2017年4月にオープンして以来、東京・銀座最大級の商業施設とあって、贅沢な空間使いと見やすい店舗、ラグジュアリーブランドが勢ぞろい、スイーツも大充実と、大人の女性を惹きつけてやまないGINZA SIX(銀座シックス)。

銀座らしい豊かな気持ちになれるブティックが軒を連ねるなかでも、特に異彩を放っているのが『GRAND CRU CAFÉ GINZA』。コーヒー専門会社「ミカフェート」創業者であり、“コーヒーハンター”の名で呼ばれる川島良彰さんが40年以上の歳月をかけて生み出した、コーヒーの最高傑作のみを扱う旗艦店です。

【関連記事:コーヒーハンター川島良彰氏の挑戦!コスパ最高のコーヒーを神保町ミカフェートで】

なんと、選び抜かれたコーヒー豆入りのシャンパンボトルは、最低価格が1本1万円以上というラグジュアリーさ!

今回は、そんな『GRAND CRU CAFÉ GINZA』で、真に上質なコーヒーとともに、ゆったりと流れる至福の時間を体験してきました。

GINZA SIXの13階に佇む、ラグジュアリーな空間

壁面にはコーヒー豆が入ったシャンパンボトルがずらり
壁面にはコーヒー豆が入ったシャンパンボトルがずらり

エレベーターで6階まで上がったのち、南エレベーターで13階へ。右手の通路を入ると見えてくるのが、『GRAND CRU CAFÉ GINZA』です。

まるでフレンチレストランのような佇まいです。実際に、フレンチレストランだと思って入ってきてしまう人もいるほどだそう(ちなみに北エレベーターでは13Fまで上がれないのでご注意を。新橋側の南エレベーターをご使用ください)。

心地よい明るさで照らすこだわりのアンティーク・シャンデリア
心地よい明るさで照らすこだわりのアンティーク・シャンデリア

広々とした店内。夜になると13階の窓際から、眼下に広がる銀座の夜景を楽しむこともできます。

「銀座のカフェ」と聞くと、どこも混雑していて、人々が店外にも行列をなしているイメージを抱く女性もいらっしゃると思いますが、ここ『GRAND CRU CAFÉ GINZA』は、コーヒーセラーオーナーという会員制をとっているため、周囲の雑音に気を紛らわせることなく、ゆったりとした時間を、多くの人からの目線に触れることなく、楽しむことができます。

コーヒーセラーオーナーとは、簡単に言えばいわゆる『GRAND CRU CAFÉ GINZA』の会員のこと。

気に入った銘柄の生豆をキロ単位で購入することができ、いつ来てもお気に入りのコーヒーをここで楽しむことができます。コーヒーセラーオーナーは現在100人ほどで、なんと入会するためには審査があるのだというから驚き。

コーヒーに対する知識、嗅覚や味覚なども審査の基準になります。

もちろん、コーヒーセラーオーナーだけでなく、非会員であるビジターとしての利用も可能です。

世界中から選りすぐられた最上級のコーヒーしかないサロンといえど、グアテマラやコロンビアなどさまざまな国の異なる味わいの銘柄が用意されているので、いくつか試して自分の好みを見つけたい、と思うのならば、まずはビジターでの利用をお勧めします。

ボヘミアングラスとバカラのソーサー
ボヘミアングラスとバカラのソーサー

入店し、くつろげるソファか、総レザー張りの優美なチェアに腰掛けると、店内のほとんどが美しいレザー張りで覆われていることに気がつきます。目に入るところだけでなく、普段は目にしないスタッフしか見えない場所さえも一枚革の上質なレザーで覆われているという、徹底したラグジュアリー志向に、否が応でも期待が高まります。

初めに出していただくチェイサーひとつとっても、こだわりが感じられます。

口当たりのよい薄造りのボヘミアングラスに、バカラのソーサー。ソーサーの上に敷かれたレースは、ベルギーで手編みされたものを選び抜いて輸入しているため、一つ一つ柄が違うのだとか。

この食器や内装は、『GRAND CRU CAFÉ GINZA』の総支配人である富田拓朗さんのこだわりが反映されたもの。

“きらびやかさ”よりも、“本物”の上質さを重視された店内や小物のおかげで、ラグジュアリーな空間ながら、不思議と落ち着いた気持ちで時間を過ごすことができます。

デキャンタもこだわり抜かれたバカラ製
デキャンタもこだわり抜かれたバカラ製

デキャンタもバカラ製のものを使用しています。『GRAND CRU CAFÉ GINZA』では、コーヒーだけではなく、すべての食器などがこの上質な空間を作り上げる一因となっているのですね。

ボトル1本1万以上! 最高峰のコーヒーをたしなむ

『GRAND CRU CAFÉ GINZA』プリンシパル コーヒー エバンジェリスト・正木俊樹さん
『GRAND CRU CAFÉ GINZA』プリンシパル コーヒー エバンジェリスト・正木俊樹さん

