価値観や選択眼に変化が生まれたニューノーマル時代。多くの人がオーセンティックな物、より心地いい物に惹女性に自信を与え内面から輝かせてくれるかれる流れの中で、ランジェリーライターの川原好恵さんは「下着も時を超えて愛される優雅さや機能美を備えた名品があらためて注目されている」といいます。さらに「名品と呼ばれる下着は女性に自信を与え内面から輝かせてくれる」とも。

大人の女性のワードローブにぜひそろえていきたいそんな名品下着を、物づくりの背景やストーリーを交えながら紹介します。

大人の嗜みとして知っておきたい!女性に自信を与え内面から輝かせてくれる「名品下着」5選

■1:3つのパターンで理想のバストラインをつくる。世代を超えて愛される、コットンシリーズ「バイア」|【Aubade (オーバドゥ)】

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あえて顔を見せないモノトーンビジュアルは「オーバドゥ」の象徴

フランスを代表するランジェリーブランド「オーバドゥ」。その名は「朝の詩」を意味し、愛する人と過ごした甘い前夜を思い出しながら詠む朝の詩をイメージして名付けられました。その歴史は、1875年にフランス パリでベルナール医師が医療用コルセットを作り始めた時にまで遡ります。

その歴史の中で1992年のデビューからずっと販売されているコレクションが「バイア(BAHIA)」です。ブラジル北東部に位置するバイア州からインスパイアされたコレクションで、フランスで「バイア」は「ファーストオーバドゥ」として、母から娘へ贈られることも多いそう。

定番のカラーは白と黒。白はヘルシーなムードを携え、黒はエレガンスを宿す「バイア」。色によって雰囲気が大きく変わり、長年の歴史に裏付けられた秀逸なカッティングでボディラインの美しさを引き出す、それが長年愛される理由です。

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2019年春に登場したブラレットは、背中にも刺繍を施したフロントホックスタイル。

その「バイア」が2019年春により若々しく、より機能的にバージョンアップ。名前も「バイア エ モワ(バイアと私)」となりました。コットン地に刺繍を施すアイコニックなスタイルはそのまま、よりモダンな作りに。

くわえて、待望のトライアングルブラレットも登場。ナチュラルなバストシルエットをつくるノンワイヤーのフロントホック。下からバストを持ち上げて魅惑的なデコルテを作るハーフカップ、ボリュームアップできるパテッドブラの3パターンがあり、なりたいバストを叶えます。

さらにショーツも3パターン。ヒップが半分くらい隠れるブラジリアンショーツ、タンガ(Tバック)、そして最も「オーバドゥ」らしいデザインのボクサー。上の写真でモデルが着用しているボクサーはフランスでは「サントロペブリーフ」と呼ばれる、タンガとヒップハングショーツが合体したようなデザイン。「オーバドゥ」独特のデザインですが、ヒップを魅力的に見せるショーツとしてフランスでは人気のアイテムです。

【詳細記事はこちら】フランスでは世代を超えて愛されている「下着の名品」。オーバドゥのコットンシリーズ「バイア」とは?


■2:発売から25年を経ても色褪せない美しさを奏でる。「メゾン」コレクション|【LA PERLA(ラペルラ)】

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左から、ロングローブ¥195,000・スリップ¥76,900/ラペルラ(ラペルラジャパン)

ランジェリー界のトップブランドとして君臨する「ラペルラ」。イタリア ボローニャで1954年、アダ・マゾッティという1人の女性が「イタリア最高の伝統を体現するコルセット工房を作る」という夢と共に誕生しました。「ラペルラ(LA PERLA)」という名は、彼女が自分の作るランジェリーを宝石の中で最も優雅で気高い「真珠(Perla)」に例えたことに由来します。

数々のマスターピースを生んできた「ラペルラ」のコレクションの中で、最も長く愛されているのが、1995年に発売され、今年25周年を迎えた「メゾン」コレクション。刺繍で表現された花のモチーフがシルクサテンの上で咲き誇る作品です。

「メゾン」コレクションの魅力を一言で言い表すとしたら、それは「時代を超越した美しさ」。伝統と革新の融合が「ラペルラ」の魅力ですが、「メゾン」コレクションはその象徴でもあるのです。

豊富な色とアイテムが展開されているのも「メゾン」の魅力。ブラジャー&ショーツにくわえて、キャミソールやスリップ、パジャマやガウンまで全12アイテムを手にすることができます。

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マスクカバー¥17,906/ラペルラ(ラペルラジャパン)

