だれの記憶にも残る年となった2020年。パンデミックは世界に、日本に、地球に、そして私たち女性にどんな影響を及ぼしたのでしょうか。最新雑誌『Precious』1月号では、トピックを10に絞り、安藤優子さんがその論点を解説しています。
本記事では、その特集の中で取り上げられている10の論点のうち、人類の問題に関する3つの論点をご紹介します。
論点8:ポリ袋有料化から考える包括的な地球環境とは
「プラスチック製レジ袋の有料化が義務付けられたのは、7月1日。エコバッグ生活にも慣れてきたころでしょうか。ただいくらレジ袋を辞退しても、プラスチック商品はこの世にあふれ、それを購入しないのかというと、そこまで意識が至ってないのが現状ではないでしょうか。
コロナ禍で通販サイトは活況ですが、ではその梱包材はプラスチックではないのでしょうか? さらに宅配業者の車が排出するCO2は地球環境に負荷をかけてはいないでしょうか? 私自身も宅配を便利と感じて頼みながら、どこかでそうした矛盾への後ろめたさを感じるのです。
プラスチック素材もエネルギーも問題は一緒。すべてを包括的に捉えての議論が必要だと考えています」
論点9:パンデミックで必要なのは医療従事者への想像力
「あなたの周囲にコロナウイルスに感染した人はいますか? それを知ったとき、その人に対してどんな感情を抱きましたか? さらに医療従事者に対してはどうでしょう。
感染リスクの高い都市エリアはもちろん、人と人との関わりが強い地方でこそ、患者、医療従事者への差別が根深いと聞きます。このウイルス自体は、人を選びません。今日は無事でも、明日感染するかもしれない。そのあたり前の想像力を働かせることは、手洗いうがいと同じぐらい大切なことではないでしょうか。
ワクチンは時を待たなくてはいけないけれど、差別しないことは今すぐにできる。『かからない、うつさない、差別しない』。今こそこれを徹底すべきではないかと考えるのです」
論点10:コロナ禍で注目された女性リーダーが真のリーダーとなる日
「10月17日、ニュージーランドの総選挙が行われ、最大与党の労働党が圧勝し、ジャシンダ・アーダーン首相の続投が決定しました。最初は『女性リーダー』として注目されていた彼女ですが、いまや『一国の首相』として喝采を浴びています。政策そのものが受け入れられ、支持を得ているのです。
ではその政策の特徴とは何か。それは『ボトムアップ』と呼べるもの。上からのトップダウンでなく、だれも取りこぼさない細やかな政策の数々なのです。もう『犬のように働き、レディのように振る舞う』時代は終わりました。
『レディのように働き、レディのように振る舞う』時代が到来したのです。日本にもそんなトップが登場することを願って止みません」
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- PHOTO :
- 篠原宏明
- EDIT&WRITING :
- 本庄真穂、喜多容子(Precious)