2020年に発売されたラグジュアリーウォッチから、40~50代にふさわしい逸品をカテゴリーごとに選出する「Precious Watch Award」。今回で3年目を迎えました。今年も高い審美眼をもつ8人のプロフェッショナルが、華やかに出そろったニューモデルのすべてを吟味しました。

ラグジュアリーウォッチに造詣が深い「目利き」が集った審査会。エントリーされた数多くの魅力的な新作のなかからNo.1を選ぶのは至難でしたが、それぞれが熟考のうえ選んだ個人賞は、2020年を象徴する名作がそろいました! 本記事では8人の審査員の個人賞に輝いたラグジュアリーウォッチをご紹介します。

左から/1.ディオール『ディオールグランソワールプリセプレシュー』¥7,147,000(クリスチャン ディオール)、2.クレドール『クレドール リネアルクスGSAS927』¥530,000(セイコーウオッチお客様相談室)、3.ブレゲ『トラディション レディ7038』¥4,310,000(ブレゲ ブティック銀座)、4.パテック フィリップ『カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.7234』¥5,070,000(パテック フィリップ)
左から/1.ディオール「ディオールグランソワールプリセプレシュー」¥7,147,000(クリスチャン ディオール)、2.クレドール「クレドール リネアルクスGSAS927」¥530,000(セイコーウオッチお客様相談室)、3.ブレゲ「トラディション レディ7038」¥4,310,000(ブレゲ ブティック銀座)、4.パテック フィリップ「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.7234」¥5,070,000(パテック フィリップ)

■1:【本間恵子賞】ディオール「ディオールグランソワールプリセプレシュー」

本間恵子さん
ジュエリー&ウォッチジャーナリスト
(ほんま けいこ)ジュエリーデザイナーから宝飾専門誌エディターに転身。その後フリーランスになり、女性誌や新聞を中心に専門性の高い記事を執筆。手を洗う機会が増え、今はリングをあまりつけなくなり、大ぶりの時計を選ぶ傾向になっている。

外側も中身も凝っているクチュール メゾンの機械式

「文字盤がとても凝っていて、クチュール メゾンがつくる時計とはこういうものだということを再認識させてくれました。ジュエリーに近い存在感がありながらムーブメントもクオーツではなく、機械式の自動巻きで、時計を見るのが楽しくなってしまいそうなデザインが素敵!」

ディオール「ディオールグランソワールプリセプレシュー」

●ケース:PG×WG×ダイヤモンド
●ケース径:36mm
●ストラップ:サテン
●自動巻き

※世界限定88本、ブラックのアリゲーターストラップが付属

■2:【安藤優子賞】クレドール「クレドール リネアルクスGSAS927」

安藤優子さん
フリーキャスター
(あんどう ゆうこ)長く報道に携わるキャスターの第一人者。仕事柄、手元が目立つため、多くの時計を所持し使い分けている。特に大物へのインタビューや格式あるパーティでは、相手に敬意を示せるよう品格を備えた時計選びに心を砕く。時計界の動向にも関心が高い。

たおやかな日本の美意識を映した大人のデイリーウォッチ

「シンプルに、綺麗な時計だと思います。ケースの形状もインデックスも、時計本来の正統的なデザイン。ベゼルにセッティングされたダイヤモンドも上品な輝きで華美になりすぎません。27mmというサイズもエレガントですよね。大人の女性の日常的なシーンに、すごくすんなりあてはまるから、本当に毎日使いたい時計です」

クレドール「クレドール リネアルクスGSAS927」

●ケース:SS×ダイヤモンド
●ケース径:27mm
●ストラップ:クロコダイル
●クオーツ

■3:【並木浩一賞】ブレゲ「トラディション レディ7038」

並木浩一さん
腕時計ジャーナリスト、桐蔭横浜大学教授
(なみき こういち)1990年代より、スイスの時計フェア・S.I.H.H.(ジュネーブサロン)、バーゼルワールドほかを取材・研究し続けている日本の腕時計ジャーナリストの草分け。著書に、「腕時計一生もの」(光文社新書)、「腕時計のこだわり」(ソフトバンク新書)などがある。

「偉業」といえる名品が色香をまとって華麗に進化

「そもそも、ものすごい偉業の時計で、偉業のレベルで完成されているうえに、もうひとつ殻を破った、という印象。ムーブメントを表側にしたのがとても不思議で、その不思議さが時計の美しさを一段上げています。タヒチ産マザー・オブ・パールやオレンジ色のストラップによって得た妖艶な表情も魅力的です」

ブレゲ「トラディション レディ7038」

●ケース:RG×ダイヤモンド
●ケース径:37mm
●ストラップ:カーフスキン
●自動巻き

※ブティック限定商品

■4:【大住憲生賞】パテック フィリップ「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.7234」

大住憲生さん
ファッションディレクター
(おおすみ のりお)メンズファッションを中心に商品企画、広告制作、雑誌編集、ウェブメディアの創立等に関わる。森と都市をつなぐ「more tree design」の取締役も務める。1995〜2003年はジュネーブやバーゼルの時計フェアを取材。愛用時計は「カラトラバ 3769」。

スポーティーな「カラトラバ」その意外性と高い完成度

「ラグジュアリースポーツウォッチ賞を受賞しましたが、個人賞としても選びました。トラベルタイム機構を搭載したパイロットウォッチは、パテック フィリップがマニュファクチュールとして高品位である証しです。そして『カラトラバ』という不変のスタイルで、ミディアムサイズ(37.5mm)とくれば、男だって欲しくなります」

