睡眠時間を換算すると、人生の1/3は、眠っていることになります。とはいえ、眠ることは当たり前のことで、その「質」をおろそかにしがちな人が増えているといいます。「30〜40代は、脂が乗って忙しい年代。だからこそ、自分の体に向き合って」と語るのは、植物療法士の森田敦子さん。ちょっとしたことを心がけるだけで「眠りの質」は向上するといいます。今日からできる、安眠のためのヒントをお届けします!

1:「眠りの質は」ちょっとしたことで向上できる!

35歳からはプレ更年期と心得て

2:すでに「プレ更年期」であることを自覚すべき

——まず、30代以降の女性の身体にはどのような変化が起こっているのでしょうか?
森田敦子さん(以下、森田さん)実は、35〜45歳はすでに「プレ更年期」と呼ばれる状態に入っているんですよ。そのように自覚している方は非常に少ないとは思うけれど。今の30〜40代は、キャリアを築きお仕事をバリバリとこなし、子育てや家事にも忙しいという方が多いと思います。
それに、きっとまだ若々しいですよね。でも、体の仕組みは昔から変わりませんから、女性ホルモンの乱れは30代半ばから誰にでも起こっていることなんです。エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンは、すでにピークから降っているということをまず心得ることが大切ですね。そして、この「ホルモン」は、眠りと密接な関係にあるんですよ。
——なるほど。ホルモンの分泌が睡眠に影響するのですね。
森田さん 人は、メラトニンという睡眠ホルモンが出ることで眠くなり、睡眠中に成長ホルモンが放出されるんです。そのときに、しっかりと眠れない、眠りにつけないといった不安定な状況が続くと、女性ホルモンに不具合が現れてきます。そして、20代のころに比べてこうしたホルモンは年々低下しています。
45歳以降の更年期を迎えるときには、30代半ばで一度、自分自身の体の衰えを経験しているはず。ですが30代で体の衰えを感じるときは、これまで仕事ややりたいことに全力で邁進してきて、初めてガクンと自分の中の「下り坂」を感じることになります。あとは、結婚や出産といったプライベートでの変化を経験する方も多いので、ホルモンも乱れやすいと言えるでしょう。
——体と環境の大きな変化を実感しやすい年代なんですね。
森田さん 30代って、生き方を模索しながらも、一番の頑張りどきでもあると思うんです。ここで、きちんと自分の体を大切にケアする術を身につけられるといいですね。

3:夜は、体も頭も休ませる過ごし方を

——睡眠のメカニズムについて、教えていただけますか?
森田さん 朝起きて日を浴びて、その光が目に入って13〜15時間後にメラトニンという睡眠ホルモンが分泌される仕組みになっているんです。このメラトニンが正常に分泌されることで、深い眠りに導いてくれます。眠りの間に分泌される成長ホルモンは、食べ物などのその日体内に取り込んだものを栄養として細胞をつくり変えます。全身の細胞を修復してくれますから、代謝を活性化し、筋肉や骨を丈夫にし、肌の再生も促します。そして、記憶を精査し「必要なこと」は定着させ、脳が「不要なこと」と判断した嫌な記憶は消してくれるという働きもあるんですよ。
——体内のさまざまなことにつながっているんですね。
森田さん そうなんです。成長ホルモンがしっかり出ることで、体内もリセットできるんです。朝起きて「今日も頑張ろう!」と思えるのと「重くてだるい」では、一日の気分も違ってきますよね。
——よく耳にする、交感神経と副交感神経とはなんでしょうか?
森田さん このふたつの神経は、昼と夜で役割分担を担っているんです。交感神経が働く間は、副交感神経はお休み。逆に、副交感神経が働く間は、交感神経は休んでいる状態です。陽のあるうちは、軽い運動をしたり歩いたりと、活動的に過ごすことによって交感神経を優位にできます。夜間はリラックスすることで、副交感神経が働き、昼間の疲労やダメージを修復することができます。こうして、人は健康を維持できるんですよ。
——なるほど、シーソーのように交互に働かせることが睡眠のリズムのために大切なのですね。良い眠りのためには何時までに寝るのが良いなど、決まりはあるのでしょうか?
森田さん 「22時には寝ましょう」と言われることは多いですよね。もちろん、22時に寝ることができれば良いけれど、6時間くらい寝れば快適なのか、8時間寝るのが心地よいのか。それは人によって違うと思うんです。時間が重要というよりかは、生活スタイルや自分自身の体の特徴と「相談」してみてください。
眠る2時間くらい前には、テレビはオフに。できればスマホも置いて、間接照明に切り替えましょう。そのようにして、だんだんと脳を眠りにつかせてあげて、成長ホルモンが睡眠と同時に流れやすい環境を整えてあげるといいですね。
——質のよい睡眠のために、避けるべきことはありますか?
森田さん 最も避けるべきなのはやはり、寝る直前までパソコンやスマホを見ることですね。ブルーライトが目に入った途端に、メラトニンは分泌が抑制されてしまうんです。このメラトニンは、ただ眠りに導くだけでなく、免疫力をアップさせるという重要な役割も担っているんですよ。
——避けるべきことは、他にもありますか?
森田さん 極端な方法でのダイエットですね。炭水化物や脂、こういったものは決して「悪」ではなく、ある程度きちんと体内に取り込ないと、女性ホルモンの素になる栄養素が足りない! ということも起きてきます。特にオメガ3(亜麻仁油・エゴマ油等)、オメガ6(ベニバナ油・月見草油・ルリジサ油等)などの不飽和脂肪酸。これらは、細胞の炎症の悪化を防いで女性ホルモンのバランスを整えてくれる、女性には特に大切なオイルです。
年齢を重ねて脂肪がつくのは自然なことですし、丸みのある身体って、女性らしくて魅力的だと私は思います。細くて外見は綺麗でも、中身がスカスカだと、ひどい更年期へまっしぐらですから。でも30〜40代はまだまだ元気に見える年代なので、「危機意識」を持てない人がたくさんいると思います。ダイエットをするなら、適度に体を動かし、必要な栄養は摂りたいですね。

