ペーパーレスの時代であっても、公的な場や重要な書類にはサインを求められることが多い。コンビニに行けば100円程度で買える筆記具ではあるが、ファッションアイテムにこだわる男だからこそ「書く」アイテムにはこだわっていただきたい。ただメモをとるだけでもどっしりと構えた個性豊かな万年筆やボールペンであれば、周囲の視線は尊敬の眼差しへと変わることだろう。ちょっとしたことではあるが、そういう細かい所を意識することが大人の美学ではないかと思われる。スマートな大人を表現するなら見えるだけの部分だけでなく、相手に見せる万年筆やボールペンにこだわるのもおすすめだ。
万年筆とボールペン買うなら?
フランスらしい美しさとモダンさが融合したエス・テー・デュポン
喫煙具のライターで有名なエス・テー・デュポン。しかしブランドの始まりは、1872年に創設者であり大工の息子であったシモン・ティソ・デュポンが、上流階級である官僚向けに革製品を製作し納品したことから始まる。そんな職人気質を肌で感じることができる、きめ細やかで洗練されたディテールが投影されたエス・テー・デュポンは、フランスらしい色気が漂う筆記具が揃う。
(上)エス・テー・デュポンの伝統的な漆塗り技法ポポテを使った、美しいグラデーションが際立つ「アトリエ」シリーズ。その中でも、ダービーシューズからインスパイアされた「アトリエ ダービーコレクション」は、靴の装飾であるメダリオンのような繊細な装飾が筆軸に施されている。筆記具でありながら、紳士靴を彷彿とさせるその装いは、熟練した職人が手掛けるからこそ成せる技である。
(下)装飾的な「アトリエ」シリーズとは異なり、モダンな空気感の「デフィ」。手に馴染みやすいなだらかな流線形のフォルムに、マットブラックを纏った真鍮の質感がクールな印象だ。シンプルで完成度の高いデザインが秀逸な「デフィ」は、魅せるペンでありながらも現代のニーズにマッチした実用性の高さが魅力的だ。
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モンブランの「白い星」は高級筆記具の証!
1906年創業のモンブランのトレードマークといえば白の星。アルプスにそびえ立つモンブラン山の冠雪をイメージしたシンボルマークを見れば、筆記具に精通していなくとも誰もが知っているほど著名なブランドである。持ち手の個性だけでなくステータスをも表現するモンブランの万年筆は、生涯において手に入れておくべき一本である。
(上)1924年に誕生して以来、基本構造をほぼ変えることなく現代に語り注がれる不屈の名作「マイスターシュテュック」。プレシャスレジンと呼ばれる天然素材の樹脂で形成された漆黒の筆軸が放つ輝きは、いつの時代でも憧れの存在だ。ドイツ語で「傑作」の意を表すモンブランの代表作は孫の代まで引き継がせたい、まさに傑作の品である。
(下)モンブランの伝統を今に受け継ぐヘリテイジコレクション。中でも1920年代にデザインされた8角形とエジプト風装飾を施した「エジプシャン」を再構築した「エジプトマニア」は、ヴィンテージ感溢れるスタイルと、筆軸に施された象形文字のモンブランの名が探究心をくすぐるデザイン。クリップの先端には、古代エジプト人が聖なる昆虫と崇めたスカラベのモチーフが施されている。
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色彩豊かなアウロラだから、書く所作すらも美しく演出する!
イタリアにて最初の万年筆メーカーとして1919年に創業したアウロラ。ペン先から筆軸に至るまで、ほとんどのパーツを自社工場にて製造しているイタリアメイドを誇る唯一のブランド。イタリアらしい鮮やかな色使いとファッション性は、華やかな個性を演出してくれる。
(上)高級筆記具の入門編として、初めて持つのにうってつけなのが「イプシロン」。筆軸に用いたマットな質感のブルーと天冠のブラックレジンが落ち着いた印象だ。クリップには、モデル名である「Ypsilon(イプシロン)」のYの字をモチーフにしたさりげない遊び心も。
(下)アウロラのベストセラーである「オプティマ」。宝石のように美しい筆軸は、アウロラ特製のアウロロイド樹脂によるもの。一本一本その表情は異なるため、その味わい深さも魅力の一つである。リング部には、古代ローマ時代のグレカ・パターンが施されており、イタリアらしい華やかさの中にも、永きに渡るイタリアの歴史を感じとることができる。
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インクの注ぎ足しやリフィルの交換をすれば、何年、何十年と使い続けることができるのが高級筆記具の魅力だ。PCやスマホの普及により「書く」という文化は衰退したと思われるが、やはり書く文化は大切にしたい。SDGsが叫ばれる現代だからこそ、一生付き合える物を手にしその世界観を改めて楽しんではどうだろうか。
※価格はすべて税抜きです。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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- 島本一男(BAARL)
- STYLIST :
- 河又雅俊
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