パテック フィリップ「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.7234」

●ケース:WG
●ケース径:37.5mm
●ストラップ:カーフスキン
●自動巻き


左から/5.ピアジェ『ライムライト ガラ』¥2,500,000(ピアジェ)、6.フランク ミュラー 『ロングアイランド レリーフ ハート ダイヤモンド』¥1,580,000(フランク ミュラー ウォッチランド東京)、6.ショパール『ルール・ドゥ・ディアマン』¥6,900,000(参考価格)(ショパール)、7.
左から/5.ピアジェ「ライムライト ガラ」¥2,500,000(ピアジェ)、6.フランク ミュラー 「ロングアイランド レリーフ ハート ダイヤモンド」¥1,580,000(フランク ミュラー ウォッチランド東京)、7.ショパール「ルール・ドゥ・ディアマン」¥6,900,000/参考価格(ショパール)、8.オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オートマティック」¥4,650,000(オーデマ ピゲ)

■5:【中村絵里子賞】ピアジェ「ライムライト ガラ」

中村絵里子さん
本誌ファッションディレクター
(なかむら えりこ)装飾的な美しさと精巧で本格的な中身を両立するレディスウォッチの奥深い世界に興味をもつ。ラグジュアリーウォッチ&ジュエリーの取材多数。高級ブランドのアーカイブや工房を訪ねる機会も多く、貴重な時計を目にするチャンスに恵まれている。

文字盤とダイヤモンドの美しいコントラストに陶酔

「以前から『ライムライト ガラ』コレクションはとても美しいと思っていたのですが、今回選んだのは、コレクション初のアヴェンチュリンダイヤル採用のモデル。星がまたたく夜空のようなアヴェンチュリンの文字盤が、流れるようなラグと相まって、ロマンティックな一本に仕上がっていて、強く心惹かれました」

ピアジェ「ライムライト ガラ」

●ケース:WG×ダイヤモンド
●ケース径:26mm
●ストラップ:アリゲーター
●クオーツ

※世界限定300本

■6:【犬走比佐乃賞】フランク ミュラー「ロングアイランド レリーフ ハート ダイヤモンド」

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)数々の人気女性誌や、長年担当している鈴木保奈美さんはじめ、女優のスタイリングを多く手がけ、「マダム犬走」の愛称で広く支持されている。30年以上第一線を走り続けているキャリアに裏打ちされた高い審美眼で、時計にも造詣が深い。

20年の歳月を経てなお輝くアイコニックなデザイン美

「黄金比率による端正なレクタンギュラー形ケースとビザン数字インデックスの組み合わせは、長い歳月を経ても色褪せず、改めてアイコニックな時計だと感じました。アニバーサリーモデルという位置づけで発表されたこの時計は、1時位置のハートがクールなたたずまいにフェミニンさを添え、その甘辛バランスが見事です」

フランク ミュラー「ロングアイランド レリーフ ハート ダイヤモンド」

●ケース:PG
●ケースサイズ:縦32.5×横23mm
●ストラップ:クロコダイル
●クオーツ(フランク ミュラー ウォッチランド東京)

■7:【岡村佳代賞】ショパール「ルール・ドゥ・ディアマン」

岡村佳代さん
ジュエリー&ウォッチジャーナリスト
(おかむら かよ)スイスの時計フェアの取材歴は日本屈指のキャリアを誇り、女性に機械式時計の魅力を啓蒙した第一人者として知られている。マニアックになりすぎないわかりやすい筆致で、女性誌、男性誌、専門誌から新聞まで、幅広い媒体で執筆活動を展開。

時計としての真価も宿す類いまれなジュエリーウォッチ

「ダイヤモンドの永遠の美しさを余すところなく表現する、ショパールのハイジュエリーウォッチコレクション。この眩い輝き! 繊細な細工が施されたブレスレットとの調和によってこのうえなくエレガントでありながらムーブメントは自社製という、マニュファクチュールならではの傑作ジュエリーウォッチです」

ショパール「ルール・ドゥ・ディアマン」

●ケース:エシカルWG×ダイヤモンド
●ケースサイズ:縦30×横34.5mm
●ブレスレット:エシカルWG
●自動巻き(ショパール)

■8:【関口優賞】オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オートマティック」

関口優さん
「HODINKEE Japan」編集長
(せきぐち ゆう)1984年生まれ、埼玉県出身。新卒より出版社に入社し、2016年より腕時計専門誌編集長に。業界最年少ながら、専門誌売上No.1に導き、2019年9月より現職。2020年12月には「HODINKEE マガジン日本版」も創刊。趣味はロードバイクとワイン。

不朽の名品に新たに加わった自動巻き搭載の34mmケース

「機械式のラグジュアリースポーツウォッチとしては、珍しく小ぶりな、34mmという新サイズのケース。これまで同コレクションの小ぶりなケースは33mmのクオーツしかなかったので、今後は女性向けの機械式時計をしっかり提案していくという気概を感じます。女性の手首にもなじむ絶妙なサイズ感で、ハンサムな着こなしの手元を彩ってくれるでしょう」

オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オートマティック」

●ケース:PG×ダイヤモンド
●ケース径:34mm
●ブレスレット:PG
●自動巻き

※掲載した商品は、すべて税抜です。

※文中の表記は、WG=ホワイトゴールド、RG=ローズゴールド、PG=ピンクゴールド、SS=ステンレススチールを表します。

問い合わせ先

関連記事

PHOTO :
戸田嘉昭・池田 敦(パイルドライバー)
STYLIST :
関口真実
COOPERATION :
安里昌悟
EDIT&WRITING :
岡村佳代、長瀬裕起子、中村絵里子(Precious)