4:30〜40代は頑張りどき。頑張った分、自分で「手当て」を

——森田さんご自身が安眠のためにされていることや、頼るものはありますか?
森田さん 私はフィトテラピー(植物療法)を学んできたので、アロマやハーブの力を借りて眠りにつきやすい環境を整えることが多いですね。「バレリアン(西洋カノコソウ)」なんかは、古くから使われてきたハーブです。不眠の解消の他に、ストレスを和らげ気分を落ち着かせてくれる効果も期待できます。
もっと身近なものでいうと、「柚子」ですね。冬至に「ゆず湯」を楽しむ習慣もありますよね。柚子は体を温める効果の他、副交感神経を優位にしてくれるんですよ。それから湯たんぽ。アナログですが、ひんやりとしたシーツに足を入れるよりも適度な温かさが眠りにつきやすくしてくれるんです。
食べ物でいうと、甲殻類に入っている「グリシン」を適度に摂るようにしています。特別なことをしなくとも、普段の生活の中に取り入れるように心がけていますね。
あとは、最近愛用しているのが岩塩のアイピローです。ヒマラヤの岩塩を入れたアイマスクなんです。適度な重さが心地よくて、疲れて重くなった目も朝にはすっきりするので病みつきです。
ヒマラヤのピンク岩塩とクリスタル(水晶)を贅沢に使用し、緊張した表情を和らげる「顔のまくら」。
FACE PILLOW〈クリスタル〉¥8,800(ハーモニティ キャプ)
——生活スタイルを大きく変えなくても、日常の心がけが大切なんですね。
森田さん そうですね。夜遅くまで、テレビやネットに時間を使うのではなくて、好きな音楽をかけてみたり……。眠れないからといって「余計なこと」をしないこと、ですね。
30代、40代は仕事も家庭のことも忙しい「頑張りどき」だと思うんです。私自身も31歳で独立をして20年間駆け抜けてきました。頑張った人ほど、それが経験となり、人に優しくもなれ、魅力的なシワが刻まれると思うんです。ですから、読者の方にも「生ぬるく生きるよりも、本気で頑張れ!」って、エールを送りたいほど。でもその分「お手当て」をしてあげてくださいね。すぐに効かなくとも、3、4日続けてみると体はちゃんと、応えてくれますから。
忙しい日々が続くと、夜になっても頭が活性化し眠りが浅くなることもあるかもしれません。しかし、過ごし方を少し意識するだけで「良い睡眠」はぐっと近づきます。自分に合った「手当て」をすることで、年齢を重ねたその先も、健やかな身体を手に入れることができそうです。

5:副交感神経を優位にする、リラックスのためのおすすめアイテム3

■1:高まった気分を落ち着かせるオーガニックハーブティー

シナモンやボダイジュの白木をブレンドした有機JAS認証オーガニックハーブティー。「気温の下がるこれからの季節は、身体を温めて巡らせるものを積極的に取りたいですね」(森田さん)

■2:代謝を上げる、ミネラルたっぷりのクレイバスパウダー

「眠気は体温が下がるときに訪れやすいんです。入浴によって体温が上がると、その後に体温が下がりやすくなりスムーズな眠りを助けてくれます。入浴剤を使いながら疲れをケアするのもオススメです」(森田さん)

■3:快眠に導くアロマ ボディーオイル

睡眠に着目し、リズムを整えるボディオイルが新登場。「快眠効果が期待できる香りを味方につけるのも良い方法ですね」(森田さん)

仕事にプライベートに忙しいからこそ、ホルモンバランスには気をつけて、気持ちいい朝を迎えられるといいですね。しっかり「手当て」をして、「よい睡眠」を手に入れましょう!

※掲載した商品はすべて税抜です。

 
PROFILE
森田敦子さん(もりた あつこ)さん
植物療法士、サンルイ・インターナッショナル代表。航空会社の客室乗務員として勤務するも、ダストアレルギー気管支喘息を発病。その治療の一環とし、フランス国立パリ13大学などで植物薬理学を学ぶ。帰国後、植物療法に基づいた商品とサービスを提供するため会社を設立し、「アンティーム オーガニック」などの商品開発や「ルボア フィトテラピースクール」を主催する。著書に『自然ぐすり- 植物や食べものの手当てでからだとこころの不調をととのえる』、『潤うからだ』(ともにワニブックス)、新刊に『自然のお守り薬』(永岡書店)がある。
この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2017.11.15 更新
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EDIT&WRITING :
八木由希乃