毎日オフィスに通うという生活から、家で過ごす時間が増え、働き方や暮らし方そのものが変わった今、リーダーに求められるものも大きく変化しています。
最新『Precious』4月号では、特集「変化の先に続く新しい日々は、ジャケット、ドレス、ときどきスニーカー」にて、女優・西田尚美さん演じる新しい時代の女性リーダー像をコーディネートと併せてご紹介すると共に、キャリア女性たちへのインタビューを掲載しています。
今回は、ジャズピアニストであり数学教育者の中島さち子さんにお話を伺いました。
きっと、多くの部下をもつプレシャス世代の女性たちが、次に目指すべきひとつのお手本になるはずです。
自分の内側に「多様性」を発見する、そんな旅路を楽しんで見ませんか?
私は今、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、アート(Art)、数学(Mathematics)の頭文字を組み合わせた「STEAM」という教育プロジェクトに携わっています。
…というと難しく聞こえるかもしれませんね。ジャズピアニストであり、数学教育にも携わる私だからこそ、実感を込めてお伝えしたいのですが、これらは複雑に絡み合っていて、人はそのすべてを内側にもっているのです。
大人になり、今は触れることのない分野でも「おもしろそう」と思ったら、そこに針を落としてみませんか?
そのときは「Learn Science(科学を学ぶ)」ではなく、「Think like a scientist(科学者のように考える)」という姿勢でいるのはどうでしょう。要は難しく考えなくてOKということ。
複数の領域に針を落とすうち、共通する何かが見えたり、それらが繋がる感覚を味わったり…。遠い世界ではなく、自分の内側で「多様性」が起きていることを実感できると思うのです。
そんなふうにして「人の心に火をつけられるかどうか」。これからのリーダーシップには、そんなことが必要だと感じています。さらに物事をメタの視点でダイナミックにとらえることも、また個人個人の目線に合わせることも、どちらも重要。
「Low floor、High ceiling、Wide wall.」敷居は低いのに、その先には高い世界が広がっていて、それぞれ違う作品を飾れる広い壁がある。そんな世界を描くことができれば、理想ですよね。
そしてなにより「素直さ」も大切。植物がそのままで美しいように、私は「その人らしく生きている様」をエレガントだと感じるのです。
だからこそ今、伝えたいことがあります。それは世界が激震に襲われた今、私たちは思った以上に傷つき弱っているということ。つらく寂しいのは当然。まずはその状態を受け入れることから始めませんか?
これから新しいことを生み出せるのは、今の傷をしっかりと受け止めた人。未来のリーダーは「弱さをさらけ出す」ことが求められ、それが支持される要素にもなるでしょう。パンデミックを経て、より健やかな未来を切り開く。私はそんなリーダーと歩んでいきたいのです。
- PHOTO :
- Getty Images
- WRITING :
- 本庄真穂
- EDIT :
- 喜多容子・古里典子(Precious)