コーヒーをいれてくれるのは、『GRAND CRU CAFÉ GINZA』の「プリンシパル コーヒー エバンジェリスト」の正木俊樹さん。

社内でエバンジェリストになるための試験があり、なんと正木さんは14段階あるスペシャリストのトップなのだとか。現時点でトップの称号であるプリンシパルを名乗れるエバンジェリストは全社員中、2名しかいないそうです。

2014年もののGrand Cru Café セルバ ネグラ農園
2014年もののGrand Cru Café セルバ ネグラ農園

今回は、エル サルバドルのセルバ ネグラ農園で生産されたコーヒーをいただきます。コーヒーセラーオーナーの場合は、キロ単位での購入になりますが、ビジターであればシャンパンボトル1本から楽しむことができます。

今回のコーヒーはなんと、ビジター価格でボトル1本1万円! このボトルも、コーヒー豆の風味を長期間損なわないよう研究を重ね、たどり着いたのがシャンパンボトルだったそうです。ボトル1本でカップ5杯(最大6杯)楽しめるとのことなので、友人と複数人で2〜3回訪れたら、残さずいただくことができてしまう分量。1杯お飲みいただいて、残りのコーヒー豆はお店にキープ(*)していただくか、お持ち帰りいただくことも可能です。

*キープの場合の期限は、開封日を含めて2週間となります。

ちなみに、『GRAND CRU CAFÉ GINZA』では、

■Grand Cru Café サン セバスティアン農園
■Grand Cru Café ランチェリア農園
■Grand Cru Café Limited コトワ農園 ゲイシャ バーガンディー ナチュラル

という銘柄が女性に人気なのだそう。

ナッツのフレーバーがあったり、フローラルな香りがしたり、フルーティーな味わいだったりと、それぞれ特徴があるので飲み比べをしても楽しいですね。

開ける瞬間までコーヒーの香りを閉じ込める加圧包装
開ける瞬間までコーヒーの香りを閉じ込める加圧包装

ボトルの開封もシャンパンさながら。「ポン!」という音とともに、中に溜まっていたコーヒー豆から発したガスが吹き出し、深い香りが漂います。香ばしさの中にも、まるで上質なショコラのようなふんわりと甘いフレーバーも。

通常、コーヒーはガス抜き用の穴が空いた袋に詰めて販売されているのが一般的です。これは、コーヒー豆から出るガスによる袋の破裂を防ぐため。

しかし、その包装方法は、ガスを逃すと同時にコーヒーの香りまで逃してしまいます。

ガスによる内圧に耐えられるようシャンパンボトルに入れることで、栓を抜くその瞬間までコーヒーの香りを閉じ込めて置くことができるのですね。

ミルで丁寧に挽かれていくコーヒー豆
ミルで丁寧に挽かれていくコーヒー豆

コーヒー豆は、通常より少々多めの量を使います。

『GRAND CRU CAFÉ GINZA』のコーヒー豆は、本来の味わいを生かすために苦味が強くなりすぎないように中煎りくらいで焙煎されています。

おいしいところだけを抽出するための粗挽き
おいしいところだけを抽出するための粗挽き

通常、家で挽くものやお店で売っているものより、やや粗挽きなのがわかるでしょうか? これもまた、おいしくコーヒーを飲むために考え出された方法のひとつです。

細かく挽くことで、コーヒーの味も出やすくなりますが、同時に雑味などの“出したくない味”も出してしまう可能性が高いのだとか。

粉全体が湿る程度にお湯をゆっくりと注ぎ、蒸らしていく
粉全体が湿る程度にお湯をゆっくりと注ぎ、蒸らしていく

さて、ついにお待ちかね、コーヒーを淹れていただきます。

まずは87℃のお湯で、粉を蒸らしていきます。この温度は家庭でコーヒーを入れる際にもぜひ試したいポイント。熱湯でいれてしまうと、これもまた雑味や余計な苦味などを引き出してしまう原因になるのだそうです。(お湯を沸騰させた薬缶から、一度サーバーにお湯を入れてから別のコーヒーポットに移し変えるとちょうどこのくらいの適温になるそう)

新鮮な豆を使うと、蒸らした際にふんわりとコーヒーが膨らんでくるのが特徴。香りだけではなく、目にも楽しい瞬間です。

ふんわりと立つ泡とともに漂うコーヒーの香ばしい香り
ふんわりと立つ泡とともに漂うコーヒーの香ばしい香り

蒸らした後、中心からお湯を注ぎコーヒーを淹れていきます。正木さんの手元は、いつまでも見ていたくなるほど。中心にゆったりと現れる泡がまるでラテアートのようです。

オールドノリタケのカップに注がれたセルバ ネグラ農園 2014年
オールドノリタケのカップに注がれたセルバ ネグラ農園 2014年

カップに注がれたコーヒーは、今まで飲んできたコーヒーとは見た目も一味違います。色がやや薄いのです。

また、注目すべきは、このコーヒーのおいしさをさらに引き立てる「オールドノリタケ」のカップ。自分の好みのカップをセレクトすることもできます。なんとこれらのカップは80〜100年ほど前につくられたもので、最も古いものは約120年前もの。現在では入手困難なものばかり。