そして、コロナ禍には「メゾン」コレクションと同じシルクと刺繍で作られたマスクカバーも発売されて話題に。伝統を重んじるばかりでなく、その時代に求められる物を提供し、時代とともに進化して行くのが「ラペルラ」。その姿勢こそが、トップブランドであり続ける理由であり、創業者アダ・マゾッティの精神なのです。

【詳細記事はこちら】大人の魅力を引き出す下着のトップブランド、ラペルラの象徴「メゾン」コレクション


■3:あえてレースや装飾を使わないからこそ、ブラジャーの美しさが引き立つ。「クール」シリーズ|【WACOAL DIA(ワコールディア)】

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研ぎ澄まされた機能美が「ワコールディア」の真骨頂。コーディネートショーツもシンプルで、計算されたカッティングが際立つ。

日本を代表するラグジュアリーランジェリーブランドとして2004年のデビュー以来、ワコールが長年培ってきた英知を注ぎ込み、独創性溢れるコレクションを発表してきた「ワコールディア」。その中であえてレースや装飾を使わないデザインで、シンプルな機能美を追求した定番ブラが「クール」シリーズです。

「クール(cœur)」とはフランス語で心臓または中心を意味する言葉。それは「ワコールディア」の核であり、原点である商品グループである事を意味します。豪華なレースも優美な飾りも一切ないのに気高さを感じるほど美しいのは、高度なパターン技術から生み出された完璧なフォルムだから。それを身に着けると、その軽さに驚くと同時にセクシーなバストラインが表れ、感動が生まれます。

その「クール」シリーズのなかでも、バストにそっと手を添え、脇と下から支えたような「モールドタイプ」、ゴールドの留め具がモードな「フロントホックタイプ」、あらゆるバストに自信をもたらす「シンプルなデザインブラジャー」、チュールを重ねた独特のデザイン「優美なバストアップブラジャー」の4つは、発売から10年以上経った今も愛される、ロングセラーのブラジャーです。

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左上から反時計回りに、「モールドタイプ」ブラジャーBBB208¥14,000〜(2005年春夏より販売)・「フロントホックタイプ」ブラジャーBBB370¥16,000〜(2005年春夏より販売)・「シンプルデザイン」ブラジャーBBB770¥16,000〜(2008年春夏より販売)・「優美なバストアップブラジャー」ブラジャーBBB492¥19,000〜(2010年春夏より販売)/ワコールディア(ワコール)

「ワコールディア」のウェブサイトを見ると、2020年秋冬コレクションのテーマについてトータルクリエイター神尾敦子さんが綴ったメッセージがあり、その最後に「これからも、高い美意識に幸あらんことを」とあります。まさにこの「クール」シリーズは高い美意識が表現する洗練のランジェリー。本物を愛する大人の女性に纏って欲しいメイドインジャパンの名品です。

【詳細記事はこちら】デザインと機能美が秀逸。日本発の名品下着、ワコールディア「クール」シリーズのブラジャー


■4:気品あるデザインで体も心も格上げしてくれる、「ヴェニスの夜」コレクション|【LISE CHARMEL(リズシャルメル)】

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ブラのバックベルトやショーツのヒップ部分にも、リバーレースをたっぷり使って優雅に。ハーフカップブラ¥24,000・ボクサー¥17,000/リズ シャルメル(リバコ)

「リズ シャルメル」は、フランス南東部の都市であり美食の街、高級シルクの産地として知られるリヨンで1953年に創業しました。ブランド名の「CHARMEL」はフランス語で「魅力」を意味する「CHARME」から生まれた造語。LISEは創業者が愛する女性、後に妻となる女性の名です。

「リズ シャルメル」の魅力をひとことで言うなら、正統派フレンチエレガンス。気品あるデザイン、最高級の素材、オートクチュールの伝統に裏打ちされた高度な縫製テクニックは創業時から今に至るまで変わりません。そして、オーセンティックでありながら常にモードの流れを意識し、デザインや色に反映されています。

その「リズ シャルメル」のアイコニックラインとして2010年から人気のコレクションが「ヴェニスの夜」です。

「ヴェニスの夜」は現在の社長夫妻がイタリアのヴェニスを旅したときの感動から生まれました。よく見ると、ブラジャーの胸元やショーツのヒップ部分などに仮面舞踏会からインスパイアされたアイマスクのモチーフがリボンとともに飾られています。

そして、ブラにはスワロフスキー社製のラインストーンの輝きが。ブラの上辺からストラップにかけてあしらわれたレリーフのようなギュピュールレースが、バストからデコルテを優雅に飾ります。

