気性の良い場所がより望ましいですが、部屋の中に置いておいて大丈夫です。家電製品の近くや直射日光が当たる場所は避けましょう。
また味噌は保存食なので、賞味期限はありません。8ヶ月以降、お好みの状態になったら冷蔵庫で保存して使用します。そのまま常温に置くと色や味が濃くなっていきます」
味噌を手作りする際の注意点
味噌を手作りする際には、どんなことに注意すればよいでしょうか。岩木さんは次の4つを挙げます。
■1:大豆の浸漬はしっかりと。
「大豆の浸漬はしっかりさせることで、芯まで水分が行きわたり、火通りがよくなります。24時間は置いてください」
■2:火周りの管理や火傷に注意
「大豆を煮る時間が長かったり、圧力鍋を使用したりしますので、火周りの管理や火傷に注意してください」
■3:カビ防止のためにできるだけ空気を抜いて密閉させる
「無添加の手作り味噌は、発酵・熟成期間にカビが生えることが多いです。できるだけ空気を抜いて仕込みをし、密閉させること、それでも出たカビは表面だけ取り除けば大丈夫です」
■4:「美味しくなあれ」という気持ちを込める
「同じ材料で仕込んでも、個々で完成の味わいが異なります。『美味しくなあれ』と気持ちを込めて仕込んでくださいね」
手作り味噌の手作りならではの味わいを存分に楽しむ食べ方
自分で作った味噌は、格別の味。手作りならでの味わいを存分に楽しむ方法を岩木さんに伺いました。
「完成した味噌は、ひとくち目はそのまま、ふたくち目はぜひ、あたたかいご飯にのせて食べてみてください。味噌は味噌汁に使う方が多いと思いますが、肉・魚・貝類・卵、柑橘類、豆板醤や柚子胡椒など、色々な食材と組み合わせることで無限に楽しむことができます。自分で作った味噌で食べるお味噌汁は格別な美味しさです」
味噌は仕込んだ後、8ヶ月~1年という待ち期間がありますが、それも楽しみの一つに。ぜひ今から仕込みを始めてみませんか?
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利
- EDIT :
- 安念美和子、原田恵子(イクシアネクスト)