華奢につくられた持ち手のおかげでコーヒーを飲む手が美しく見えるのも、この上質な空間にいてこそでしょう。

猫足のヨーロピアン風なオールドノリタケは女性に人気
猫足のヨーロピアン風なオールドノリタケは女性に人気

こちらは、女性に人気が高いという猫足のオールドノリタケのカップ。持ち手のゴールドがやや薄くなっているところが、人の手で愛されてきた道具ならではの、深く長い歴史を感じさせます。

オールドノリタケ一例
オールドノリタケ一例
オールドノリタケ一例
オールドノリタケ一例

これらオールドノリタケのコレクションもすべて、総支配人である富田さんの私物だというのだから驚きです。

ゆったりとした時間の中で徐々にコーヒーの味も変化
ゆったりとした時間の中で徐々にコーヒーの味も変化

色の薄さからは想像できないほどのコクを感じるGrand Cru Café セルバ ネグラ農園。温かいうちはトロッとなめらかで深い味わいです。コーヒーの味、喉を通る瞬間、鼻を抜ける風味が、コーヒーを口に運ぶたび変化します。

また、『GRAND CRU CAFÉ GINZA』のコーヒーは、雑味がないので冷めてもおいしいのが特徴。温かい時とはまた違う味の変化を楽しむことができます。

「コーヒーは温かいうちに!」と思いがちですが、『GRAND CRU CAFÉ GINZA』のコーヒーはぜひゆっくりと楽しんで欲しい1杯です。

常識を覆す、香り立つアイスコーヒー

大量の氷で一気に冷やす様子も目を楽しませてくれる
大量の氷で一気に冷やす様子も目を楽しませてくれる

今回はホットだけではなく、アイスコーヒーもいただきます。先ほどよりもやや深煎りのコーヒー豆を使って濃い目に淹れ、氷の入った器で一気に冷やします。

バカラのグラスはよりコーヒーの色を鮮やかに見せる
バカラのグラスはよりコーヒーの色を鮮やかに見せる

アイスコーヒーもバカラのグラスでいただきます。これは香りを楽しむため。温度によって変化する味わい、グラスへのこだわりもまるでワインをたしなんでいるかのようです。

透明なグラスに注がれたアイスコーヒーは、より澄んだ色で、口にした時の味わいに対しての期待が膨らみます。

器、温度による変化はワインとも通ずる
器、温度による変化はワインとも通ずる

照明でコーヒーの色がテーブルに透ける様子も美しい1杯。アイスコーヒーといえば、冷えたものをゴクゴク飲む、というイメージが強いですが、やはり『GRAND CRU CAFÉ GINZA』ではゆっくりと温度の変化に伴う味や風味の変化を味わって欲しいところ。

アイスコーヒーとは思えない豊かな香りに対し、口にする味はすっきり。アイスコーヒー特有の喉に残りがちな苦味もありません。「コーヒーが苦手」という人はおそらく、この喉に残るコーヒー特有の苦味や雑味を苦手としている人が多いのではないでしょうか。

普段はアイスティー派の人でも、おいしくいただけるアイスコーヒーです。

“本物”を求める情熱が集結した至福のひととき

川島さんのこだわりが詰まったコーヒーの最高峰
川島さんのこだわりが詰まったコーヒーの最高峰

『GRAND CRU CAFÉ GINZA』では、シャンパンボトル1本10万以上するコーヒー、2008年収穫の銘柄も取り扱っています。

川島さんがエル サルバドルで、「もういいコーヒー畑が見つからない」と山を降りようとしたときに、地元の畑の片隅に偶然見つけた1本の樹との出合いから始まった、「Grand Cru Café セルバ ネグラ農園」。

まさにその瞬間、川島さんはコーヒーの神様に愛されていたのでしょう。

(ちなみにそのコーヒーの木は、もう少ししたら伐採され、アボカド農園になる予定だったそう。今では一面、美しいコーヒー畑になっているというから驚きです)

『GRAND CRU CAFÉ GINZA』はこれだけ贅沢な空間を演出しながらも、なんと黒字化しており、「ワイン生産者などと同じように、しっかりとコーヒー生産者に利益を還元したい」という川島さんの想いも現実となっています。

川島さんのコーヒーに対するこだわり、そして総支配人の富田さんの一流のおもてなしやインテリア、食器に対するこだわりが、GINZA SIXに集結し、この上質な空間、至福の時間を生み出しています。

待ち合わせやショッピングの合間はもちろん、夜は23:30(オーダーストップ23:00)まで開いているので、ディナーの後のホッと一息つきたい時にもおすすめです。

上質なコーヒーと一緒に、このゆったりとしたラグジュアリーな空間で、至福の時を過ごしてみませんか?

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この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
EDIT&WRITING :
Rina Onodera