「リズ シャルメル」が、ファッションのプロフェッショナルからも高く評価されている理由の一つが厳選された最高級の素材と細かいディティール。この「ヴェニスの夜」コレクションの、ブラジャーのバックベルトやショーツに使われている繊細なレースは、レースの女王と呼ばれているリバーレースです。

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ドラマチックな2010年秋冬の「ヴェニスの夜」デビューコレクション。過去にはアイマスクがコレクションにラインナップしたことも。*現在、日本では販売されていません。

コレクションのもう一つの魅力がアイテムの豊富さ。2010年秋冬にブラックが発売され、その後、ネイビー、ピンクが登場。2020年秋冬にレッドが発売され、その色ごとに展開アイテムも異なります。現在販売されているレッドはブラジャー6型、ショーツ8型、ガーターベルトの全15アイテム。

展開アイテムが多いと言うことは、自身のバストに合うブラ、ヒップに合うショーツが選びやすいということ。さらに、ブラはBからGカップまで、ショーツは0からサイズ展開されています。

大人の女性にとって、美しさだけ、機能だけ、では名品下着と呼べません。その両方を備え、派手な主張はなくとも身に着ければ気持ちを高めてくれる。それが時を経て「リズ シャルメル」が選ばれ続ける理由です。

【詳細記事はこちら】ボディラインに自信を、心に品格を与えてくれる優雅な下着「リズ シャルメル」のロングセラーコレクションとは?


■5:E〜Iカップのバストの悩みを解決する名品ブラジャー、「キュキュート」|【STUDIO FIVE(スタディオファイブ)】

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豊かなバストをコンパクトにまとめてすっきり見せる特許取得の独自パターン「ワンフォームシルエット」を採用

ワコールのハイファッション・インティメイトブランドとして1982年に誕生した「スタディオファイブ」。豊富な色や大胆なデザインで他のランジェリーブランドとは一線を画し、高い品質を保ちながら、新しい感覚のランジェリーを発信し続けています。長年にわたって豊かなバストの方に向けたブラジャーを開発しており、デザインやカラーバリエーションを増やすことで、下着を選ぶ楽しさを提案してきました。

その実績を生かし、満を辞して2010年秋に誕生したのが「キュキュート」。その名はバストをキュキュッと小さく見せることに由来します。その後「豊かなバストをすっきりとしたシルエットでコンパクトに見せるミニマイザーブラ」とのコンセプトを広く定着させ、発売から10年を経た今も絶大な支持を集めています。

豊かなバストは魅力的である一方で「ファッションを思うように楽しめない」と言う声があるのも事実。そんな豊かなバストならではの悩みを拾い上げて開発されたのが「キュキュート」なのです。

目指したのは「バストを目立たなくさせること」。試行錯誤を重ねながら、左右のカップを1つにつなげたパターンを生み出し、バストの突出を抑えながら、すっきりとしたシルエットと軽い着け心地を実現しました。

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上段 :「シンプルタイプ」キュキュート 3/4カップブラ¥8,500〜(アンダーは70〜85、カップはE〜H展開)・下段:「レースタイプ」キュキュート3/4カップブラ¥8,500〜(アンダーは65〜85、カップはE〜I展開)/スタディオファイブ (ワコール)

いちばんの特徴は、左右のカップを1つにつなげた構造で、通常、左右に2山できるバストを1つにまとめたこと。さらに、前中心に伸びないチュールを使用することで、1つにまとまったバストの突出を抑え、前からも支えて安定させコンパクトに見せます。

また、ワイヤーが圧迫しにくい前中心が低いL字ワイヤーを使用し、外側に厚みのあるストラップで肩からズレにくいようにするなど、さまざまな工夫も施されています。

バストをコンパクトにまとめることで、例えば細身のジャケットやボディーラインを拾いやすいニットなど、これまでバストシルエットが気になってあきらめがちだったファッションを楽しむことができるように。バストにあったブラジャーがおしゃれの幅を広げてくれることを願います。

【詳細記事はこちら】着痩せして見える!E〜Iカップのバストの悩みを解決する名品ブラジャー、スタディオファイブの「キュキュート」


今回は、まとうことで自信を与えてくれる「名品下着」を厳選してご紹介しました。見た目だけでなく、内面も輝かせてくれる永遠の憧れ下着は、私たちの日常に華やぎをもたらします。ぜひ、これからの下着選びの参考にしてみてください!

この記事の執筆者
文化服装学院卒業後、流通業界で販売促進、広報、店舗開発を約10年経験した後、フリーランスとして独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーを中心に、雑誌、新聞、ウェブサイトなどで執筆・編集を行なう。モットーは「ラグジュアリーからプチプラまで」。国内外の展示会・店舗を幅広く取材する。
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