FENDI(フェンディ)が、長きにわたる歴史のなかで受け継ぎ培ってきた職人技術。その伝統的な高度な技巧を讃えるべく、イタリア各地の職人10名をクローズアップし、それぞれの技術を駆使したメゾンのアイコン「バゲット」バッグを発表する「ハンド・イン・ハンド」プロジェクトを始動しました。
それぞれが得意とする技術を最大限に生かした唯一無二の作品はまさにアートピース。今回は、10点のバゲットバッグの魅力にフォーカスします。
北はVENETO(ベネト)州のVENICE(ヴェネツィア)から西抜け感のSARDINIA(サルデーニャ)島、そして南はCALABRIA(カラブリア)州のCOSENZA(コゼンツァ)まで、厳選された10のアトリエの職人たちが手がけた「バゲット」バッグとは?
フェンディの職人技術によって生まれた特別な「バゲット」バッグ。10点のバッグに込めた想いとは
今回、イタリア北部からにあるアトリエから南下しながら、それぞれの作品を順番にご紹介していきます。風土が生きたバッグの魅力をイタリアを旅する気持ちで追っていきましょう。
■1:【PERONI(ペローニ)】“レザーの彫刻家”がつくる、一枚のレザーで成型したステッチのない「バゲット」バッグ
まず始めにご紹介するのは、トスカーナのフィレンツェに位置するアトリエ「PERONI(ペローニ)」の作品。植物性のなめしにこだわった革製品を作り続けてきたアトリエで制作したのは、1枚のレザーをカットして成型した、裏地やステッチのない「バゲット」バッグ。FFロゴのバックルまでもレザーで覆われた、レザーの美しさを最大限に際立たせた逸品です。
レザーを濡らして、木枠にのせて成型していく工程は、熟練の職人だからこそ成せる技巧。“レザーの彫刻家”と称されている職人技術の生きた作品といえます。
■2:【SU MARUMURI(スマルムーリ)】天然の糸を手動の織機で織り上げたクラフト感ある「バゲット」バッグ
次に、サルディーニャ島、ウラッサイ村の丘の頂上に位置するアトリエ「SU MARUMURI(スマルムーリ)」。こちらでは、伝統を守るために、1971 年以来、手織りのタペストリー製作に傾注してきたといいます。職人たちが手動の織機を使用し、天然の糸でドット模様を織り上げていく技術を、地元の方言ではブドウを意味する”ピビオーネス”と呼ばれています。
今回、⽩と⿊の斜めストライプで「バゲット」バッグを作成。内側にはFFロゴの柄が織り込まれています。また、どの両面の美しさを表現するために、両サイドに毛足の⻑いムートンが飾られ、さらに贅沢に仕上げられました。
■3:【LUIGI BEVILACQUA(ルイージ・ベヴィラクア)】1日にわずか数センチしか制作できない、ベネチアン・テキスタイルが優美な「バゲット」バッグ
そして、豪華なベネチアン・テキスタイルを5世紀にわたってジャカード織の技術を伝承してきた「LUIGI BEVILACQUA(ルイージ・ベヴィラクア)」をクローズアップ。ヴェネト州にあるヴェネツィアの中心部で18世紀から伝えられている織機で手織りされたベルベットは、色あせていきながらも美しく輝く、ヴェネツィア宮殿を思い起こさせます。
古代ヴェネツィアからとられた、フローラル・モチーフの生地は、1ミリずつカットし手作業で織り込まれていくため、1日にわずか数センチしかつくることができないといいます。本プロジェクト内で最も時間を要する作品の美しさは圧巻です。
■4:【DODINO(ドディーノ)】手作業で編み上げる、繊細なレース装飾が美しい「バゲット」バッグ
そして、イタリア南部、プーリア州へと続きます。ナルド村のアトリエ「DODINO(ドディーノ)」では、細かな輪っかと結び目でだけで、円状の花柄のレースを織り上げていく”キアッチエリーノ”と呼ばれる伝統的な技法を駆使したレースをつくっています。
パッド入りのコットンとリネン素材の上にレースをのせ、「バゲット」バッグの表面に繊細なレースの花々を咲かせています。まるで浮かんでいるかのような立体装飾が、優美なバッグを完成させました。
■5:【BOTTEGA INTRECCIO(ボッテガ・イントレッチョ)】希少性の高い柳のしなやかな美しさが魅力の「バゲット」バッグ
そして、イタリア中部のマルケ州に位置する「BOTTEGA INTRECCIO(ボッテガ・イントレッチョ)」。ルネサンス期からレザー、そして織りの技術を何世代も伝承してきたこちらのアトリエからは、柳の枝で織り上げる、この地域特有の技法に焦点を当て「バゲット」バッグを制作。マルケ地方に自生している柳の木だけを使うため、収穫量が限られているという点でも、希少性の高い作品といえます。
今回の製作工程としては、まず柳を数日間水に浸し柔軟性を高めてから、金属フレームの周りに職人が手作業で織り込んでいます。木の自然な風合を生かすこの技術は、若き職人にも伝承。しなやかな美しさを感じとれるバッグへと仕上げられています。
■6:【GIUDITTA BROZZETTI(ジウディッタ・ブロゼッティ)】女性起業家による、古典的で豪華な魅力を放つ「バゲット」バッグ
