膝が隠れるくらいのロング丈のコート。本来、コートは防寒着だから、いわゆるロングコートこそ、コートスタイルの本来の形だ。一世を風靡していた膝上丈のコートは軽快なスタイルで長らく人気を博してきたが、コート丈の流行はこの1、2年で一気に変わり、本来の姿に回帰してきた。魅力のひとつに、着るだけでドラマチックな男を演出できる演出性がある。銀幕スターのようなオーラある着こなしをしたいなら、これからは正しいコート丈選びが重要になってくるのだ。ここでは今後長らく基本になるだろう、ロングコートの正しい選び方を、総集編で紹介する。
単に長いだけではない、着丈のバランスが重要なのがロングコート選びのポイントだ。ここでは軽快な着丈が短いコートと比べ、着るだけで寡黙な男を演出できるロングコートを紹介する。
もう迷わないロングコートの選び方
落ち着いた雰囲気のコーデに必要なのは色や数を抑えることだ。ここではロングコートの着こなしと選び方について紹介する。
注目のロングコートは、ドレスやカジュアルといったスタイルを限定して楽しむより、タイドアップ、あるいはノータイの着こなしで、よりハードボイルドな男らしさを表現したい。コートは、ヴィンテージ調の風合いを備えた味わい深い生地で、ゆったりとしたシルエットが必須である。
ブラウン系の落ち着いたグラデーションでクールに着こなす

コート、スーツ、タイなど、合わせるアイテムは、ブラウン系に絞り込み、繊細な色調のグラデーションをつくり上げることで、寡黙な男のたたずまいを演出できる。ヴィンテージ調の生地を使ったダブルコートに、素材感とデザインをなじませた、ウールフランネルのダブルスーツをコーディネートする。デザインの統一感を生かし、むだのない着こなしで洒落たい。胸元は、白シャツとジャカードのタイでクールなVゾーンを表現すれば、ハードボイルドな雰囲気がにじみ出す。
1980年代を彷彿させる生地感のロングコート

大きなピークドラペルをデザインし、ゴージラインの高いダブル6ボタンのエレガントなスタイル。背面には、クラシックなバックベルトを施す。起毛感のあるヴィンテージ調の生地使いが絶妙だ。着丈は、サイズ50で100㎝。
色彩のコントラストでコートをツヤっぽく際立たせる着こなし

アイテムの色数を抑えるのがクールなスタイルの演出法となる。さらに、大胆な色彩のコントラストを効かせるのがポイントだ。コート、ジャケット、ヴェストの深い色味に対して、白いパンツで鮮やかな組み合わせをつくると、上品かつ、キザな雰囲気がにじみ出す。コートの柄を生かすために、ジャケットとヴェストは、共地のアンサンブルを選ぶ。インナーは白のタートルニット。白のパンツを合わせて鮮やかに。
無骨な表情のバルマカーンコート

1970年代の幾何学模様を彷彿させる織り柄の生地を使った、比翼仕立ての巧みなデザイン。ラグランスリーブのゆったりとしたシルエットが、ハードボイルドな男らしさを引き出すポイントとなる。着丈は、サイズ48で102㎝。
どちらの着こなしも、むだなデザインを省いた男らしくシンプルなアイテム選びが重要。足元は、存在感のある靴を合わせ、気の利いた風味を加えることで、よりハードボイルドな着こなしが完成するのだ。
流行のロングコート、4つのトレンドスタイル
数年来、着丈の短いコートの人気が続いていたことから、コートは丈の長さによって、ショートコートやロングコートと、区別して呼ばれてきた。しかし、本来のコートとは、体を覆い寒さを凌ぐために、たっぷりと生地を使った、十分に着丈の長いロングコートのことを指すのである。本質的な男のスタイルに回帰したシルエットのコートが登場。ロングコートによって、ハードボイルドな男の存在感がさらに際立つのだ。
Chesterfield Coat チェスターフィールド コート
英国、フィリップ・チェスターフィールド卿が愛用したコートに起源を持つ、正統派コートの筆頭格。ひざ丈のプロポーションで、前立てはボタンを隠した比翼仕立てにするなど、完成されたスタイルにフォーマルな香りが漂う。チェスターフィールドコートは、伝統的な男の着こなしを演出するコートの神髄である。
伝統を嚙みしめるチェスターフィールドコートの着こなし

表面感ある素材を使ったコートと、ツヤのあるジャケパンとの対比! コートに使用したウールとモヘア混の素材は、ふわふわと毛羽立った質感が秀逸だ。太いボーダー柄をにじませ、ゆったりとしたシルエットから、大人の余裕が漂う。コートに合わせたジャケットは、ウールとモヘア混のツヤのある黒無地。素材対比で楽しむスタイルだ。コートの着丈は、サイズ48で114㎝。
Balmacaan Coat バルマカーンコート
上襟の幅を広く取る、独特な襟型のバルマカーンカラーを持つのが特徴。バルマカーンとは、スコットランドのインバネス近郊の地名にちなんだ名称だ。襟元から斜めに切り替えて縫製するラグランスリーブをデザイン。ゆったりとしたラインが男らしさを漂わせるコートだ。
時代を重ねて味を出すバルマカーンコート

