関西を拠点に、国内外で活躍する女性たちの生き方を綴る連載「~京都、大阪、神戸~ 彼女たちの三都物語」。聖護院八ッ橋総本店の長女、鈴鹿可奈子さんへのインタビュー第3回です。これまではアメリカでPre-MBAを取得し、京都大学を卒業した才女が家業に入り、専務取締役となるまでのお話をうかがってきましたが、ここからは「現在」、今の活動や考えていることについてうかがいます。

専務統括として会社全体に目を配るように

鈴鹿さんが毎日持ち歩く手帳や筆記用具。思いついたことはすぐにメモを取り、業務に活かしてるそう

「2011年、専務取締役になってからは、企画のみならず、人事や営業など、会社全体を見るようになりました。企画室勤務のときは、数字を追っていると自由な発想が沸いてこず、企画も思いつかなくなるので、企画を考えることだけに集中していましたが、今は売り上げをはじめ、数字にも目を向けるようになりましたね」

京都のため、社外の活動を積極的に

シンガポールで行われた京都をアピールするイベントの様子(鈴鹿さん提供)

「父もそうだったように、私も社外での活動が多いですね。今年5月から京都府の社団法人、京都府物産協会の理事に就任しました。京都の老舗が集まって京都の物産展を全国の百貨店で行うのですが、先日はシンガポールの高島屋さんでも行わせていただきました。本物の京都を知ってもらいたいので、京都から芸舞妓さんにも同行していただき、現地で踊りを披露してもらい、私が英語で芸舞妓さんの説明をしました。ときには、製造機械とともに製造の社員さんが現地に行き、実演販売することもあります。また、海外の方に八ッ橋だけでなく京都の文化を知ってもらい、少しでも京都に関心を持ってもらえればと思っています。行政の取り組みもいろいろしていますが、主だったものでは、2019年に京都で開催されることになった『国際博物館会議』の誘致スピーチをパリの国連本部でさせていただいたり、フィレンツェと京都府の友好イベントにて、フィレンツェの老舗の方々とのパネルディスカッションをさせていただいたりいたしました」

地元を大事にする父の考えを受け継ぐ

 

「いろんなことをやりすぎて『本業は何?』と思われてしまいそうですが、京都に関わることや京都を知ってもらうきっかけになることでしたら、お役を引き受けようと思っています。また、地元を大事にする父の考えを受け継ぎ、地元の地域行事や社会活動にも参加しています。鈴鹿家は1000年以上続く神官の系譜で吉田神社の社家なので、幼いときから『家業は継がなくてもいいけど、鈴鹿姓は守って』と父に言われていましたし、今も吉田神社の神事に携わっています。余談ですが、江戸時代、疫病が流行ったとき、吉田神社の社家である鈴鹿家が神社の社紋が木瓜だったことからキュウリ断ちをしたことに端を発し、鈴鹿家では代々キュウリを食べないしきたりがあるんです。小学校のころは、給食にキュウリが出て来るため、母が毎年担任の先生に手紙を書いて説明してくれていました」

鈴鹿さんが愛用する扇子とハンカチ。移動中などに愛読するのは、頭を仕事から切り替えてくれる小説が多いのだとか

会社での仕事以外の活動も多く、多忙を極める鈴鹿さん。第4回では鈴鹿さんを支える家族や社員との付き合い方についてうかがいます。

PROFILE
鈴鹿可奈子(すずか かなこ)さん
1982年、聖護院八ッ橋総本店の長女として生まれる。京都大学経済学部在学中にカリフォルニア大学サンディエゴ校に留学しPre-MBAを取得。京都大学卒業後は、国内最大手の信用調査会社勤務を経て、家業へ。新ブランド「nikiniki(ニキニキ)」を立ち上げるなど、328年続く老舗に新風を吹き込む次期経営者。現在は専務取締役。
http://www.shogoin.co.jp/
この記事の執筆者
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PHOTO :
香西ジュン
WRITING :
天野準子