ウンブリア州、ペルージャ市からは、女性起業家として1921年に初めて設立されたアトリエ「GIUDITTA BROZZETTI(ジウディッタ・ブロゼッティ)」がラインナップ。第4代目となる現在は、19世紀のアンティークな織機を使って、中世のデザインからインスピレーションを得た手織布を生産しています。
今回、古典的な神話の象徴とされる馬、孔雀、ユニコーン、鳩をモチーフとした、ロイヤルブルーの織物を再現し「バゲット」バッグを製作。この鮮やかな色が、バッグ本体の豪華さを輝かせています。フリンジの付け根には、中世の織物で使われた、手作りのマクラメレースが施されているという贅沢さ。
■7:【GC CORREDI(GC コレッディ)】繊細なボビンレースの美しさが際立つ、純白の「バゲット」バッグ
続いての舞台は、イタリア東海岸のモリーゼ地方。レースの町として知られるイゼルニアから、幾何学的な模様や超軽量のスパイラルなど、独特な製法が世界的にも高く評価されているアトリエ「GC CORREDI(GC コレッディ)」。この技術は、ベネディクト会の修道女たちが、16世紀初頭にスペインの伝統技術を持ちこんで、サンタマリア・デッレ・モナケ教会のシスターたちに教えたと言い伝えられているといいます。
今回登場したのは、レース店の熟練の職人がナッパレザーのバゲットにニュートラル・カラーのイゼルニア・レースを重ねた「バゲット」バッグ。繊細なボビンレースの美しさを感じられる上品な仕上がりが魅力的です。
■8:【FABBRICA TESSILE(ファブリカ・テッシール・ボッシオ)】サスティナブルな手工芸で仕立てられた、ボビンレースの「バゲット」バッグ
次に、エニシダ繊維を織る技法が古代より受け継がれてきたカラブリア州のコゼンツァ沿岸にあるアトリエ「FABBRICA TESSILE(ファブリカ・テッシール・ボッシオ)」へ。夏の間に収穫されたエニシダの低木を手作業で処理し、できた繊維をパネル状に織り込んみバッグを製作していきます。機械や化学薬品を使用しないサスティナブルな手工芸によって完成した「バゲット」バッグは、伝統的なモチーフが印象的。
天然の植物染料で染められFFロゴの柄もナチュラルな風合いが素敵。手作業で丁寧に結ばれた、エニシダの糸のフリンジが、バッグの両サイドをエレガントに装っています。
■9:【MASSIOMMO MARIA MELIS(マッシモ・マリア・メリス)】ローマ皇帝らを描いた青銅貨など、歴史的なピースを装飾した「バゲット」バッグ
フェンディ創業の地で、今なお本拠を置くラツィオ州のローマから、1982年以来、古代のコイン、ガラスや大理石を扱い、エトルリア様式、ローマンスタイルのジュエリーで、国際的な評価を受けている「MASSIOMMO MARIA MELIS(マッシモ・マリア・メリス)」にフォーカス。マスタージュエリー職人によって生まれた今回の「バゲット」バッグには、大理石の寄木細工と金・銀細工の技術が搭載されています。
“グラヌラトゥーラ”と呼ばれる古代ローマの技法でつくられたベゼルには、溝のような模様が描かれています。また、手彫りした希少な大理石がはめ込まれているだけでなく、正面にはローマ皇帝らを描いたオリジナルの⻘銅貨2枚も飾られています。まさに職人の持つ卓越した技術が生かされた逸品。歴史を感じさせる今回のテーマにふさわしいアートピースといえます。
■10:【SIMONA IANNINI(シモーナ・イアッニーニ)】ひとつなぎの糸を織り交ぜ完成させた、驚くほど繊細で軽い「バゲット」バッグ
最後の目的地、アブルッツォ地域からは、1400年代から存在しベネディクト会の修道女たちに受け継がれてきたレースの技術に長けたラクイラ市の「SIMONA IANNINI(シモーナ・イアッニーニ)」をピックアップ。切ったり、縫ったり、結んだりは一切せず、ひとつなぎの糸を織り交ぜるだけで仕上げる “トンボロ・アキラーノ”というテクニックでつくられた「バゲット」バッグは、繊細な美しさのみならず、その軽さも特記すべきポイント。
バッグ本体をつくるだけで100時間以上も要するだけでなく、スターチ加工で強度を与え木枠の上で3日間乾燥させ、最終的に最終仕上げられるといいます。リネン糸のレース・ストラップがエレガントなバッグは、卓越した職人技術が生きた逸品です。
世界初上陸!期間限定のエキシビジョン「ハンド・イン・ハンド」も開催
こちらは、4月10日(土)〜20日(火)の期間、阪急うめだ本店で行われるエキシビジョンで実際にご覧いただけます。
展示されているそれぞれのバッグには各アトリエの詳細を確認できるQRコードが添えられているほか、女優・米倉涼子さんによる音声ガイドも楽しめます。
米倉涼子さんの音声ガイドは、こちらのQRコードよりお楽しみいただけます(FENDI公式LINEアカウントが開きます)。
フェンディの職人技術を肌で感じられるイベントは、日本が世界初上陸。この貴重な機会をお見逃しなく!
「ハンド・イン・ハンド」詳細
期間/2021年4月10日(土)〜20日(火)
会場/阪急うめだ本店5階 コトコトステージ51
住所/大阪府大阪市北区角田町8-7
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 石原あや乃