写真右/ピッティ・ウォモでも話題の多かった、アウター専業ブランドのパルト。男のスタイルがより輝いていた1950~60年代のフィルムからのイメージをコートに生かす。ウールとナイロンなどの混紡素材を使った、クラシックなチェック地で、ベルト付きのコートをしなやかに仕立てる。着丈は、サイズ50で104㎝。¥98,000(アマン〈パルト〉)
Wrap Coat ラップコート
ボタンを使わずに、ストラップのみでフロントを閉めるデザインのラップコート。大きく長い布を身体に巻き付けるという、コートの基本スタイルに忠実で、現代的でありながら懐かしさも漂い、ガウンのようなエレガンスとダンディな雰囲気を、共に備える。コートの名称のとおり、体を包むような着心地だ。
ツヤのある洒脱な男を演出するラップコートの着こなし術

Double Coat ダブルコート
シングルのコートに対して、ダンディかつツヤっぽい雰囲気が漂うダブルのコート。ここでは、代表的なチェスターフィールドコートのダブル仕立てと、オーダーで楽しめる大きなピークドラペルのエレガントな2着を紹介。サイドポケットなどの装飾的なフロントに加え、華やかなバックスタイルも魅力である。
肩で着こなす正統的なダブルコート

写真右/英国伝統のチェスターフィールドコートを、ブラウンのカシミア素材を使い、ダブルで仕立てることで、貫録と同時に色気のある雰囲気が漂い出す。タイドアップしたスーツの上にはおるのはもちろん、あえてカジュアルなジャケット&パンツにコーディネートするのも粋である。着丈は、サイズ48で110㎝。(ダンヒル)
誰も知らないから今知りたい!奥深きイギリス名品、注目ロングコート
英国というと老舗ブランドばかりが注目を集めがちだが、歴史は浅くたっていいものはいい! ここでは世界のバイヤーが熱視線を送る、若手クリエイターがデザインしたスタイリッシュなアウターを紹介。メイド・イン・イングランドの新時代到来を告げる、知られざる英国名品をご覧あれ!
モダンブリティッシュの代表格、 S.E.Hケリーのトレンチコート

いち早く英国生産の魅力を掲げたものづくりに着手した、若手クリエイターの指針的ブランド、S.E.Hケリー。生地はもちろんボタンなどの付属品まで英国製を貫き、「ないものはつくる」という姿勢が素晴らしい。こちらの大定番が、写真のトレンチコート。一枚そでのラグランスリーブやポケットを貫通するウエストベルトなど、そのディテールはとことん本格派。しかも英国が誇る綿100%の防水素材「ベンタイル」をより進化させた、リップストップ生地まで使用。老舗ブランドに負けないこだわりと物語を秘めた一着だ。
ダッフル専業メーカー「チャーチル」のミリタリーダッフルコート

英国史上最強のファッションアイコンである、元首相の名を冠したブランド、チャーチル。調べてみたところ、廃業した某ダッフルコートメーカーのスタッフが集って設立したチャーチル ダッフル カンパニーという、新しいファクトリーによるもの。あのチャーチルとは直接の関係はないというが、フォックス ブラザーズの英国製メルトンでつくった一着は、チャーチルが着ていたミリタリーダッフルコートを彷彿させるな仕上がり! いまだ本国でも無名ゆえ、かなりのレアもの。ピーコートもなかなかの完成度だ。
イートウツのビッグシルエットコート

英国人デザイナー、パトリック・グラントさんが手がけるイートウツ。最近話題のビッグシルエットブームの先駆者として、ロンドンコレクションを代表するブランドに急成長を遂げている。しかしそのルーツは1867年に創業したサヴィル・ロウのテーラー! ゆえにシルエットこそアグレッシブだが、デザイン自体は伝統を踏まえたもので、もちろんすべて英国生産なのである。そんなさじ加減がうけて、ただいまバイヤーや編集者人気が抜群に高いこのブランド。大人が狙うなら、断然クラシックなロングコートがおすすめだ。
地味だけど、かかっこいい。着るだけで無骨さとエレガントなただずまいが宿るのがロングコートの魅力だ。ゴッドファーザーやブリッド、マトリックスと言った有名映画では、トレードマークとしてロングコートが使われてきた。一見着こなしが難しそうに感じるが、ポイントを理解することで銀幕スターのような、オーラのある着こなしができるようになる。憧れの俳優をイメージしながらコート選びをしてみてはいかがだろうか。
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※価格はすべて税抜です。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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